第56話「セミプロVS太陽の3」
咲は、特殊弾丸をミラーシールドでガードしたが、その時不思議なことが起こった。
ミラーシールドの反射という特殊効果を無視し、時が止まる。
咲自身は動いていないが。それはDNAの螺旋模様のようだった、自分の体が360度クルクルクルと後方に映し出され。赤と青の螺旋が咲の後ろ方向にグルグルグルと廻る。螺旋はプレイヤーとプレイヤーの立場が逆転させられたような、別世界を一瞬脳裏に焼き付かせたが。咲が、なにこれ? と念じた途端、時が動き出す。
通常弾丸を受けたかのごとく。ミラーシールドが割れ、咲は空中に吹き飛び宙を舞う。
時間にして3秒ほどの、戦闘としては結構長い時間咲は無気力に自由落下した後。空中で体制を立て直し、雷速鼠動で下方に光速着地。衝撃のついでと言わんばかりに海面に360度のエレキフィールドを展開し、オーバーリミッツのHPをちょっと減らす程度の微力な電撃が辺りを支配する。
「はあ、はあ、ふう」
「ふふふ、へあー」
咲の左腕を掲げ、その先。壊れたミラーシールドが自動修復される。
今度は、互いの出方を伺うような微力なピクピク初動があってから。
灼熱太陽と、電光石火のオーラを互いに纏う。
オーバーリミッツは灼熱の太陽を、天上院咲は電光石火のオーラをこれでもかと爆発させその気を維持させる。
間を置いた後、海面を駆ける二人。左右対照的にぶつかる二人は、その激突と共に激しい光が爆発を起こした。
真っ白な爆撃波の中、双方が連撃連射を繰り返す音だけが聞こえる。
互いのHPがじりじり減っていくゲージ音が聞こえる。その後ロケット花火が、二つクルクルクルと上空に螺旋状に帯をなし。その頂点で剣劇音が鳴り響く。
弾かれた歯車とフェザーソードは空中で反動で後方に揺らぐ。
空中でオーバーリミッツは言う。HPを半分ほど残しながら。
「へえ、やるじゃない」
同じく空中で天上院咲は言う。HPを4分の1ほど残しながら。
「あなたこそ、あ。ほみゅ」
互いに互いを称賛しあって笑みを浮かべる。リミッツの方は余裕綽々、咲のほうは苦し紛れな笑みで場を暖める。
海面に着地し、リミッツは自信たっぷりに続ける。
「でも、まだまだね」
「ミラーシールド持っててもまだまだっスか」
「うん、まだまだ。まだまだ甘い」
「き、厳しいですね。ほみゅう」
咲は半ば冗談混じりに苦笑する。
リミッツはギア先から伝わる振動から、オーバーリミッツは咲の実力を読みとる。
「うん、次戦う時は本気出してね」
「ありゃりゃ、お見通しですか」
「目先が曇ってる相手に勝っても嬉しくない」
そう言い終わったあとビーという効果音が鳴り響いた。
タイムアップでHPの多いい、オーバーリミッツの勝ちに終わった。
ツンとした態度で彼女は捨てゼリフを言う。
「いつでも再戦受け付けるわ」