第569話「基本色と応用色」★
1時間後……。桜ヶ丘公園で、桃花先生は全員を呼び集めた。
「えー結論から言うと。能力と精霊、という言い方を廃止します! あと心氣も普通に心氣と読むように調整します! まどろっこしかった!」
えー!? 折角覚えたのに―、という声が聞こえてきそうだが。……そんなことは無かった。皆真剣である。
「型も、自然型、環境型、文法型、色彩型、全王型がある! これも変わらない。……問題は【色指定】をしていないことと、インフレにどう対処するかにかかっていると思う!」
インフレ? 一体何処からそういう単語と会話が出てきたんだろう? と疑問視する。
「私が思うに、プロ作家でも〈レベル〉と〈経験値〉のパラメーターがごっちゃになってる作家が多いと私は思ってる!」
そこは、天上院姫も同意する。
「まあそうだろうな、レベル3をレベル3000と書いたほうが強そうに見えるが、……実際は、『それ必要経験値じゃね?』て思う漫画作品はよくある。〈学習曲線〉をよく解っていない作品の事な」
「そこで、どうだろう。私を倒せる人を、経験値1桃花にするとか……」
愚策が飛び込んできた。
「そもそも先生が強すぎる件について」
夜鈴がツッコミを入れた。
「あの、先生、それはやめておいたほうが良いです。マイペースに冒険するならともかく、毎日更新や週刊連載ですよ? どうみたって経験値をちくいち全員分計算するという、時間が足りません」
咲もメタ的に至極真っ当な反論を返した。
「やっぱレベル制導入はダメかー」
「いや、ダメとかでは無くて……無理です、桃花先生の体が持ちません」
健全で健康な身体があるから言える戯言である。
「まぁ、じゃあその件はやめておこう・保留にしておこう。とにかくここにいる7人の〈心氣の基本色〉を決めます」
……というわけで。心氣の基本色を決める運びになった。
天上院咲は白。
天上院姫は青。
信条戦空は赤。
桜愛夜鈴は黄。
日曜双矢は黒。
京学文美は橙。
湘南桃花は桃。
「以上、基本色を決めるの終わり」
「これで何が変わるんですか?」
桃花先生に咲がたずねる。
「別に、あとは好きに自由に遊べば良いよ、オーラの色が判明したってだけで、ちなみに、【色指定】してないと【無色透明】、デジタルイラストの透明レイヤーみたいになるね。あとは好きな【形】に能力やら文法を乗っけるだけだから……。重要なのはそこから何を具現化するか、かな」
これにより、オーラの色が細分化され、得意な形が【黒統一】から【色んな色】に細分化された。
「先生~、もっと色の名前を凝りたい人はどうするんですか? 例えば【真紅】の色とか」
夜鈴が桃花先生に質問を聞く。
「今言ったのは【基本色】、イラストレーター用語で言うなら【ベースカラー】だから、基本色以外を絡ませても良い。たぶん、〈アソートカラー〉か〈アクセントカラー〉って意味合いになるんじゃないかな? たぶん3段階も色指定してたら数十人のプレイヤーを捌ききれないから。アクセントカラーだろうねぇ~。私は、よりその人物の個性が色濃く出る色、つまり【応用色】って呼びたいな~」
「いや、先生が決めないで誰が決めるんですか……;」
夜鈴が困り汗を流す。
と言われても困るので、先生は決断する。
「じゃあ、今から基本色と応用色という呼び方で様子を観ます」
また様子見ですか、と文美は思った。
「ちなみに、何で基本色だけを最初に意図的に単調色に決めたかと言うと、昼と夜で影の付き方が変わるでしょ? 感情にだってオーラ・心氣は左右される、そうやって色が揺らぐんだったら単色狙いのほうが後で感情色を付けやすいでしょ? て言う寸法。感情が高ぶったら真紅色の応用色になる、の方が解りやすいでしょ?」
簡単に言うと、
スーパーサイヤ人で基本色。
スーパーサイヤ人2で応用色だ。
「じゃあこの7人ぐらいは最初に応用色決めておいたほうが良くないっすか?」
全く持ってその通りである、と桃花以外の全員が頷いた。拒否する気は無いらしい……。
「OK、じゃあ全員の応用色、決めときましょうか」
というわけで、応用色を決める運びと成った。
◇
メモ、色コード。
天上院咲、基本色◇白「ffffff」、応用色◇韓紅「e95363」。
天上院姫、基本色◇青「0095d9」、応用色◇レモンイエロー「f6e800」。
信条戦空、基本色◇赤「ff0000」、応用色◇灰色「767575」
桜愛夜鈴、基本色◇黄「ffff00」、応用色◇緋色「d3381c」。
日曜双矢、基本色◇黒「000000」、応用色◇シアン「00a0e9」。
京学文美、基本色◇橙「ee7800」、応用色◇バイオレット「714f9d」。
湘南桃花、基本色◇桃「f09199」、応用色◇エメラルドグリーン「00aa6c」。
◇
「これでいいか?」
GM姫は皆に確認するように問いかける。
で、皆はOKと了承した。
「んじゃ、決定っと……!」
姫は、〈エレメンタルワールド・オンライン3〉の新たなバージョンアップを了解した。
《ワールドアナウンス◇上限解放のお知らせ。今から、よりパワーアップする条件として、心氣に【色指定】することによって、強力になるシステムを導入しました! 心氣は【基本色】と【応用色】の設定が必要です、設定してない場合は【無色透明】になります。》




