第570話「彩りある世界の冒険」
「さて、彩りある心氣の威力を検証したい所だけど……、咲ちゃん夜鈴ちゃん、VR世界で戦闘準備出来る? まあ、別に現実世界でも良いけど、様式美としてね」
桃花先生の次のレッスンに対して、次は何だろうと思う面々。
夜鈴は察して、咲には解らない……。
「詳しい話は、カルテットタウンの闘技場で、では皆解散」
というわけで、一回散会となった。
◇
《ログインします、エレメンタルワールド・オンライン3へようこそ。》
とりあえず待ち合わせの闘技場へやってきた放課後クラブの2人と4人、さっきと同じメンバーだ。
桃花先生は次の授業という名のお題言う。
「じゃあ咲ちゃん、悪いんだけど。心氣の威力測定をやってもらうわよ、夜鈴ちゃんには私を一回殺した心氣、応用色の緋色のアノ一撃を咲ちゃんに叩き込んで、相殺してもらう」
――衝撃、本物の桜愛夜鈴の心氣はオーバーリミッツと全くの同格の威力を発揮する。
即ち、桃花先生を今でも苦しめているアノ一撃。
皆が負け、家族を失い、自分の一部を失った、アノ一撃だ。
夜鈴には、当然それが出来る。一撃必殺の〈絶対殺す拳〉だ。
今度は意識的にだ。無意識じゃない。
「……一応、念を推しておくけど威力測定だからね? 本気を出しちゃダメよ? 一撃だけやって様子を見る。もちろん、咲ちゃんがその〈韓紅の心氣〉で相殺出来なければ、死より辛い現実に直面することになる」
威力測定にしては重すぎるテストだった。
だが、これは避けられない、あの日を超えられなければ、明日は永遠に来ないのだから……。
「おーけー緋色ね」
「……、解った。韓紅ですね」
つまり基本色を使ってからの応用色の一撃となる。お互い、闘技場で間合いを取る。一撃、たった一撃の攻防に緊張の糸がピンと張る……。
桃花先生が審判を務める。
「ではお互い! 基本色を全力展開!」
――咲は白色の心氣を、夜鈴は黄色の心氣を全力展開する……。
「次! 応用色を全力展開!」
――咲は韓紅色の心氣を、夜鈴は緋色の心氣を全力展開する。
「……何度も言うようだけど、1回だけだからね!」
先生が注意する、空間が振動する……、空気が今にも爆発しそうだ。
「先生、今回は2人とも剣に纏うで良いですか?」
「許可する!」
夜鈴は、剣に緋色の応用色を纏わせた。
同調するように、咲も剣に韓紅の応用色を纏わせた。
「では一撃のみ……、ハジメ!!!!」
「ゼイ!!!!」
「でやあ!!!」
キン! いや、ドゴン!!!!
という、重い、重い、重い斬撃とわ言えないほど重苦しい打撃音が、闘技場全体に響き渡った……。
――韓紅と緋色が激突する――。
――結果は……。




