第550話「パラドックス咲姫2023」
西暦2037年、仮想世界。
桃花が姫を見送ったあと、再び事務処理をしようとしていた矢先に、ドアの向こう側が開き、何故からかまた走って姫がやってきた。
「今ここに私が来なかったか!?」
「へ?」
「バカ野郎! そいつがルパンだ!」
「へ……? え……!?」
「まあ、冗談は置いておいて。桃花は、ていうか群も落とした分岐が何度も枝分かれしたの見ただろ!? そしてお前は在りつづける者! そうだな!? 正確には群のほうが!」
「あの……何を言ってるのかさっぱり解らないんだけど?」
「お前は未来にしか進まない体だよな? だから正直に言うと2023年の桃花、そうだな!?」
「ん、ん!? 何が言いたいの? メタの話?」
「吸血鬼大戦は過去、咲の時代は未来、そしてお前は今なんだよ! 2037年の時代に、2023年の体で桃花は在り続けているってこと!」
「ちょっと待て落ち着けって!」
「あぁもうどうして気づかなかったんだろう……! 桃花の体感時間で2022年マルチバースで〈017が速い〉、〈018が普通〉、〈019が遅い〉、て17咲と18咲が説明したよな!? あの時に日本国首相が銃撃されたよな!? 018ではまだ起こってない未来だから気づけなかった! 18桃花は今起こったから気づけなかった、だから19姫が18桃花に会いに来たってこと!」
「え、ちょっと待って。何が起こってるんの?」
姫は自分も桃花も落ち着くように促す。
「よし……落ち着け? まず落とした分岐点が一杯あったよな?」
「え? ……うん、知らない他人がせっせか頑張ってた、落として分岐を増やしてた、演劇者頑張ってるなあ~程度で」
「それが本当だったとしたら?」
「は?」
桃花は、何か唖然としている。
「よし、落ち着け。まず、正確に、ちゃんとした年代を話そう。私は2000年代は同じだから省略して37年姫と呼ぼう、お前は23年桃花、オーケー?」
「お、オーケー……」
「12年桃花と群は今も胸をビクンビクンさせてる、オーケー?」
「おーけー」
「18年アントマンが心臓を不整脈にさせたのもオーケー? 分岐してるよな?」
「なんとなくは心当たりがある……」
「23年桃花がロキシーズン2を見て時間の流れをわかったのは23年の今だな」
「ちょ、ちょっと待って何が言いたいの?」
「私は時間の神様だからどの時代にでもいるからどうとでもなるけど、お前が37年代に居るのがヤバいってこと! 今すぐ23年に帰れ! 言いたいことは簡単! 23年にお前が居ないから、37年姫が23年桃花を「帰れ!」と言いに来たって事だよ! 23年桃花の体はどこに行った!?」
「え、ヒエ……!」
マイヒヤっとな気持ちになった23年桃花。
「えっと……つまり、帰れば良いってこと?」
「2023年に23年桃花がちゃんと居る状態で、この世界の明日ちゃんと確認しろ、話はそれからだ!」
「え、あの、……さっきの姫ちゃんは?」
「簡単に言うとアレは昨日の私だ。省略するが5日の私が6日に時間の流れを観て知って、5日に戻って桃花と話をしている」
「……それは6日に話しても良かったんじゃ……?」
「とにかく戻れ! 2023年に戻れ!」
「お、おう。……わかった」
こうして、何かよくわからないが。2037年に居た23年桃花を、2023年に戻した。
西暦2023年……、現実世界、現在、湘南桃花家の自宅。
「……、とりあえず、休んで様子を見よう……」
一回横になった……。
と、なった所で。アストラル体の姫が霊体として浮き出てきた。
「わ! 姫ちゃん! 何で出てきたの!?」
(しょうがないだろ! 23年姫は3歳の赤ちゃんだ! 憑依したって動けないよ! ならお前に直接憑依したほうが速いってこと!)
「な、……なるほど……、お前ももう必死だな」
(で、お前2037年までの記憶、どれくらい持って来てる?)
「……、かなりだ。かなりある」
衝撃の事実が明らかになる。正確に言うとラノベ単行本11巻分の情報量を読んだことになる、記憶を覚えているかは別問題になるが……。
(……やばくね?)
「いやでも、寝て遊んでた記憶しかないからそんなに動かなければ大丈夫なんじゃないかな?」
(いやでも、お前どうせ動くだろ……)
説明しよう、23年桃花は37年時代に居たが、創作ごとだと思って今から34年の未来で好き勝手に暴れて3年間過ごし、その後、2037年に一気に2023年に戻ってきたのだ!
「私にとっては現在だけど、他の人達にとっては未来人が来たってこと?」
(23年桃花は23年桃花だからな~、それによって影響を受けた咲達はどうなる?)
「だから12年夜鈴達が12年桃花の時点で分岐を増やしてた?」
(たぶん、ちなみに19年エンドゲーム桃花達が12年桃花の分岐を増やしてた。だけど事の発端は10年桃花だから、12年夜鈴が変えたかったのは10年桃花だ。だけど、そのための犠牲を無かった事にしたくなかったから19年夜鈴達は12年桃花をターゲットにした)
「そこで12年蒼葉が別のルートに吹っ飛んだ?」
(たぶん……)
「……、そして絶対の化身の悪い桃花は2014年から飛んで2019年でぶっ倒された?」
(そうか! デルタだ! 4だ! Δだよ!)
「えぇ!? 時代そのものが悪だったの!? 世界が悪だったの!? デルタだったの!?」
(たぶん……、あーだから2018年ってかなりレアだったんだな~……)
「何で一桁にしなかったし……もっとやりようあったじゃん」
(じゃあさあ、咲の背番号決めない? アイツ救世主じゃん?)
「咲……39、一桁が良いから背番号3にしない?」
(お、おう、戦空が8、桃花が4、咲が3か……)
「ミュウも3だったはず……」
(3で良いだろ3で! どっちの意味も欲しいなら33で解るだろ!?)
「てか何の話をしてるんだよ!? ロゴ合わせじゃん!?」
(神様は01で、ユウジは2な)
「えっとー、桃花を過去から未来に引っ張り出したのは12年夜鈴で、桃花を未来から現在に引っ張り出したのは37年姫ってこと? なるほど、別の時刻から出入り出来るの意味がわかったわ」
で、そこで1つの異変。
「お姉ちゃんまた何かやったの?」
咲が来た。
桃花の部屋に入ってきたのは、2037年の天上院咲だった。
23年桃花と37年姫は硬直する
「……ここ2023年だよね?」
(そうだな、魔法科学高等学校に入学した37年咲が居る……肉体在りで……)
「「……」」
「タイムパラドックスだぁああああー!?」
(いやお前が言うなや!?)
細心の注意を払って移動してきた37年姫の苦労が37年咲のエンジョイで水の泡と化した。
2023年、今この時代に、2~3歳の咲&姫と、15~16歳の咲かっこ実体&姫かっこ霊体が同時に存在している……。
ヤバイ……。




