第564話「検証班! 検証班!!」
「検証班! 検証班! 何か色んな意味で大変です! 検証ハーン!?」
普通の検証班がサジを投げて逃げ出してしまう中……。その男はいた。
プロ検証班『ヤイチ』、その数多の検証術で打開策を見出して来た、凄腕のミステリーハンター、……もとい検証班である。
仮想世界の現象が、現実世界にも影響を及ぼしています!
「ん、判ってる。……まー現実世界は現実のプロに任せるとして、コッチはコッチのプロ、仮想世界の情報を数値化して世に提供しますかね、金はもらうぜ? コッチはプロなんだ、ただ働きはゴメンだね、死んじゃう」
「まず、現在の状況は?」
アマ検証班がプロ検証班に情報を提供する。
「はい! 現在、西暦2037年7月9日! エレメンタルワールド・オンラインで、第5の街『カーン』で魔王城ロキで待ってるのが嫌になってラスボスが城下町まで降りてきました! 現在交戦中なのはラスボス姫VS勇者・咲、戦空、桃花。の図式となっております!」
「交戦映像は? ふーむフムなるほどねえ~……」
言って、プロ検証班ヤイチは情報を分析する。
「そして何故か、現実世界が大変な事になっています! 詳細は……」
「いや、そこまでは無粋だから言わなくていいよン」
そして。
「問題はコッチ側だ」
俺達の庭はここだと言わんばかりに現実を直視せずに、全力で現実逃避する。
そして検証の始まりだ。
「まずエボリューション・全って代物だ、ありゃ【今ある全ての現象を書き換える能力】だと思ったほうが良い、現実と合わせたらな、それがもうほぼコントロールできてる。検証班だから数値化出言うと、【数値を自由に設定可能が出来る能力となる】で、今さっき無自覚が自覚ありに変わったって話だ。破壊の目はその通り地震の力、先生は今落ち着いてるし、全盛期の力はもう出せなかいから、マグニチュード5が今出せる限界値だろうな、咲のM7までは出せない。んで、戦空は……昔過ぎて記録がないな……だが伝承ならある、口伝で聞いたことがある、あれは確かベイビー化する能力だったはずだ……なのに何故こんな威力になっている?」
「今現在の名前じゃないっすかね?」
いち検証班が呟く。
「なるほど戦う空か、……死の世界で生きづらいだろうなあ~あいつ……、咲は花だが家族の善神化して神格化されて、桃花先生は人間だが、道具を持ってるせいで能力が、いや、技術が使える……。で、今問題になってるのは姫様だ」
「え、何で? ラスボスっすよね?」
「悪役令嬢的には美味しいんだろうが、姫様を守ろうとする近衛兵的な、勢力が、姫様にダメージを与えたくない。だから反射力や反動力がデケーんだと思うぜ? つまり、徒党を組んだモノたちの反抗勢力によるダメージで、勇者ご一行は身動きが取りにくい、……とかそんなん。あんなの時間稼ぎにしかならないのにな」
どうしてそこまで、いや【こんなことで】……、ラスボスを守るんすか?
「ん~今までの情報を総合すると。……チームの違いなんじゃないか? メタファー、人格を分け与えているチーム。と、仲間、1個人の人間としてのチーム。世界と戦っているフェーズがもう終わっていると考えると……。簡単に言うとアンメタファー側からすると、仲間を傷つけさせてたまるか! みたいな精神なのかなと……だとすると、はたから見るとこの戦は仲間割れだな、ま、姉妹喧嘩だし、実際そうなんだが……」
検証班の洞察は流石であった。
「つーわけで、俺達のとる道は2つだ。この姉妹喧嘩を野次馬のように見て嘲笑うか、姉妹喧嘩を俺達が止めるか……だ、何か仕方なく戦ってるように見えなくもない。第一あいつら、仲良しだから戦ってるって事だろ? まー私情は置いておいて、どうしようもない極悪人じゃないのなら、この戦い、止めたほうが良いと思うぜ」
「でもそれ、ゲームとして面白く無いですよね……?」
「ま、それも1つの選択肢さ、あとは……見守ろう」
検証班はあくまで検証班だ、どっちの味方でもないのだった。




