第500話「大感謝祭戦◇承」
「小賢しい!!!!」
瞬間――衝撃波の後に――大嵐が闘技場全体を駆け巡る。
戦空の全体攻撃だ、その波動に神とか王とか名のつく全員が怯む。
視線は戦空に釘付けとなり、二軍のターゲットが全員強制的に戦空になった。
「これは!? 仲間を守るための雄叫びか!?」
二軍の視線を持って行かれた。
言ったのは天上院姫、真っ先に攻撃を加えに行ったのは日曜双矢。
レジェンドマンは真城和季を自由にさせないために奮闘している。
キャビネットは存在無き存在の咲を鷲づかみにして身動きを止める。
「チクショウ! ウチのスーパーサ○ヤ人ゴッドスーパーサ○ヤ人でも、視線を1秒集めるのがやっとか!?」
「それはそれとして、私もう退場して良い? いやマジで一般人の人間には荷が重いって!?」
「消えるならせめてバフとかやって消えてくれよ先生!」
「バフなら司令塔の和季でしょ!?」
戦空と桃花のコントはさて置いて。
しかし和季はレジェンドマンによって足止め、援護どころか自分のことで精一杯だった。
「世界最強の司令塔も形無しか?」
「まあ、小細工使って見方を助けるのも良いが、生憎スーパーマン相手に手加減出来るほど、俺は器用じゃ無いんでね!」
行って、和季はレジェンドマンを巴投げする。宙に浮くレジェンドマンの表情は仮面で見えない。
「ふむ、確かに手強い」
一瞬で間合いを詰める。
「だったらスーパーマン1人倒した方が勝算上がるだろ!」
そしてクリティカルヒットの右拳を食らわせる和季だったが、不死身の男レジェンドマンはコレを意に介さない。
「ふむ、確かに」
顔面に拳がめり込んでも全然痛く無さそうだった、ダメージは確かになる。にも関わらずHPが減る気配が無い。
防御力が高いのか、HPが高いのかさえも判断がつかない微妙なHPの減り具合の硬さだ。これでは倒すのはほぼ不可能だ。
咲VSキャビネットも難しい局面だった、確かにキャビネット同様アストラル体に対してログ0ならば何とか成りそうだが。これも足止め程度の対策しか出来ない。せいぜい2対1にさせないのが咲の精一杯だった。
桃花VS姫は……、これは余裕で桃花の負けが濃厚。人は神には勝てない。
そこを援護しようと戦空が距離を縮めるが、双矢がそれを妨害する。
つまり、……ここで注目すべき決着を左右する勝負と駒配置は、落としてはならない重要な局面は……。
「私か……」
「ワシか……」
観客の視線は、焦点を当てるべきベスト試合は。
桃花VS姫となった。
人は神には勝てないが、神を人に元に戻す事なら出来る。
幸い姫は人間体だった。変に刺激して自由の悪神という最終手段にしなければ良い。もしくは人対人じゃなければ無粋みたいな戦局に持って行けば良い。
舞台の配置は決まった。
湘南桃花は予測するのはやめた、だって元から負け確定のエピソードをワザワザ予測している時間が惜しかったからだ。
「「だったら……」」
ここは人間同士の技巧の勝負……。
「パリィ勝負だ!!!!」
柔道だった――。
体格的には桃花先生の有利、高校1年生の姫はまだ小っちゃいし、そもそも体育会系じゃない。〈のしかかり〉をすれば勝てそうな気はあったが腕と腕の絡み合う技巧同志の勝負に、中々袖を掴めない。あと、姫は短剣を持っていて、素手の桃花は組みに行けない……。
だから、有利なのはどちらかと言えば短剣を持ってる忍者姫なのだが。
多少のHPを削っても袖を掴んで組みに行って。絞め技でノックアウトさせれば……、まあ勝機はある。
互いに決定打に欠ける試合だったが、ついに桃花が動く。
(狙いは上半身は無理! なら下半身! つまり足! ヒザかっくんとか! そう、けたぐり!)
のしかかりのような上からの攻撃、と見せかけてからのけたぐり。
が、姫は後ろへジャンプ! 難を逃れた……っと思ったら!?
「が! 画面はじ!?!?」
姫はこれ以上後ろへ下がれない……! からの。
「捕まえて!」
「ちょ! ま!」
「ホールド!!!!」
しっかり、腕と足で組み込んだ桃花だったので、流石に逃げるのは困難だと思い。最後に姫が取った悪あがきは……。
「自爆型モルボルの毒袋!!!!」
ドカーン!!!!
お互いのHPはみるみる減ってゆき……、そして勝者は桃花選手! と表示。
その後、続くように猛毒で桃花選手のHPも0になって……。
ほぼ引き分け状態で桃花VS姫の激闘は終わった。
残り一軍3対二軍3のチーム戦となった。
《残り1分00秒……。》




