第501話「大感謝祭戦◇転」
咲はエボリューション・極白の効果を解き、学者から魔法剣士にジョブチェンジ。
太陽と電気空間を闘技場に展開させた。
これに何の意味が? と思うかもしれない、正直、何の意味も無いブラフだ。
(何だ? これに一体何の意味がくぎゅ……?!)
瞬間、家族の善神化した咲が。神霊としてアストラル体、キャビネットに斬撃を食らわせてHPを減らすことに成功した……!
「やった! ぶっつけ本番だったけど当たった!?」
「んにゃろくぎゅう!」
こちらは空中、ようやく攻撃が当たる当たらないの話になった。
戦空と双矢に限って言えば、元々戦闘術を教え師匠は双矢なので。これも双矢が押していた。
和季とレジェンドマンで言えば、こっちは異次元の戦いをしているが互角の戦いを見せていた。
つまり、一軍は咲1人が勝っていて。二軍は双矢とレジェンドマンが勝っている形になる。更にその位置はと言うと……。
第Y2階層で咲とキャビネット。
第Y3階層が戦空と双矢。
第Y4階層が和季とレジェンドマン。
が戦っている形となる。
ちなみに第Y1階層で戦っていたのが桃花と姫だ。
……、とここで二軍の双矢がキャビネットとレジェンドマンに提案する。
「折角のドリームマッチだ、ちょっと対戦相手シャッフルしようぜ!」
回答を拒否する時間も無かった。
「な……! レジェンドマン!?」
咲が世界の英雄レジェンドマンと遇い対し。
「キャビネット!? 攻撃が当たらねえ!?」
物理攻撃特化の戦空が、幽霊みたいなキャビネットと遭遇し。
「おいおい勘弁してくれよ黒の剣士くん……!」
似たもの同士の和季と双矢が相対した。
――瞬間、拮抗していたバランスが崩れる。
――ドコン! 3箇所で凄まじい衝撃音が激突した。
「キャアア!?」
レジェンドマンの連続普通のパンチで咲がボッコボコにHPが削られ。
「ぬおおわあ!?」
戦空はアストラル体に対してわけも解らずやられた。
反対に、和季は双矢に対して致命的ダメージを負わせる。
「く……!」
「これで、どっちが英雄に相応しいかハッキリしたなオールドルーキーくん」
《天上院咲、戦闘不能――。》
そして信条戦空も戦闘不能かと思いきや……。根性でHPを1だけ残していた。
そして良くわからないコマンドが登場する。
「何くぎゅう!?」
「よく解んねーけどトリニティ!!!!」
「え……! 嘘!? マジ!? キャアアアアアア!??!」
二重螺旋を織り込んだ魂の拳がキャビネットに当たった。これにより……。
《キャビネット、戦闘不能――。》
残ったのは、
HP1の信条戦空、元気な真城和季。
全く疲れてないレジェンドマン、満身創痍な日曜双矢になった。
ここで珍しく作戦を訪ねる戦空。
「なあ、こっから一発逆転の手はねーか?」
「それを聞くのはちょっと手遅れだぜ……、今の状況、兎に角レジェンドマンが倒せる気配がねえし、弱点も見つからねえ……、双矢は倒せそうだが、まともな指揮官だったら降参指示出してるな。サレンダーだよ」
「そんな! ウチ負けてねえ!」
「負けてからじゃ遅いんだよ! お前だけは負けちゃダメなんだ! お前は俺達の希望なんだから! ここがもし戦場なら! まず間違いなくここで降参する! お前は生きなきゃダメなんだよ!!!!」
「でも! 真のヒーローは一回も負けちゃダメだとウチは思う!」
「誰かが言ってたろ、負けたって良いんだ、……乗り越えろ……! 負けないヒーローなんていない、最後に勝つのがヒーローなんだ。今はその時じゃない、仮にこのまま続けてみろ……。全滅か、降伏か、戦場では選択肢は無い! 俺は優秀な指揮官になりたいんだ、だから、お前が負けるシナリオルートだけは、絶対に通らないし! 通させない!!」
「……、……!!」
「認めろ、お前自身は、本当はまだ弱いッ!」
戦空は甘かった、甘くなかったのは和季の方だった。
「……、話はわかった。で、降参か?」
「戦空の師匠としても、俺はオススメするぜ、コイツは負けて研究して次に生かす、を知らなすぎる……」
レジェンドマンと双矢は戦空の返答を待つ。
3対1、……意地を張っているのはまだ子供である戦空だけだ……。
戦空のHPはわずか1……、戦場なら負けるか、死ぬかの二択だけだ。
HP回復はない、起死回生の凄い技もない。
「……、わかった、次に生かす」
「降参だ!」
ビ――――!!!!
《真城和季の降伏宣言により、この勝負。二軍の勝利となりました――!》
《MVPはシャッフルを宣言した日曜双矢に決まりました!》




