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少女は異世界ゲームで名を揚げる。~ギルド『放課後クラブ』はエンジョイプレイを満喫するようです~  作者: ゆめみじ18
第31章「心氣教室」西暦2037年5月20日

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第523話「心氣教室①」

 同日。西暦2037年5月20日放課後、VR世界。

 電脳都市ライデン、凱旋門前。。


 ピロリーン!

《運営よりメンテナンスのお知らせです、EWO3のバージョンアップを行います。現在明かされていない未知の技術「心氣」の詳しい情報を開示します、コレによりチュートリアル教室を設けました。冒険者の皆さんは「カルテットタウン」クエスト受付広場の、「心氣教室」までお越し下さい。そこで新たな力「心氣」についての詳しい授業を、湘南桃花先生が直々にお話します》


「お、長ったらしいアナウンス来た」

「心氣か、知らない単語だな。ヒメは知ってるのか?」

「もちろんじゃ」

「……じゃあヒメに教わった方が速くね?」

 サキ、エンペラー、ヒメ、グリゴロスと交互に話す……。そしてヒメが言う単語は至極真っ当なものだった。

 

「いや、全員まとまって説明してほしいから。そこは桃花先生に任せた」

 どうやら事情があるらしい……。

「んじゃ、行きますか、ヒマだし」

 こうして、一行は〈カルテットタウン〉へ飛んだ。

 


 桃花先生、かっこ受付嬢のほぼ社畜となり果てた物体は。他のヘトヘトになっている生徒達をしり目に、2回目の授業をする寸前の所でサキ達が来た。


 合格者はギルド『四重奏』と、ギルド『非理法権天』のみ。

 あとのギルドは誰も習得・合格していないようだった。……あの最強ギルド『最果ての軍勢』でさえもだ。


「お、来たね。放課後クラブ」

 桃花先生がサキ達に気が付く。

「こんちわ桃花さん!」

「んちゃ! なのじゃ先生!」

「相変わらずだなあ~、その自由さ!」

 積もる話もあるだろうがここは教室、早速「心氣」についての授業が始まるのだった。



「……と、言うわけで。心氣は今だ謎が多い技術だけど、常に人間の心に宿ってるって言い方が自然かな?」

 と、桃花先生は言い始めるが……サキはつまんなそうにあくびをし始めた。

「おい、そこ、何であくびするし、今メッチャ知的探究心くすぐられる事言ってるぞ?」

「だって、ただ聞いてるだけってつまんないし……」

 もっともだった、どうせなら実戦を交えて教えて欲しいと言う声もチラホラ……。

 

「ふむ、……実戦ねえ~……よろし、じゃ実戦しましょう、サキちゃんあくびしたんだから来なさい」

「えぇー!?」


 カルテットタウン、闘技場内。

 桃花にとっては、もう何回言ったか解らないほどの回数で同じ事を言っている。よってこっちの方がつまらないわ! と思い言いたくなるほどだったが……そこは大人である。

 

 生徒達は渡された教科書〈心氣解説〉を手に取り、また読み、試行錯誤している。


「まず『能力』と『技術』! 『能力』は本能! ノリと雰囲気! 『技術』は論理! ここでは『心氣』と呼ぶ! 本物のプロは方位や数学で乗り越えてきた! 心氣は避けては通れない!」


 一部の人間が「本物の強さか……」「いいね……」とか思っていたが。

 ここでサキは「先のページにある精霊って何ですかー?」とか言われる。それは9ページ先の内容だった……。

「あのう、まず戦闘の前にさ。基礎知識、専門用語の説明させてくれない?」

「だから戦ってみれば解るじゃないですか」

 内心プッツン怒りそうな桃花先生。

「すー……。OK、じゃあまずは心氣の知識ありとなしでの戦いでもしましょうか。私がもちろんアリ、あんたはナシ、コレでいい?」

「はい! あーやっと遊べる~!」


「……あの~……、もしかして心氣のこと新しいスキルや秘奥義ぐらいにしか思って無いんじゃない?」


「え? 違うんですか? もしかしてチート技の念波系? あれはポリゴン操作だったけど」

「……あーもういい、やるよ、さっさと構えて!」


《桃花VSサキの決闘(デュエル)を始めます! ――始め!》


「とりあえず突進! 〈森羅万象のワルツ〉!」

 シュバ! 流石にこれらの戦闘の流れはサキは速い……。が……。

 桃花先生はいよいよ持って授業を始めることとなる。

 

 (ココロ)心室(サークル)火を灯し(イグニッション)

 錬貯(ストック)を錬り錬りしたあと、ソレを変換(リンネ)へとスムーズに移行、心氣(ハーツ)へと変え、力を宿したのはただの右拳……。

 

 ここまで1秒。

 

「まずさー、サキちゃんさー……。死ぬ気で来いよ(・・・・・・・)

「!?」


 指パッチン。

 瞬間、【何か自分は安全地帯に居るのでゆるいぬるま湯で暖かくのほほんとしてたら、自然と勝てるんじゃないかという甘い、Aボタン連打でボスを倒せるような錯覚を全部。死ね】の一言で吹き飛ばされたような危機感に苛まれる。

 

 ――瞬間、衝撃波と共に爆音。


 流石のサキもヤバイと感じ距離をとり、冷や汗を流す。

 他の冒険者はと言うと……、何とモブというモブ全員が泡を吹いてぶっ倒れてしまっていた。

 残っているのは数人、2つ名持ちのネームドか、猛者か、放課後クラブの4人組のみ。……、桃花先生は言う。

 

「これは一人言の呟きなんだけどさ~」

「……;」

「サキちゃんは、〈斬らなきゃ死ぬ〉〈斬り続けなきゃ死ぬ〉〈斬るの止めたら死ぬ〉〈誰かに殺される〉……て窮地に立ったことある? 一回でも、一振りでも斬るのを止めたら次の瞬間死ぬって、解ってる? 人生終わりなんだよ? 先は無いんだよ? まさか今の指パッチンでもこの先の人生はずっと、続くからのんびり楽しい冒険が待ってるんだって、本気で思ってた? 残念、今ので死んでたんだよ。解る? 解らないよね? 死んだこともないし、首を切られたことも無いんだからさ、じゃあさあ、こうしようよ、疑似体験……体験学習、やってみる?」


 サキは、(あ、ヤバ、キレてる)ていうのを肌で感じて戦慄した。

「あ、待ってタンマ!」

「待たない、死ね」


 心氣(ハーツ)、とは一体何……?

 サキはその答えを知らずに終わった。


 本当に、何の微塵の容赦も無く、覚悟なき者は去れと。仮想世界も現実世界も丸ごとに……、

 

 天上院咲は死んだ。

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