第507話「王VS民④盾役二軍戦線」
一軍、司令塔、真城和季が作戦の指揮を執る。
「さて、皆集まってくれ。今は革命軍プレイヤー達にはそこら辺の魔物と戦ってもらっている状況だ、対してこっちが16人、圧倒的に数で負けているし勇者ムーブをするのか魔王ムーブをするのかも不明だ、そこをハッキリさせたい。あと、モンスターが少なく、種類も少なく世界の危機を感じられない。は避けたいので冒険者プレイヤーには『何かいかにも倒して良い敵だ!』ムーブはキメこんで良いと思う」
これまた普段からいつもやっている、三軍。第二の司令塔、桜愛夜鈴が賛同する。
「戦空がもう外に出て戦いたがってたので止めときました。流石に今回は圧倒的に不利なので、特に最果ての軍勢25人が敵なのが痛すぎます。そこで提案、折角一軍から四軍までチーム組まれてるので、4人1組で戦場を操作するのが妥当かと」
二軍、戦闘員。レジェンドマンがノド太く言う。
「4チームだろうと4人に例えるのだろうとやはり最前線、盾役は居るだろう、一軍が倒されるのが敗北条件に成っている以上。一軍の進軍はあり得ない、大将だからな。となると、一軍が王都待機、二軍が盾役、三軍が遊撃隊、四軍が後方支援。あたりが妥当なんじゃ無いか?」
四軍、近衛遊歩がワクワクと闘争本能が疼いていた。
「マジかよ、レジェンドマンが盾役とか豪華すぎだろこのチーム……!」
一軍、真城和季がイヤホンマイクを手渡す。
「細かい作戦を言っても言うこと聞かないだろうからそれでいいが。天上院姫、二軍にモンスターで〈ギガントミノタウロス〉を4体出せないか? これ見よがしな倒して良いモンスターとして。あとイヤホンマイク、これで情報共有は一瞬で伝達される、戦闘箇所が広範囲だからコレで何とかしよう」
二軍、天上院姫は呆れたように和季に言う。
「ワシは召喚士か何かかよ? ……まあ良いよゲームが面白くなるならそれで」
言ってステータスバーを動かして、ギガントミノタウロスを4体選択しようとしたところで……。
「なあ、もう戦場に出して良いのか」
「イヤ、二軍も同時に戦線に召喚する。上空に召喚してくれ、派手に落としてやろうぜ!」
「二軍ってワシも落とされる前提なんじゃが……」
一軍、真城和季が「話は以上だ」と本当に短い作戦を終了する。
「一軍が王都待機、二軍が盾役、三軍が遊撃隊、四軍が後方支援。あとは自由、以上だ! このルールだけは守ってくれ! んじゃ、全員この戦勝つぞ!」
『おおおおおおううううううう!!!!』
◆始まりの街ライデンと雲の王国ピュリアの間の中間戦線◆
Aランクプレイヤー達が上空を見上げる。
「おい! アレ観ろ! 門だ!」
「上空から何か降りてくるぞ! 総員退避退避ー!」
円形に魔法のような火花を散らして出現する亜空間。
ヒュー! ……ドゴン! と地響きが鳴り、4体の〈ギガントミノタウロス〉が姿を現した。
〈ギガントミノタウロス〉×4体、レベル不明。
冒険者達が次々に騒ぐ……。
「バカでけえ……巨人族だ……!」
「それよりオイ! アレ見て観ろよ! 肩の上に人が乗ってる!」
「う! うわああああああああ!?」
「日曜双矢! レジェンドマン! 天上院姫! キャビネット! だぁあああああーーーー!?!?」
「やっべえええええ!? 最前線に二軍が来やがった!?」
そしてゲートは閉じる。その4人いずれもが、Sランクギルドのバケモノ達だ。
「退避! 退避! いや撤退!」
「レジェンドマン!? 一番会っちゃいけない奴が最前線に来ちゃった!?」
「BランクやCランクギルドじゃ敵わねーよ!? 革命軍本部へ連絡! 敵が動き出した!」
「いや攻めろ! せめてギガントミノタウロスの足に傷をつけてやろーぜ!」
「脂肪が厚くて攻撃が通らねーよ!」
そして、その場に居合わせた。ギルド『脳筋漢ズ』は……。
「ここが一番戦える場所ってことで良いんだよな?」
「そのようだぜ? 最果ての軍勢はまだ作戦会議中だ」
「なら、俺達がやっちまっても別に文句はねーよな?」
「求めるものは強者! ただその一点のみ! 後方魔法が飛んできたら、まあそれはその時考えよう」
冒険者プレイヤーが叫ぶ。
「ジャンプ! マガジン! サンデー! チャンピオンだぁー!」
最前線の何でもありの戦場線ど真ん中の中央、ここが折れたら瓦解する。
ジャンプVSレジェンドマン。
マガジンVS日曜双矢。
サンデーVS天上院姫。
チャンピオンVSキャビネット。
今、血湧き肉躍る戦いの火蓋が切って落とされた。




