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少女は異世界ゲームで名を揚げる。~ギルド『放課後クラブ』はエンジョイプレイを満喫するようです~  作者: ゆめみじ18
第28章「高校1年生VR科学科」西暦2037年4月1日

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第434話「魔術の力と代償について」

 十分に発達した科学技術は、魔法と見分けがつかない。

 ――SF作家アーサー・C・クラーク。



 家族会議、かっこ妹は除く。


 本作の主人公、天上院咲(てんじょういんさき)、の姉、天上院姫(てんじょういんひめ)は特殊な状況に置かれていた。

 神の子、いや、誤解を避けて明記するなら〈神そのもの〉となった姫に、家族に対して多大な迷惑をかけてしまった姫は謝罪しなければならない立場に居た。

 そしてここでは、便宜上〈咲の父〉と明記する。


「……、ふむ。なるほど、では咲に対しての社会的地位は保証されているのだな?」

 声のトーンを一段落とし。咲の父は現実主義者的に地に足をつけた会話を望む、家族の、妹の将来についてなのだから、夢見心地の上っ面ないい訳などこの場では意味を成さないからだ。


「はいなのじゃ、この魔法科学高等学校なら前例? 経歴や経緯もあるし、社会人になるためのレールもしっかりある、と思います……」

 ハリポタ的な前例があるし、もはやこの世界で生きていくほか無い、超人や魔法使い、そしてただの人間。これらはもはや〈共存〉して生きてゆくほか道は無いのだ。


 ならば、異能力者達のある意味トップでもある、唯一神ミュウ=星明幸=天上院姫は、その道しるべを作る義務がある。

 

 すなわち、元人間・現家族の善神である咲を社会人までしっかり見守り育てること。

 ――そこに大義がある。


「就活は出来る、実際は普通の高校と明記するかも知れないが、ここまで世論や世界が認知されているのなら。政府からの援助も受けられるはずだ」

「……、咲は後天的とはいえ、黒人と白人との因縁を新たな学校で埋めようというような関係だ。咲には安定した大学への進学、就職、そして生活結婚、いや、……幸せになって欲しい」

「……わかってるのじゃ」


 咲の母は、どっぷり宗教に浸かっている。というか信じている派なのでちょっと脇道にそれる。

「それにしても、本物の神様がこの家でご飯食べてくれていたなんて、まるで夢のようだわ~!」


 咲の父はお茶を濁す。

「む! こほん! とにかく、真面目な話。自由の悪神、家族の善神、ソレによる権能、いや神能を持ってしてもちゃんと就職してその後の人生を全うするという認識で良いな? 私も私で大変な目にあったからな」

「神様のご遊戯ですもの、これくらいの刺激は、あって当然ですよ、お父さん」

 それは、咲の、ましてや姫の本心でも無かったが……色々あったのでご両親にも被害が出たと言う意味だ。

 

 でも、この人種差別的な困難を乗り越えてこそ。……どの道未来は無いのだ。


「え、え~っと……。現実世界的なソッチは、ご両親に任せますが、理想世界的なコッチは管理出来ますので、ソッチはたぶんまだご負担をかけると思いますが、よろしくお願いします。……一応」

 ここまで前段階がしっかりしているのならば、父親もノーとは言えなかった。


「ふむ、わかった。入学を許可しよう、ただし、途中で飽きて、咲をほっぽり出したら承知しないからな! その時はお父さんでも怒るぞ!」

「お、おおう……わかった、頑張りますなのじゃ……」


 まさに、新秩序といった貞操が強い今回であったが。

 天上院夫妻は、不安と同時に今後の成長も楽しみにしているのであった。



 天上院家の自宅。咲と姫の部屋。


「……、作文のさ~……、一番最初の文章って、どうしてこう手が止まるのかしらね?」 

 春、天上院咲(てんじょういんさき)の頭はお花畑が咲いていた。(ボケていると言う意味で


「一説には自由すぎるから、まず一番最初に、選択肢を作るところから始めなければならないから、だから普通より労力がかかるんじゃないかのう?」

 ノーマル、天上院姫(てんじょういんひめ)はいつも通りのお手軽さで、エンジョイプレイないし、エンジョイライフを満喫していた。


「それより聞いた? ウチの高校の進級方法」

「あぁ、科学の塔(サイエンスタワー)とか言う5重の塔を1年以内にクリアしないと2年生に成れません。クリア出来ない場合は留年です……だろ? なお、〈仮想世界〉〈現実世界〉〈魔法科学世界〉どこからでもかかってきなさい、だそうだ」

 魔法科学(まほうかがく)高等学校(こうとうがっこう)の初授業は、いきなり、皆大嫌い〈宿題〉からカマし込んできたわけである……。

 3つに区分されている世界のどこにでも、〈科学の塔〉はあると言うことだろう……。


「でもさ、5重の塔ぐらいだったら簡単じゃない?」

「いや、お先にチラッと視たが、1エリアがえっと東京都? ぐらい広い、小島とかじゃなくて、ありゃ一つのオープンワールドじゃな……、オマケに教師さんに聞いてみたんだ、第2層はどんな感じじゃ? ……と」

「……、そしたら?」

「〈ヒント、物理法則が違います〉だってさ、つまりわしらが別の新作ゲームを買うのと同じような感覚じゃ」

「……、つまり?」

「1年間で、新作ゲーム5作分クリアしないと進級出来ません、だな、正しい意味合いとしては」

 5拍ぐらいの間が発生してから咲が聞く。


「それって、昔やった『ファンタジアリアリティ・オンライン』の時みたいな感じなの? ひえ~~~~、そりゃ相当広いわ……」


 そんな感じで、波瀾万丈のVRゲーム的な高校生活はスタートした。



 現実世界、神道社社長室。


 偶然では無いにしろ、こうなってしまったものは仕方が無い……。

 全く魔術の勉強をしない、というワケにもいかなかったからだ。

 天上院姫は悩んでいた、〈魔術の力と代償〉についてだ。

 それを、魔術の先生、じゃなかった、歴史の先生。湘南桃花と話している……。

 そこには何故か、姫の妹。天上院咲も居た……。

 魔法科学高等学校の宿題? お題について悩んでいた……。


「〈すべての力は代償を必要とする〉……か、とどの所つまり、等価交換って事か? 100円を渡したら100円分の飴玉が出てくる、……みたいな」


「この場合、力と代償のバランスを、まだ学んでないって事だから。まあ平面的に言うと、まず最初に〈時間〉という代償を払ってる……。それから魔術を行うときの等価交換……。今まではVRゲームだったから、微粒子レベルの電気代……て所で〈代償〉と言われてるのかも知れないわね」


「桃花先生も知らないのか?」

「私は〈本能〉で制御してたからねえ~……、いや、制御はしてないか。ただあるがまま、受け入れただけ。代償を払ったとするなら、それは知らない内に払ってた、て事になるかも知れない……」


「……、とにかく。ゲームマスター&神様や先生が代償のこと知らなかったんだから。まず私達が習得しなくちゃだな。HPやMPの問題では無くて……」

「そうね、まずはそっからだわ」


 と言うわけで、一般生徒とゲームマスターと歴史教師のリアル魔術特訓が始まった――。


「つまるところ、代償って。ガソリンとタンクの所まで記憶を辿って戻らないといけないわけよ」

 話が後ろへ飛んだ。


「「……、はあ……?」」

 姉妹二人はきょとんとした顔だった。

「えーっと、つまり……。〈何か〉を無料で使う魔術より。等価交換や、基本原価三倍が原則だから、そっちを企図して設計図を作った方がまし、ってこと。共生でも、ボランティアでも良いけど。やり過ぎると今回? 前回のように、きっと何処かで歪みが出る。だからオススメは原価三倍での等価交換が社会の歯車的には有効って事かな」


 咲が手をあげて質問をする。

「原価三倍ってのはどこから来たんですか?」

「居酒屋の鳥の串焼きから来ました。原材料は50円、商品価格は150円。そこから人件費・冷凍代、実際に調理をする代金。とか合わせると、結局、原価三倍じゃないと相手側が損をして生活が廻らないって意味よ。精霊ならそんなこと無いかもだけど、……でも人間で、生き物で、ナマモノである以上。でないとこの世に歪みが生じる、……今みたいな、ね」


 姫が手をあげて質問をする。

「共生ってなんじゃ?」

「簡単に言うとウインウインの状態。この場合、相利共生(そうりきょうせい)、共生の一型で、両種ともに利益を受ける関係。アリとアブラムシ、ヤドカリとイソギンチャクの関係など……かな。まあ言うても、この複雑奇妙な人間社会で共生は相当ベストマッチしてないとならないから。やぱ原価三倍が基本よね……と、思ってる」


 んで、桃花は実例を挙げる。

「例えば、マッチ棒一本4円だとしよう。そこに原価三倍だから12円。12円払えば、あなたは何も無いところからマッチ一本程度の火を出せる……みたいな」


 姫と咲は首をかしげる。

「それ、普通に買えば良くね?」

「今の時代私でも月に5000円くらいはお小遣いあるよ?」


 桃花は、これに対して「当然だよね」と反応を示す。

「今のは現実世界の品とお金で例えたからそうなる。さて、ここからが実際の魔術だ」

「お」

「次は何だろう?」


 魔術師桃花は続ける。

「例えば、コンビニセブンで往復20分間散歩に行き200円のモンエナを買うとする。この時に、車を40台操作出来ると術式を組んだとしたらどうだ? 釣り合うと思うか?」


 姉妹二人は顔を見合わせて……考える。

「まあ、等価交換ぐらいが妥当じゃないかなあ? 原価三倍の法則なら、割る3で、車13台の操作が妥当な所じゃないか?」

「操作って言っても、すれ違うだけでしょ? ならそんなに強制力は無いし。でもそういう商売談義って相手方、例えば精霊さんとかとの交渉術で決まるもんじゃないの?」


「二人とも正解、流石に今まで場数踏んできただけあるね。でも今回は、100円の缶コーヒーじゃ無くて200円のモンエナ、もうちょい術式は錬れる」

 と、魔術師桃花先生。

「つっても100円が200円だから、車13台から20台ぐらいで好きに動いて良いよ、が妥当な範囲かな。ちなみに今は〈視覚出来ない概念の世界〉のことは度外視してる、今は、その現象は手が付けられないから公務員のお仕事、にしてるが……これをOFFにすると……」


 コンビニセブンで往復20分散歩に行き、200円モンエナを買うとする。この時、徒歩24人、車7台の操作を自在に可能にする魔術。かっこ散歩に行った往復期間だけ……。


「な~んて術式だったら〈知らない皆〉も動きやすいわけよ~。これが【代償の払い方】だと思う!」


「なるほど、わかるような。解らんような……」

「まーでも原価三倍の法則は、何か的を得てる気がするよね~」


 で、魔術師桃花は……。

「てーわけで、モンエナ買って検証してみまーっす!」

「「おまいう!?」」


 ……で。

「ただいま!」

「おか」

「で、どうでしたか?」

「ん~自然過ぎて解んなかったわ~!」

「「……」」

「んえ? 私何か変な事言った……?」

 何だかぎこちなく、不自然だった。

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