第558話「四方鳥瞰」
《第2クエスト名『英霊街フェイト東側視察』発生!》
《第2クエストを発生させた事により、スキル『鷹の目』の熟練度との相乗効果により、地図師のユニークスキル『四方鳥瞰』を発現させました!》
「ん? なんかユニークスキルが出た、鳥瞰って何?」
《解答。鳥瞰とは、鳥が空から見下ろすように、高い場所から地上を見下ろすことです。スキル『鷹の目』が一点からしか情報を得られなかったのに対して、ユニークスキルは四方つまり東西南北の情報を一度に見渡す事ができます。》
「なるほど、つまり『鷹の目』の東西南北を視るバージョンか!」
《解説。ユニークスキル『四方鳥瞰』、鷹を4匹東西南北へ飛ばし、高度1000メートル、視界1000メートル先まで見渡すことが出来る。地形把握、人数確認、戦況把握に有利になる。なお、鷹を飛ばしている間、プレイヤー自身は身動きが取れず、目も閉じなければならない。》
「なるほどなるほど! てか高度1000メートル!? 完全に山より高いじゃん!?」
「ぼさっと読んでるな! 走って東側へ行くぞ!」
英霊街フェイト東側、視察。
数秒後、サキとヒメは現地に到着し。戦闘前線には出ず、他のプレイヤーに守られながら視察を開始する。
「よーし! んじゃ始めるよー! ユニークスキル『四方鳥瞰』!!」
キーン! という音と共に、4羽の鷹が空高く飛び立った。サキはその4羽の鳥の視界をジャックする……。
高度100メートルで視察開始……。
〈東側。自分達が居る現在地点、冒険者は手薄。崖から落っこちて勝手に死んでゆくゾンビ達を確認、不気味です。崖が自然の防波堤となっています、50メートル先まではその自然の防波堤で撃退していますが。100メートル先は坂になっており、海浜に出れるのでゾンビたちが走って来ます……が、何か巨大な蒼い稲妻の巨大な狼型の獣がゾンビたちを蹴散らしてくれています、まるで市民を守ってくれているようです。〉
〈西側。50メートル先は英霊街です、ここのゾンビはそんなに入ってこず、相変わらず堅牢です。100メートル先、冒険者達のログインポイントでは、ワープホールは無いものの、ジャンプ台が設置されており、大ジャンプで特定の場所へ急いで行く姿が観られます。ジャンプ台は、中央街、東・南・北側、何処へでもジャンプで行けるようです。〉
〈南側。100メートル先、豪華客船ミルヴォワールがこっちの港へ来る。相変わらずミルヴォワール自体の護衛は鉄壁で、心配する必要はまるっきり無さそうだ。50メートル先、その豪華客船の道を開けろ! と言わんばかりに冒険者がゾンビたちを蹴散らしている。けが人多数、戦線離脱して街に引き返して帰って行くプレイヤーも居る。〉
〈北側。まるでゾンビの嵐の中に居るようだった、いやゾンビの波? 津波? 大津波? 兎に角ここが瓦解したら本陣の街まで雪崩込んでしまうことはよく分かる、上級者がココを守っているのも良くのもうなずける、誰かが炎の極大魔法スーパーフレア・フルバーストを使って焼き尽くしたが、すぐに増援? の走るゾンビたちであたり一面埋め尽くされた〉
視察が終わったので、すぐにギルド会館へ移動して報告。
そして結果発表。
《報告判定D! 下手だなぁ、サキちゃん。情景描写の仕方が、下手……! 1000メートルも見渡せる鷹を使って100メートルまでしか視てない、視界操作がド下手……!》
「だから! 何で! 受付嬢の口調が! ハンチョウなんだよ!?」
思わずツッコまずにはいられなかった地図師サキ。
ピー!!!!
と、ここでイベントはタイムアップ。どうやら無事に英霊街フェイトに豪華客船ミルヴォワールが到着したようだ、ただのモンスターだった走るゾンビ達は急に反転、走って逃げていった、辺りには何も居なくなってしまった。
サキは、地図師としてレベル3に上がってこのイベントの幕は閉じた。
地図師レベル3
《文字数を一方位150文字以上から400文字以下まで書き込んで、報告出来るようになりました!》
「終わったか、……てかユニークスキル『四方鳥瞰』凄いな、高度1000メートルまで見渡せるって……」
そこら辺の測量士より良い感じのデカイ情報をいち早く入手出来そうだった。
ヒメがアドバイスをする。
「折角だから、街の中心から四方鳥瞰を使って、高度100メートル以上から飛んで、100メートル以上先の情報を入手してみたらどうだ?」
なるほどそれはいいアイディアだった。
「だったらユニークスキル! 〈四方鳥瞰〉! 100メートルから先の情報を入手するぞー!」
今度は走るゾンビとか居ないから、ゆっくり視察出来ると安心するサキであった。




