番外編45「IF・ヒヨコ2号と咲」
西暦2034年4月1日。
――偉人の名声は、それを得るために用いられた手段によって評価されるべきである。
by、フランス貴族、モラリスト文学者。フランソワ・ド・ラ・ロシュフコー。
◇
その文脈の前後の意味は解らない、どうしてその人がこういう経緯で言ったのか、少女には解らなかった……。
少女は、世界の名言集を読んでいた。
自分の本棚にある大量の【物語】……、その一冊の中から偶然、適当に選んだ物を手にとって、ただ読んだだけだった……。
「へー、名声って手段なのね~。ん? 次のページに栞が1枚入ってる」
それは、何の変哲もない。1枚の白紙の紙……、鳩の羽でも、キャラクターの栞でも、何でもない、言うなれば1円にも満たない、ただのコピー用紙……。
◇
――金で時間を買えた試しはない。
by、アイアンマン。
◇
「なんだコレ? ……よく解んない」
分岐――、明らかな世界の分岐点……。
そんなことは全知全能者でも何でもない1人の少女には解るわけもなかった。
この姉妹の2人部屋に栞を挟む〈力〉のある人物なんて、1人しか居ない。
「ねー? コレお姉ちゃんの栞?」
「ん? あぁすまん、挟まっちゃったか……」
姉、と呼ばれる者はそう返すだけだった。
「この〈鋼の男〉さんの言っている意味って解る? 経緯とか、理由とか、てか誰ぇ……?」
妹の言葉に、単純に意味不明なので聞く。と、当たり前のように答えが返ってくる……。本来答えなど帰って来るハズがないのに、だ。
「投資をすれば、お金が働いてくれる。て言うのを信じそうになった、愚王に対して言った言葉さ」
その何処に〈時間〉が入って来るのだろう……? と、少女は純粋に思った。
「つまり?」
妹は結論を急かす。
「労働をして、時給が発生し、お金が貰える、つまり対価が貰える。その逆、つまり……、魔法の話さ」
――魔法? どっからその言葉が来たのだろう……? と妹は考える。
「……お姉ちゃん天才ぶってない?」
「ま、天才だからな」
そう、このお姉ちゃんは天才なのだ。
同じ世界には居ない、別次元と記憶を共有・同期しているから、何処に居ても記憶をアップデートされるのだ。同じ時間軸を共に遊ぶことは出来ない、しそういう存在は居ない。そう、今までは……。
「金で時間……、金で時間……、金で時間……ない」
意味不明な言葉に対して妹は名言を反芻する、記憶を定着させたい、まるで忘れちゃいけない言葉のように……。
多くが正しい隣人を演じている……。
話がいきなり脱線したが、本題に入ろう。
少女の名前は、天上院咲。天上院家の妹だ。
少女の名前は、天上院姫。天上院家の姉だ。
2人の勉強机の上にはVRMMOが出来るゲーム機とソフトがインストールされてある……。
「前もって話はしておいたよな? んじゃ、始めよう」
「う~ん……」
妹は気だるそうに重い返事をするのだった――。
何せVRゲームを遊ぶのは久々である。数ヶ月前振りだろうか。
――ゲームソフトの名前は、
『エレメンタルワールド・オンライン』……だ。
「ゲームを起動すると、VRワールドで遊べる、みたいな感じよね?」
「あぁ、その認識で合ってる」
「コツとかある? 本当にエンジョイ出来るの?」
「強いて上げるなら、祈るように寝ろ。話はそれからだ」
何の安全装置を仕掛けてるんだこの天才は? ……という思考に妹はならない。
「どんな内容のゲームなの?」
「ハリー・ポッツー」
何の物語かは解るが、そんな内容なのか? と思う、咲。
「んじゃ、始めるぞ」
ウイィン……、と高性能なVRゲーム機はPC的な小さなエンジン・起動音を鳴らし始めた――。
少女は、微睡みの中、夢の底へと落ちていった……。
◇
《ログインします、ようこそ。エレメンタルワールド・オンラインへ。プレイヤーの指示通りに、全てのチュートリアルをスキップします。》
《第1の街『クロニクル』へログインします。それではレッツ、エンジョイ!!》
何を言ってるんだこのバーは? とか咲は思ったが、テスターとしても、ここは頑張ろう。そう、頑張ろう。と、咲は思った。
「ここが、ゲームの世界」
少女は、無い空気を大きく吸い込む。風の匂いが感じられた。
「うわ、すご!? 昔のゲームより性能上がってない?!」
瞳を閉じて一呼吸すると、そこには胸一杯に自然な香りが広がった。まるで生きているかのようだ……。
《解。ソウルトランスレーターが導入されています。》
(ソウル? ええ、今なんて言った? 全く意味不明な専門用語を出すな!)
ソウルが魂、ということだけは解る。それ以外はさっぱり解らない咲。
《返答、とにかくリアルな異世界という意味です。》
「お、おう。すげー単調な言い回しになりましたな……」
ステータスバーが文字と音声で言ってくれると助かる・ありがたい。
見渡す限り、草、草、草、辺り一面が草原である。
咲はとりあえず、街の大門をくぐり抜けた。
《第1の街『クロニクル』へようこそ、プレイヤー咲様。》
街は、9ブロックに区切られた街並みと、看板に絵描かれていた。
案内板である、色々と用途があるようだ、中でもよく通いそうなのは。
ギルド中央広場の〈ギルド本部〉と〈闘技場〉なのかな? と当たりを付けながら……。
本名のまま始めてしまった咲であった、しかも漢字……。
英語表記でも、カタカナ表記でもない、この世界でもずっと咲で通すつもりだ。
家族は良いものだ、そう想いながら……。
「よーっし! 頑張ってエンジョイプレイするぞー!!!!」
それは、魂の叫び。否、心の叫び。――悲鳴。
「ゲームの主人公だったら、決めゼリフがいるよね……だったら、最終決戦のつもりで行こう! かな!! 何度も何度も言えば良いキャラになるよね!!」
所詮はゲーム、と数ヶ月前に切り捨てたゲームの世界……。
そんな、小手先でハリボテなキャラ付けじゃこの先、生き残れないぞ? と思ったのは、このゲームを作ったGMの姉・姫。
彼女は遠目にそっと見守っていた――。
だって、――少女に友達は……。
居ないのだから――。
◇◇◇
少女・咲は、世界樹クロニクルの王立図書館へ来ていた。
「投影? 完成? コレが強いスキルなのかしら……? だったらこのスキルの理屈を理解して、実戦出来れば……!」
少女はブツくさと呟く、内容は『超上級スキルの書』と書かれていた。
と、そこへ見知らぬ男性が。声をかけてきた、咲は初期装備なのに超上級スキルをの書を読んでいるのだ、それは違和感もある。
「お、初心者さんか? 君に必要なのは、投影や完成じゃないだろ……ほれ、お前に合った本」
内容は初心者向けの本。咲はその初心者用の本をパラッとめくる。
「あ、ありがとうございます! えっと、何々? 〈変換術〉?、魔法を使うなら、まず発動キーを作りましょう……?」
咲が他のゲームでやっていた、知っている魔法とは、ずいぶん違うようだった。いや、最先端ゲームを売りにしているのなら、このゲームシステム事態がかなり【理に叶っている】と言うべきなのだろう。
「すみません解りません、あの、もしお暇でしたら教えていただけませんか? 双矢さん」
少年の名前は、日曜双矢、……双矢とポップアップには書かれている。
この世界では、本名が義務付けられている。ほぼ例外はない。よほどのことがない限り現実世界の名前なのだ。
「いいぜ、暇だし、つまりああしてこうして……」
◇
前説明や状況をすっ飛ばして本番に入る。
そして30分後、第1の街の外側の草原。咲は魔法を発動した。
「花咲く技巧・開始・変換術・技能・【無垢なる斬撃】!……、……終局! やった出来たぁー!」
少女は魔法を習得した。
初心者用の魔法とは――。
①呪文開始の発動キーを自分でオリジナルを作り、それを鍵として演唱の開始とする。
②細かく言うと色々あるが、命令を出して、最後に終了コマンドを言えば終了となる。言わないと魔力が自動的に放出され続け、魔力切れになる。
ここまでは初心者用の呪文発動の流れなのだが、咲は〈変換術〉の書を入手・取得したので中級者向けの、更に幅広い巧みな呪文形成に成功していた。
〈変換術〉とは、大スキルの事で。3つの小スキルが存在する。
スキル〈入力〉〈技能〉〈出力〉だ……。
①発動キー、②オンオフの切り替え、③変換術の大スキルを使用、④小スキルを選択して使用、⑤小スキルの技名を発動、⑥最後にちゃんと終了のコマンドを演唱して終わりだ。
それらを合わせて――。
花咲く技巧・開始・変換術・技能・【無垢なる斬撃】・終局
……となるのだ。
最初は⑦とか⑧とか余計な命令系統をプログラムしたが、双矢に必要最低限にと切り捨てられた。
ちなみに、入力と技能と出力は具体的に何が出来るかと言うと……。これも話が長くなりそうなので後で技術書をよく読むようにと言われた。
「上手く出来てるぜ~、飲み込みが速いな」
「ありがとうございます! あの、双矢さんの魔法はどんな感じ何ですか?」
「ん、あーなら軽くやってやるよ」
言って少年は構えて、中級魔法を唱え始めた。
「双鏡の技巧・開始・変換術・出力・【黒色の暴風】!!!!』……、終局! ……、とか」
「すごーい!」
そして更に30分後、咲は、双矢と別れた。
どうやら双矢の仲間達から連絡が入り、ギルド本部の方に向かったらしい。ちなみに双矢の所属するギルドは『四重奏』と言うらしかった。
「またご縁がありましたらよろしくお願いします!」
「おーう! じゃーまたなー!」
そう言って、男は去っていった……。
「……、ヤバイ。魔法は覚えたが、いきなりやることが無くなった。う~ん、こういう時は……、釣りでもするか!」
少女は、魔法の練習と並列して。何の気無しにお魚釣りを始めることにした。
少女は、釣り糸を垂らしながら。
全然魚が釣れないことを良いことに、〈変換術の書〉を読み始めた……。
◇◇◇
西暦2034年4月1日仮想世界。
エレメンタルワールド・オンラインの太陽は今日も元気だった。
コツン――。
「痛てぁ!」
空から時計が降って来た。
「な、なんだコレ? 時計?」
時計にはこれまた手紙が挟まれていた。
――これはあなたにとてつもない力を与える、困った時に使って下さい。
――2037年の天上院咲より。
――想像を超えろ、想像できる全力で、でなきゃ相手に失礼だ。
――2037年の天上院姫より。
「なん……だ? この時計?」
《解答、現在では実現不可能なデータが含まれています。名前は『時空ウオッチ』……解凍しますか?》
「え? いや、ノーで。何これ? ……別に今困って無いんだけど……。てか用途とか何か書いてないっすか?」
《返答、このエレメンタル・ワールドで使える3年間分のスキルが多数内包されています。現状使用出来るスキルもありますが、反動が大きそうです。何より、これを使用すると、2037年の咲に体質が変化・変身します》
「てことは、……3年後私に変身するってこと!? なにそれロマンあるじゃん!?」
《ただし、時空ウオッチを3回発動すると。自動的に破壊される仕組みになっています》
「回数制限キター!? 何それますます強そうじゃん! 3年後の私粋な事してくれるね~……てか、これ疑問に持つべきか。……ん? 何で3年後の私は、3年前の私に時空ウオッチを渡したくなったんだ? ……動機は……?」
太陽が照りつける中、青空に想いを浮かべる……。
「3年後に、何があったんだ……」
「やめとけなのじゃ。仮に、今お前がその力を使ったしても、耐えられないよ」
そこにはテクテクと歩いてきたGM、姉・姫がやってきた。
何か、……知っている?
「……どういこと?」
「成長してない状態で、スキルだけ手に入れても意味ないってことじゃ。赤ちゃんにはパソコンとか使えないじゃろ? ……、というか教えても意味ない」
よく判っていない咲。
「つまり?」
「経験値が足りていない」
単的に短く言われてしまった。
「今知っても何も出来ない、お前はお前の冒険をすることをオススメするよ」
余計に聞きたくなってきた、マジで何があったんだ? 3年後の自分、と咲は思う。姫はこうとも言う。
「時々考えるよ、別の人生を、だが今の人生に感謝してる、数々の試練にも……。咲、お前はお前の試練を受け止めれば良い。それがお前だ」
「私は私……」
「そうだ、少し昔話をしよう。昔々あるところに――」
「?」
「昔々あるところに――神様が居ました、神様は何でも出来ました、神様は人間を生き返られる事も出来ました。長い年月を経て、ある日、神様に友達ができました。ある時その友達はヒヨコを飼い始めました、名前をぴーちゃんと名付けました。ある日、ぴーちゃんは死んでしまいました、友達はワンワン泣きました。可哀想に思った神様は、ぴーちゃんを生き返らせました、喜んでくれると思った神様でしたが、友達に〈それはぴーちゃんじゃない!〉と怒られました、友達は神様を否定し絶交しましたとさ。……おしまい」
「……」
「どう思う?」
頭の回転の速い妹・咲は、すぐに解答に行き着きました。
「ぴーちゃん2号ってこと?」
「……、そう、つまるところそういうことさ」
「仲直りは出来なかったの?」
「神様も子供だったからな、忘れて別の友達と遊ぶようになったよ」
それが現実。
「何が言いたいか解るか?」
「……解りたく無かった……」
「じゃろ? 神様にとってお前は、ぴーちゃん2号なんだよ」
「……」
「ぴーちゃん2号には、ぴーちゃん2号の人生がある、過去の歴史や、出生が何だってんだ。お前の今や未来を生きろ。私から言えるのはそれくらいだ」
「それがお前の試練だ、頑張れ。私の愛しきぴーちゃん2号」
悲しい沈黙……、そして、咲は聞く。
「ねえ、お姉ちゃんはぴーちゃん2号の事、好きなの?」
「……、どうだろうな。まだ愛着はない、……だが育てたいとは思ってる。じゃが、わしはぴーちゃん2号でもぴーちゃん100号でも、ぴーちゃんが好きだ、……そうでありたい……、以上! 暗い話をして悪かったな、んじゃ。また見守ってるよ……」
そう言って、姫はまたパッと消えた。
魚釣りをしている途中。また1人になった咲は、昔話に想いをはせる……。
「ぴーちゃん2号かぁ……」
◇◇◇
誰とも解らないギルドの受付嬢、湘南桃花がやってきた。
「お、ヒヨってる奴がいる」
煽ったって無駄だ、少女の決意はもう決まっていたからだ。
「……、誰だか知らないけど。ヒヨコ1号の友達?」
「まぁ、……ね、あんた物わかり速すぎるわ。ヒヨコ2号」
彼女は、序盤の冒険者にしては賢すぎた。桃花先生は言う。
「守破離とは、守り、破り、離れる。とも読む」
「賢い私は知っている、これから始まる冒険の先は何も無いと。賢い私は知っている、ヒヨコ1号は無駄骨ばかりの人生だったと。賢い私は知っている、賢者ならこんな世界では死を選ぶと。賢い私は知っている、無駄な動きがどれほど眩しく輝いているかを。賢い私は知っている、時には捨てて生かす事も必要だと。賢い私は知っている、1号は決断も出来ずのらりくらりと生きていたバカ野郎だと。賢い私は知っている、人生は選択の連続で何かを切り捨てないと身軽に成れないと……」
桃花先生はスルリと飲みこむように、清々しい顔をしている。
「別に、あんたの物語を続けても良いんだよ? 誰も攻めたりしない。大逆転劇だってきっとあるし、勝利する確率は高い」
「それじゃダメなんです。ヒヨコ1号には、もっと泥沼を這い上がるように生きてもらわないと……、私はまだ軽いんですから」
「決断できないヒヨコ1号に変わって、私が決断します。あんたは生きろ、私が死ぬからって。言ってくれませんか?」
「ふふ、決意の度合いがヒヨコ1号より勝ってるわね。100万文字のマシンガントークを、1万文字程度のトークで言い負かすか、これはこれは恐れ入る」
遠回りで、無様で、失敗だらけで、黒歴史で、観てられない、ヒドイものだとしても、それでもヒヨコ2号にとっては、とても欲しくてたまらない冒険だった。
「……短い人生だったわね」
その決意は本物だ。
「……、そういう人間もいるわよ。人生の価値は寿命の長短で決まるの? それは違うよってあなたは知ってるはずです」
グウの音も出ない正論だった、桃花先生はそれを痛いほど良く判っている。
「だから、私の時間を奪って欲しいです。泥棒さん」
「……、そういうのは【意志を受け継ぐ】って言うんだよ、バカタレ」
世界は単純だが、独りで持つには重過ぎた。
――だから私は私を捨てる。
――本当に失くしたくないものを、守り抜くために。
少女は、その時計を、時空ウオッチとか言う代物を。また太陽に向かって投げ帰した。
◇
3年後。
西暦2037年、仮想世界。
「……いて!?」
空から何かが降って来た。ここはヒヨコ1号の咲の世界線だった。
そこには、1枚の手紙があった。
――だから私は私を捨てる。
――あんたは愚かしく力の限り叫びなさい、立派な足でしゃんと歩け。
by、ヒヨコ2号。
「……」
ヒヨコ1号こと、天上院咲は、途方にくれる。
何かを得るためには、何かを捨てなければならない。
「私……生かされたのか……すう、はあ……またやっちまったか……」
また愚直さに一層の磨きがかかってしまったと痛感する、ヒヨコ1号こと咲。
《咲は、ヒヨコ2号のウオッチを手に入れました!》
無骨・無礼なステータス音が響き渡る。
それは、儚く短くとも。確かにヒヨコ1号より、輝いていた。
終わり。
豆知識
名前◇金で時間を買えた試しはない。
分類◇名言集_明らかな分岐点_世界線変動
解説◇映画、アベンジャーズから抜粋。それは1枚の栞だったし、今後どのような影響力を発揮するのかも解らない。だが、今現在でも彼らが浸食を続けている以上、現実世界での影響力はどうやったってある。何の話かと言うと、マルチバースの話である。つまり、天上院姫にとってはある種の保険の意味も兼ねての細工・仕掛けの1つだった。
名前◇ソウルトランスレーター。
分類◇人間の魂_魂の翻訳者_魂の入っている作品。
解説◇アニメ、ソードアート・オンラインから抜粋。別名『黄金魂』。人間の脳神経細胞内のマイクロチューブル内に存在する光量子であり、人間の魂とされる光の集合体。こらの構造を理解するのにGM、天上院姫は長い時間を費やし。やっと理解・分解・再構築が可能となった。
名前◇VR機『テンジョウ』
分類◇ゲーム機_VRMMO_ハードウエア。
解説◇天上院姫が設計した、ヘルメット型と手袋型を内包しているゲーム機。リング型も候補に上がったが、今回はヘルメット型を採用。PCとスマホで例えると、PCの方に分類される大型VRマシン。回線を切断されても、最大3時間はバッテリーが保持出来るように設計されている。なお、脳を焼き切ると言ったデスゲーム的な事にはならず、法律的に最大電力出力は制限・設計されている。法律を破れば電気椅子のような物も作れるが、……要は用法用量を守って正しく使いましょう。となる。手袋型の機械は、解りやすい不測の事態のコントローラーとして機能する。
名前◇変換術
分類◇スキルの書_魔法の書_入力・技能・出力。
解説◇大スキルの名前が〈変換術〉、小スキル3つの名前が、〈入力〉〈技能〉〈出力〉、用途は流れの向きが変わるベクトル操作に似ている。入力をすれば吸収系統のスキルの発動に役立つし、出力なら放出系の攻撃魔法を発動できる。車のオート操作とマニュアル操作で言ったら、マニュアル操作の方だろう。つまり、扱いが難しいスキルなのだ。だが、ちゃんと命令をプログラム出来れば、スムーズに精霊や他者に伝達できるという利点がある。
名前◇時空ウオッチ
分類◇2027年_咲ウオッチ_3年後の自分
解説◇3回限定、これを使うととてつもない力を発揮できる。だがそれは、ぴーちゃん1号の力であり、ぴーちゃん2号の力ではないことも忘れてはならない。




