第440話「A極論とピムル理論②」祝全500話
「神様ってさ、どこに居ると思う?」
「ん?」
「あ、ちなみに前もって念を押して置くと、これから先の話は、現実に限りなく近いファンタジーの話な? 私は本物の学者ではないからな、ただの科学的持論を述べるだけじゃ」
「……、いやいきなり言われても。ツッコミどころしかない、なに? 哲学でもやるの……?」
エレメンタルワールド3、シーズン2のαテストをしているその道中。
ついに咲と姫は、物語の核心に迫って行った。
咲は訝かしげに言う……。
「私はお姉ちゃんに、家族の善神にしてもらったから、問いの返答としては。〈ココに居る〉もしくは、人間として考えるのなら〈空の上〉……って回答になるけど?」
「そうじゃな自由の悪神・家族の善神は魔法の話じゃ。今回は違う、科学の話……、じゃあ、空の上のどこに神様は居るんじゃろうな?」
「え?」
「人間が突き詰めて突き詰めて、最後まで突き詰めて行った先に科学はあるんじゃぞ? わが妹よ」
「えっと……、空の上をフワフワと漂ってる感じ? もしくは、あホラ! 石の祠とかあるじゃない、あそこに住んでるんだよ! きっと! 八百万の神様とかさ!」
「まぁそうだな、オカルト、迷信、信じるものは救われる。の宗教的観点から見ればその意見、もっともだと思う、じゃあ祠が出来る前の神様はどこに住んでたんだろな? 衣食住は? 今回は住の話じゃ、空中に住んでたのか?」
「えっと……、良くわかんないけど、不思議な天国とか?」
「……、まあA極論やピムル理論を流し読みした程度じゃ、流石に読解力にも限界があるか……。つまり、自分の知らない、手の届かない未知の存在X空間の中に空想を入れ込んで、さも現実にありそうなリアリティのある箱庭を作って、信じさせてるだけなんじゃよ、大枠はな」
「えっと~……、自分で神様を名乗ってるのに神様を否定するの?」
「そういうわけじゃない、そういう手法もあるってだけだ、で、そのわけの解らないモノを分類化するために作られたのが、アルティメット極論……」
「A極論ってこと?」
「正解」
「アルティメット・セオリーオブ・エクストリームズ、略してA極論だっけ?」
「何で極論と言ってるかはあとで説明する。A極論に記載している通り、本来は分類できない超能力者を分類するために作られた理論なんじゃよ、ハンターだったら特質系とか言いそうじゃけどな」
「……、なるほど。確かに、能力者作品で、神様を操る能力とか・神様になる能力とか、神様自身が出現するとか、沢山あるもんね」
昨今の本による神話的なマンガ・ストーリーには目がない咲にはすんなり受け入れられる内容だった。
「参考資料に、A極論=陰陽五行論。と書いてあるのは、現在、Sランク1位のギルド『最果ての軍勢』が掲げている思想、理論だから。まずこの元となる陰陽五行論を理解出来なきゃ話にならないし、ゲームでも勝てないし、対策も打てない……。まあ、このA極論の話は今に始まった話じゃ無いし、裏でコソコソ対策練ってるベテランプレイヤーは多いと勝手に思ってるがな」
「へ~~~~、歴史が長いんだ……」
「今回はA極論とピムル理論、つまり〈世界線〉と〈陰陽五行論〉と〈概念階層〉の事を懇切丁寧に説明する絶好の機会だから、……長く聞き、理解しようとする覚悟は出来てるか?」
「もう片足突っ込んでるからね、いいよ、とことん付き合って、お互いの理解のミゾを埋めようよ! 共有共存だよ!」
「うぬ、良い返事じゃ、じゃあ大本の元の元、陰陽五行論の、更に元、陰陽論から始めようか!」
「え……? つまり、ピムル理論を理解するためには、A極論を理解しなきゃならないし、A極論を理解するためには、陰陽五行論を理解しなきゃいけないし、陰陽五行論を理解するためには陰陽論を覚えなきゃいけないってこと……?」
「そういうこと」
「えぇ……」
「咲は地水火風の属性の流れはゲームをプレイして理解してるから、最初はおさらいって形になるかもな。つまり、ゲームマスター天上院姫のゲーム世界観を知るための根源的な思想の授業の始まり始まりって事じゃ!」
「つまり、火は水に弱い……、とかから始まるの?」
「そう! 今さらかもしれないし、最初は眠くなるかもしれないが、最後には! 〈宇宙全体の意味や存在意義〉まで思考が広がるから覚悟しておくように!」
「うええええええ! じゃあ勉強じゃないいいいいいいいいいいい!?」
こうして、GM姫による〈A極論〉と〈ピムル理論〉の成り立ちから授業が始まるのであった……。




