第522話「四獣王ミラーライオン③」
「誰かに言われて効率的な勉強を続けるAさんと、これが絶対やという勉強を訳も分からず信じて続けるBさん。強くなるのはBさんなんやんで?」
by りゅうおうのおしごと18巻『泥の中で』より。
◆
『答えろ、お前達は何を恐れている?』
必死に考えて考えて長考して、答えが出るまで考えて、考えた結果の答えがコレだった……。
「私は、自分が信じられなくなるのが一番怖い。……です」
『ほう、それは自分に自信が持てないのが怖いと?』
「……そうじゃありません」
わけも解らずミラーライオンの返答を突っぱねるサキ。
「自分を信じるとか、他人が信じてる自分とか、神様を信じる信じないとか、頑張った量が足らないから自信が無いからとか、そういうフワっとしたのじゃ無いです」
『では何だ』
長考の末に言葉を探り探り、探しながら言葉を自分を探す。
「信じて疑わないこと、そう! 自分を疑わないこと。これが面白いんだと言い切れ! とか虚勢を張って自分を鼓舞するんじゃ無くて、保証無く疑える強い自分に成りたい! 総じて、【疑うことに恐れています!】……ッ!」
『なるほど、疑うことに対して恐れているのだな。良い答えだ、他のも者には決して無いお前だけの答えだ、名を何という』
「サキです、日本語で花が咲くと言う意味の咲です」
『サキか、名前覚えさせて貰おう。他の3人の答えは無いのか?』
他の3人はサキほど自信を持って言える『何を恐れているか?』の答えは出なかった。そう、あの全知全能、創造神、ゲームマスターのヒメでさえもだ……。
「「「……、……!」」」
『無ければ、例えゲームマスターであろうと私に挑む権利は無い。4人全員、何を恐れているか答えが出たときに。また会おうぞ、……いつでも来い。ではさらばだ』
言って、ミラーライオンは。霧の草原の中に消えていった――。
そして霧は晴れて、いつもの始まりの草原が目に入ってきた――。
◆
「ゲームマスターの要請も拒否するのね、あのライオン……」
サキの言葉にヒメが返答する。
「いや、色々頭の中でシュミレートしたが。アレは自分の闇と正面から戦えるか? と等しい、でなければ自分の鏡に負けるだろうさ、あの質問に答えられない以上、挑んでも勝負にもならなかっただろうな。跳ね返される」
「そういうモンなの?」
「自分の表と裏、過去と未来、二つの世界を統べる者こそが攻撃が通る。……そういうもんさ」
エンペラーとグリゴロスが言う。
「自分を見つめ直せって事か……」
「挑んでたらサキ以外の攻撃が通らないほどの防御力……と思っといた方が良い、加えてあの知性、圧倒的不利だな……」
結果だけ見れば、ライオンの威嚇で4人中3人が怯んだ、という体になってしまった。
「んじゃ、いったん始まりの街へ戻って対策考えようぜ~、流石に戦わずに負けるのは納得いかん」
「俺も~~」
「俺もだわ……」
4人パーティーはいったん始まりの街へ戻って、宿屋に入り対策を練る事にした……。




