第502話「大感謝祭戦◇結」
勝った側、レジェンドマンが日曜双矢が、手を合わせて拍手をする。
「コイツが、世界1位、真城和季か……」
「確かに、前情報が一切無かったが……中々に骨のある奴じゃねーか」
「あぁ、そうだな。芯が座って責任感もある。傲慢でも無い、謙虚だ……」
「言葉遊びなら付き合わねーぜ?」
「あぁ、解ってる。政治家の王、統率者の王の名に相応しい肝の持ち主だ」
敵ながら天晴れとでも言いたいのだろう、ポッと出のルーキーじゃ無いことは解っていたが、なるほど確かに。心が、血が通っている。
負けた側、信条戦空は特に悔しがっている。が、真城和季は「受け入れろ、拒絶するな、それが強さだ」と言う……。
「ウチ、悔しい……。二度も自分に負けた……!」
「負けない人間なんて居ない、恐怖を克服できない事象や、自分じゃどうにもならない事だってある。この先もある。俺だって、俺達だってお婆ちゃん亡くしてるんだ……」
戦空の本気の涙が流れた、それは激情じゃない、悔し涙だった。
「時が止まってるのは、お前だけなんだよ。戦空」
「!?」
「前にも後ろにも進まないのも、お前だけ。それは強さじゃない、桃花先生だって、咲だって、前に進んでも痛いし、後ろに進んでも痛い、……それでも立ち上がって、何度でも何度でもチャレンジする。それが強さだ」
「和季のあんちゃん……ッ!」
涙が、頬を伝ってポツリ、ポツリと誰かが死ぬように流れていた。
「ここが、仮想世界で、皆が眠ってるから言うわけじゃ無いが……。目覚めろ、眼を覚ませ、解き放て、その魂を……! 戦いは終わったが、お前の、本当の戦いは、……これからだ!」
「……うん、桃花先生にも、咲にも、ずいぶん先を行かれちまったけど、ウチの冒険はこれからだ……!」
コクリ、と和季は頷く。
「その意気だ! んじゃ、試合も終わったし、次に勝つための反省会をするぞ!」
「グス……! ッオス!!!!」
ここに、自分達が仕えるべき四大王帝の。
一軍達の初お披露目会は、ここに終わった。
◆運営管理室◆
「え、終わ……り?」
「終わりッスね、この後全員ログアウトしちまったっす」
「何だ、反省会という名の宴会でもすると思ったんだがな」
「まあ、ソレはソレっすけど……困ったな……もう強力な敵もモンスターも、プレイヤーもNPCもAIも居ないッスよ? これ以上の強敵はもう用意できません」
「どうします社長? もう〈アナザー何とか〉とか、〈アンチなんとか〉とか、飽きちゃいましたよ? またちゃんと巨悪なモンスターとか作る作業にした方が良いんじゃ無いですか?」
運営長が視線を向ける先には社長、天上院姫がいた。
「まだやってないことがある」
「四大王帝でやってないことって何ッスか? というか王に対立出来る敵何て相当ハードル高くないとキツイですよ?」
「〈王〉の対義語は何だと思う? のじゃ」
「王の……? 人、〈国民〉ですか?」
「ま、まさか! 社長本気ですか!?」
「冗談半分だけど、ちょうど良いじゃないか!」
「げ! 解ったっすよ! ももももももしかして!?」
「そゆこと、まだやってないこと。というのは……」
まさか……。
「四大王帝VS全員じゃ!!!!」
「16人対全員!? それって完全に戦争とか革命や暴動じゃないっすか!?」
「全員って、ドコまでの全員何です!? というかイベントですか?!」
「敵・モンスター・NPC・AI・無論プレイヤーも全員参加型のイベントじゃな」
マジですかこのラスボスは……。
「本当に……、この社長は面白い事を考える天才ですね……」
「まあ、そこは自覚してるのじゃ」
「……はあ、……まあプレイヤーにイベント告知は出しますけど。イベント名は何て言うんですか?」
「ん~どうせ。〈四大王帝VS全員〉……て、皆呼びそうじゃからもうちょっと短く言って……」
そして言う。
「イベント名『革命・王VS民』じゃな!!!!」




