第553話「ミラーディメンション令和19年」
「ミラーディメンション」
そう、双矢が呟くと、鏡の世界が出現して、鏡の向こう側に移動した。
「あれ、……電池切れだ……」
咲は結局、フルダイブVRゲームをすることは出来なかった。
機械の故障? それは解らない。
GM天上院姫が、平成12年の日曜双矢に聞く。
「えっと、西暦2037年って、令和19年で良いのか? 未来の和暦なんてネットで使ってる奴観たこと無いぞ……」
「それは知らないが……桃花、外の様子を観ただろ? 他に質問は?」
桃花の瞳には令和5年で起きた、世界情勢が見れた。まるで911を思い出させるような大惨事が世界を襲った。
「……もういい、十分わかった」
日曜双矢は〈何か〉の激情化を沈静化へ舵を切った。
「有り、何、無し、鏡は。本来お前たちが操作できる物質だ。今、この空間は何も無い空間に居る……、GM姫や桃花先生ぐらいは、コレを覚えて帰って貰わないとな……」
「へー発動条件とかってあるの?」
「解る限りでは、危険を恐れなければ良い。意味は、解るな?」
桃花は、2十数年前の記憶を思い出す。同時に姫も思い出す。
「リスクを恐れなければいいって? 私の教え子じゃない」
「ホントだ、何を恐れれば良いんだかw」
「まーこういうことだ、平成12年で教わる内容じゃないが、とにかく、ミラーディメンションの発動条件は【リスクを恐れないこと】だ。有・何・無・鏡、理解出来たなら未来でも使えるはずだ、てかお前らが使えなくて誰が使える?」
「たしかに」
桃花は反省の色と共にそう呟く。
「長く未来に居すぎたから、古来は勝手が違うな~」
などと姫は言うが、双矢はそれに対して答えを持っている。
「お前達にはマルチバースサーガとの戦いが待っている、つまり自分の時代で【パラドックスヒューマン】との戦いに備えろ、コントロールと言っても良い、もう友達になれるはずだ」
双矢は軽く言うが、果たしてソレが未来でちゃんと出来るだろうか?
「……うん、んじゃもう元の時代へ帰るよ」
「これじゃ咲がゲームできないしな!」
「おお、頑張れよ。また未来でな」
「ああ!」
「また未来で!」
「ん、お姉ちゃん話終わった? え、ちょ!?」
そう言って、日曜双矢のミラーディメンションを使って、平成12年から令和19年へ咲、姫、桃花は飛ばされた……。
◆
マルチバース018。西暦2037年。和暦、令和19年、7月1日。
日本国、平塚駅。ミラーディメンション、何でも有る世界。
「終わったみたいだな」
そこで待っていたのは、ギルド『非理法権天』の秘十席群が待っていた。
桃花はソレに対して驚愕する。
「群!? え、何でいるの?!」
「何でだろうな、でも、……出てきても良いかなって気分になっただけだ」
「ん? 誰?」
咲は訳がわからない。GM姫は宣言する。
「咲、次の敵はこいつだ、こいつはとりあえず1回、絶対に倒さなきゃならない強敵だ」
「そうなの? BIG4じゃなくて? こ、こんにちわ」
「あぁ、こんにちわ、お手柔らかにな」
(何かいい人そうなんだけど……?)
そこで、ミラーディメンションは解除されて平常状態に戻った。
その群という存在が、どれほどの強敵かは、今の咲には判らなかった。
名前◇ミラーディメンション
分類◇魔法_空間操作_結界
解説◇有・何・無・鏡の空間を作り出し、そこで修行する事に使われる。発動条件は【リスクを恐れないこと】、そしてヒーローの証でも有る。
名前◇パラドックスヒューマン
分類◇過去現在未来_矛盾_人種
解説◇これから先起こることは、過去現在未来の自分と出会う試練である。友達になれる可能性は残っている。敵ではないが、共存するには時間が必要だろう。
名前◇秘十席群
分類◇ただの人間_強敵_表裏一体
解説◇ギルド『非理法権天』の一員、その存在や情報は完全に秘匿されていた。湘南桃花が善の表の存在なら、群は悪の裏の存在である。影ではない。




