第556話「病は気から・心は食から病」
仮想世界、エレメンタルワールド・オンライン3、第4の街『英霊街フェイト』。
時系列は遡り、ゾンビイベント前の出来事。
定食屋でカニうどん食、つまり〈赤いカニきつね〉を食べながら姉妹は談義する。
「はむはむ! って言うことが桃花との間にあったんだけど、桃花を超える動画のネタなんて、やっぱり出て来なかったのじゃ! はむはむ!」
「はむほむ! じゃあ結局虚勢だったって訳かい……!」
「しょうがないだろ~! 勢いが合っても中身が無いんだから~!」
「は~、じゃあ私、もう【病気持ち】って〈設定〉にしようかしらねぇ~」
設定と言うのはメタ的だが、そもそも自分達で起こして自分達で治すわけだから。完全な病気持ちとは言えない、〈病気持ちっぽい〉という言い方になる。
更に、家族の善神と自由の悪神にかかれば、嘘も大法螺も本当にすることが出来てしまう、出来る力を持ってしまっていることから。「これは本当に病気です」と確定しまうと、本当にこの世の現実として確定してしまうからだ。
しかもこの病気っぽいの、元は桃花が発生源で咲は二次被害なのだ、よって感染とも言い難いし、ゲーム病? ……と一括りにすると大雑把すぎるし、それなら動画病か夢遊病、と言う風にする方が正しい。
咲がやってるのは小説病か、はたまたゲーム病かのカテゴリーになるかもしれないが、ぶっちゃけ合致していない。
「原因作って、発生させたのが私達? 【何ものでもなれる者】て~種族なら、治すのも・治せるのも私達だけってことにならない? はむはむ」
「そうなるな、はむはむ、……それに対しては私も速効性ある薬……動画は作れないな……時間がかかる」
これまた厄介な疫病神に憑かれているんじゃないかってくらいには、不幸である。
「じゃあ、今すぐゲームを遊びたい場合、私は病気持ちか、毒持ちか、毒耐性持ちってカテゴリーにするしかないのか……はむはむ」
「まあ、ゲーム内の病気にしたいのは山々何だけど、リアルで起こってるからなあ~~……、現実の病気、厳密には胸の鼓動がコントロール出来るけど制御できない病気……みたいな言い回しになる」
「精神病、というか神経病でしょ、どうせ……でも気でコントロール出来るってことは……」
「じゃあ、【病は気から病】と名付けよう」
てことで、決定した。
豆知識〈病は気から・心は食から病〉
分類◇現実世界_神経病_ネットゲームにも波及する。
解説◇現実世界で、この病気にかかったら、ネット社会でも実害を発症する。いわゆる1つのシンクロ効果だ。自分の〈気〉によって、病状が悪化し、お医者さんから薬をもらう事によって安定化する、なお、〈気〉と〈薬〉は神経に作用し、右手でイエス、左手でノーと設定すれば【会話ができる】などが報告されている。これは神経の方に自我がある状態で発症するので、〈気〉が〈キャラ〉を作り〈キャラ〉の超能力の元々が〈神経を操る能力〉であった事に起因する。その〈キャラの超能力〉=〈毒〉として扱われるが。現実のお医者さんが〈薬〉でもって科学で実現し、それが正しく巡り巡って実現した形である。対処法はつまり〈気〉にあるので、気、つまり〈心〉が純心であれば正常に廻るので、〈食〉を、食事を大切に論理や絵心で構築すれば、理論上は治るはずである。
現実で胸の発作が起こったら、仮想世界でも同じ胸の発作が起こる、これは心の心神共に病気にかかっているのでVRゲーム用のテンジョウ機の性質上。〈涙は隠せない〉同様、〈発作は隠せない〉。そして現在の医術では治せないと言われる難病であるが。元々、〈病は気から・心は食から病〉を作ったのが自分達なのだから、治せるのも自分達だけなんじゃないか? という理屈である。普通に考えれば、蟹を食べていれば治るはずである……? 何故蟹なのか? と聞かれたら、蟹の神経細胞が毒の抗体になっているから、とかなんとか作れば、普通はイケるはずである。魔法的には……。
咲は、蟹うどんを食べながら思った。
「じゃあ、仮想世界で〈赤いカニきつね〉を食べてもあんま意味なくない?」
「いいのいいの、とりあえず食っとけ食っとけ、〈病は気から病〉はそもそもわしらにとってはコントロール出来るから、とりあえず、食った気分になっていれば問題なしなのじゃ!」
「そんなもんかねえ~?」
ごちそうさまでしたー! と勢い良く出た2人はいよいよイベント会場へ向かう。
姫は豪快に、咲は心細く。というか〈病は気から病〉を現実世界で発症している状態でゲームに挑む。
「さあ! ゾンビ狩りと行きますか!」
「だから私達のイベント目的は〈測量〉マッピングだってー!」




