第567話「まずは見聞色の覇気の修行」
現実世界、西暦2037年7月8日。
《ログアウトします、お疲れ様でした……。》
「……!、……。」
咲は自分の能力の覚醒と、寝起きの余韻に浸りながら深いため息とともに落ち込んでいた。
もう夢だけじゃ終われない、そういう葛藤だ……。
◇
現実世界、西暦2037年7月18日。
桜ヶ丘公園内。
最強ギルド『四重奏』は何をやっていたのか?
戦空は来ていたし、夜鈴は何か得体の知らない赫槍回想グングニルを引っこ抜いただけだし、……何をやりたかったんだ?
という疑問は当然起こる。
ここに疑問符を打つ人達は多いと思う。
実際彼らは、仮想世界には居なく、現実世界で動いていたからだ。
……、やっていたことは、例えて言うなら。
ワ◯ピース、フィルムレッドと同じ……。否、全く同じ。クライマックスで仮想世界……便宜上、歌を歌い始めた時点から、夢世界と現世界がリンクして、世界に大影響を与えていたことを。咲は知ってはいたが、認められなかった。
……、その認めない、が、認めるに変わったということ一点を除いて、フィルムレッドと違う……。
故に、ここから先の修行は、心氣で、……と言いたい所だが、まず覇気を使えないと。理解・分解・再構築の観点からもコントロール出来ない……。
故に……。
「え~、ということで〈覇気〉の修行のやり直しとなりま~す!」
まさか現世界で、マグニチュード7まで行くとは思ってなかった湘南桃花先生も冷や汗をかきながら。
ギルド『四重奏』、信条戦空、桜愛夜鈴、日曜双矢、京学文美。
ギルド『放課後クラブ』、天上院咲、天上院姫は呼び出された。
合計7名居る、例外はない。
「まずは、〈見聞色の覇気〉のコントロールからやり直しで~す! 私もやりま~す! 今は、現世界なので、この状態から咲ちゃんが最近良く使うスキル〈鷹の目〉、別名〈視界ジャック〉を、仮想世界の眠っている人の夢の世界をジャックする? 覗き見る訓練をします!」
咲は、何を言ってるんだこの先生は? とも思った。
無自覚で〈夢世界から現世界へ〉コントロール不可能で影響を及ぼしたのに。
今度は〈現世界から夢世界へ〉視界ジャックしろと……????
「はーい! 先生は阿呆ですかー? ワ◯ピースって、空想の物語ですよね~?」
ギャグ気味に咲は手を上げて苦笑いする。
「はーい! 先生はアホでーす! じゃない! しょうがないでしょ!? よくわかんないけど皆・全員カタクリの未来視レベルなんだから!? 目標は、相手の視界を一瞬、視る? ジャック? シンクロ? するんじゃなく、観てる状態を意識してコントロールすること! これが〈見聞色の覇気〉の修行レベル2です!」
……と、いうわけで先生は続ける。
「はーいじゃあ各々やってみて―! 視るだけだからね~! 悪さしちゃダメよ~~~~!」
『はーい!!!!』
というわけで、皆、各々やり始めた。




