第511話「王VS民⑧真昼ノ剣と真夜ノ剣」★×3
西暦2037年5月10日、フェーズ2開始直前。
天上院咲は新しい武器を欲していた。
「何かそろそろ新しい武器が欲しいわね~」
『何だ、急に昔の木の剣が恋しくなったのか?』
初心者の頃の剣というのは何だか愛着がわくものである。
それはそれとして、珍しく相方であるマゼンタの男声が呼びかけてくる。元伝説のプレイヤー……。キューブの中に入った魂だけの存在は何処か楽しそうな声色だった。
「ん~何か左手首ににライトキューブのブレスレット、右手首に三眼ブレスレットってごちゃごちゃ五月蠅いのよねえ~……あ! ねえねえ、あなたのそのキューブって剣の素材に出来ないのかな!?」
『いきなり物騒な事を言いだすな……、魂だけの存在の俺を更に加工するつもりかよ……』
「違う違うそうじゃなくって、キューブって味気ないからさぁ。魂はそのままに、器の形状を変えようとって話! 個人的には新しい剣に魂を宿らせた方が使いやすそうだなと思って!」
『なるほど、器だけか……確かに三眼ブレスレットは別として、キューブは加工素材としては一級品かもな、でも問題はもうすぐフェーズ2始まるぞ? そんな武器加工の時間も鍛冶屋の知り合いも居ないだろ……?』
ちなみに、今の右手首に装備中の〈三眼ブレスト〉の眼のスロットは。
右目、模写の眼。相手の能力をコピーできるのに優れた眼。
左目、転生の眼。自分と相手の位置を入れ替えることが出来る眼。
中央、審判の眼。隠し事をしてても真偽を見通すことが出来る眼。
と、なている。
咲の今のメイン武器は〈黒山羊八式〉、結構禍々しい〈見つめる眼〉が特徴的な贖罪の山羊がモチーフだ。モンスターからドロップしたもので、咲が持つと、〈らしくないデザイン〉となっている。
「鍛冶屋は居ないが運営・ゲームマスターなら居るぞい?」
『コラコラ、人がいないからって勝手にゲームシステムををいじるな』
そこへやってきたのはゲームマスター天上院姫と左手首にぶら下がっている元運営陣のシアンだ。
「まあ、鍛冶屋を目指すプレイヤーを探すのはこのイベントが終わってからでいいからさ、ちょっと良いアイディアが浮かんだから。ちょっとそれとこの2つのキューブを武器に改造しよう!」
「まじ?」
「システムID! 良くわかんないけどゲームマスター姫の権限でキューブを過程や行程を吹っ飛ばして武器に錬成!」
ポン!
《マゼンタキューブを素材に、魂剣『真昼ノ剣』を錬成しました。》
《シアンキューブを素材に、魂剣『真夜ノ剣』を錬成しました。》
「……ホイできた。咲の武器は魂剣『真昼ノ剣』な」
「わ! もうできたのお姉ちゃん!? しかも私のイメージ通りに!?」
「まあわしが居ればこんなもんじゃよ、ちょっと両方持ってみ? おぉー映えるバエル!」
「えへへへ、黒の剣士ごっこ~~~~!」
「うん! 似合ってるぞ! でも咲は一刀流の片手剣使いだから、魂剣『真夜ノ剣』はわしがもらうな、お前が使ったらシアンまでそっちに行ってしまうし」
「うん、わかった! よ~っし頑張って成長しようね! マゼンタ!」
『ふふ、あぁ、そうだな』
こうして、武器の新調をした上で、フェーズ2が開始された。
魂剣『真昼ノ剣』
武器レベル3。
最後まで使う、成長する剣として作られた。
色は、マゼンタとホワイトのダブル。
形は、風見鶏と衛星電波修正時計がモチーフ。
材質は、光ファイバーの材料が使われている。主に石英ガラスで出来ていて。プラセオジムは、光ファイバーデバイスや光ファイバーの光学特性を制御するために使用される材料。
特性は、人間の大脳とほぼ同容量のデータを保存する事が出来る。
魂人格は、マゼンタと命名。元は日曜双矢という男性の本体からコピーされた人格。現実世界の肉体は生存しているがもはや別人格。
魂剣『真夜ノ剣』
武器レベル3。
最後まで使う、成長する剣として作られた。
色は、シアンとブラックのダブル。
形は、鳳蝶と桜吹雪がモチーフ。
材質は、光ファイバーの材料が使われている。主に石英ガラスで出来ていて。プラセオジムは、光ファイバーデバイスや光ファイバーの光学特性を制御するために使用される材料。
特性は、人間の大脳とほぼ同容量のデータを保存する事が出来る。
魂人格は、シアンと命名。元は天上院姫のコピーだが、何故か男性に性転換しており、その本体からコピーされた人格。現実世界の肉体は死亡している。




