番外編2「ミニゲーム2」
ミニゲーム もしアベンジャーズに天上院咲が飛び込んでしまったら。
天上院咲はVRゲーム機の中で夢想する。
彼女にとっての転機は天上院姫とのバトルだろう、アレを超えるものはポンとはそうそう出会えない。だが、もし迷いこんでしまったら。これはそんなもしもの、IFの世界だ。
地球を滅亡へと誘う敵対者サノス。彼のことについては咲はほとんど知らない。敵はエンペラーでも、この場合姉である姫でもないだろう。
そうなってくると敵は誰だ? 運営? マナーの悪いプレイヤー? バグったキャラクターの暴走?
彼女が銀幕で出会うべきものは、自分の影である自分自身であろう。
シナリオはこうだ。
「私私私、そして私」
「ダメだ、勝てない」
そんな中、鉄パイプを持って駆けつけたのはスパイダーマンだった。
パイプとパイプを反響させて、咲の影を討滅する。
「大丈夫かいお嬢さん、あー。君もヒーローネームとかあるの?」
「私は咲よ、今はよくわかんないけど。この暗闇の迷路を北へ向かって移動中」
言うと、咲はコンパスを取り出す。取り出した円形のコンパスはクルクルクルと回るばかりで北なんて指してくれる気配がなかった。
「オーケー任せてくれ、ここは僕が先頭に立って歩くよ。ちょっと歩きながら話そう」
言うと、スパイダーマンは先頭を歩いて行って咲はついて行くことにした。
「君はどこ生まれ」
「日本よ、髪はアバターで黄色いけど」
「ワオ、じゃあジャパンを守ってるのか? 日本は良いよね、ほら機械とか」
「守ってるとか、そんな大したことはしてないわ。姉を病院送りにしただけで。日本とか、世界とか。そんな壮大なことは私は何もしていない」
「でも君はこの闇の中に入ってこれた、てことは。何か特別な意味があるはずだよ」
「意味?」
「そう、例えば宿命とか。あぁいけないな、僕の周りの人たちが凄い人ばっかりでさ。僕なんか足下にも及ばないほど偉大で、僕は小市民で、何かでっかいことをやろうと必死に背伸びをしている」
「ん、良いんじゃない? 男の子はそういう野望に燃えてる方がカッコいいよ」
「ワオ、引かないんだね。今の僕の友人とかに言ったら「それ本気で言ってる?」とか言われそうだ」
「私は名声を何となく上げたくて、この世界を旅してるふしがあるからね。野望とか野心とかは理解できる」
「あぁ解ってくれるのか、じゃあ教えてくれ。どうしたら彼らみたいな英雄になれる?」
「なんで私に聞くの?」
「根拠はない、でも君だったら解るはずだ」
「ん~それってアイアンマンやソーとかになるにはってことでしょ?」
「そう!」
「本で読んだ知識で良い?」
「何でもいい!」
一瞬間を置いて咲は言う。
「愛がなければ道は開かない」
「……ラブ!?」
「あたしにはなくて、あなたにはあるもの」
「……」
「ソレを本で読んでここに居るんだもん間違いない、んじゃ。あんたはあんたの道を生きな」
「ちょっと待ってそれだけ!?」
「ああ、言い忘れてた。私は2030年くらいの未来の人間」
「え、何だって?」
「私が生きる未来、守ってみなさいよね」
そういうと、咲は光の中に消えてゆき。闇のドアが開いた。
スパイダーマンは闇の中から脱出でき、サノスとの決戦にのぞむのだった。
「やってやる」
VRの機械から表を上げる咲は、不思議な体験に疑問を抱いたが。
「変な夢、えっとどんな夢だったっけ」
それは白昼夢のように。
「・・・忘れた」