第432話「最強の2人」残り48時間
仮想世界、西暦2036年9月2日16時00分。
防衛成功まで、残り48時間。
……。
――……。
激戦区でジーラに総攻撃が始まっている、そんな中……。
静かで、心が呼応するような高まりが迫ってきた……。
〈信条戦空と桜愛夜鈴がログインしました!〉
「「……」」
状況を飲み込んで、今現在の〈正しい敵〉をロックオンする。
「あいつだな、最強無敵とか言われてる奴……」
「ええ、荒ぶる神の化身『シン・ゴッドジーラ』か……」
流石に一筋縄ではいかないらしい……。
【おい! 今、戦空と夜鈴ってログインで出なかったか!?】
【本当だ! 来た! これで勝てる!?】
【やっと参戦か!?】
【はっはっはー! もう終わりだゴッドジーラ!! 最強の2人が来たからな!!】
【咲ちゃん四重奏だよ四重奏!】
「ホントだ! 援軍だ! おーい! 戦空くんー! 夜鈴ちゃーん!」
その咲の声に夜鈴と戦空は反応する。
「ごめーん咲ちゃーん! 私達リア充だからあと6時間しか居れないわー!」
「ええええーーーー!?」
「まー良くわかんねーけど。そのぶんしっかり削ってやるからー! 後は頑張れよー!」
「ええええーーーー!?」
と、このタイミングで、――風が来た。
「……んじゃ、久しぶりにやりますか!」
「……おお、んじゃいくぜえぇええー!」
「「限界突破! ウルトラ心のエレメンタル!!!!」」
「「はぁあああああああああああああああ!!!!」」
ゴオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオ!!!!
【何だ何だ!? 災害!?】
【マジで天変地異じゃねーか!?】
【これ大怪獣バトルだっけ!?!?】
【咲ちゃん逃げてええええ!?】
【巻き込まれるー!?】
【逃げてぇえええええええええええー!?】
【ド○ゴンボールの世界観入りましたー!?】
【ヤバイヤバイヤバイヤバイ!?!?】
【アレは!? 何だ!?】
【あれは、光そのものじゃった……】
【やばいやbう゛ぁいやばい!?!?】
【あいつらのスペックって何だっけ!?】
【ア○セウス超えが2体ですゥー!!!!】
【エ”ェ……ッツ!!!!】
「キシャアアゴオオウウウン!!!!」
シン・ゴッドジーラの覇気により、大勢のプレイヤーが泡をふくようにバタバタとスタン状態、または倒れた。
夜鈴がそれに対して怯む。……、が戦空は一瞬ビビりはしたが立ち直り突撃した。
「油断するな夜鈴! こっちが怯むのは計算の内だ!」
「そっか、確かに威嚇で怯みはしたかもしれない……、でも! それで立ち直ってこその強者!!」
――ドコドコドカドカ!!!!
疾風怒濤のドッカンバトル――!
よくわからない激しい乱舞が吹き荒れ……。
咲のよくわからない間に、乱舞が終わり。
あっという間に6時間が過ぎ去って……。
「最後!」
「スーパービックバンバースト!!!!」
――爆裂音と共にその場に響き渡った……。
そして6時間後はあっという間に来た。
12本のHPバーが、残り2本までしっかり削れて。
……、……、――!!!!
シン・ゴッドジーラはコテンパンにノされてヨロヨロになり……。
戦空と夜鈴はしっかりとストレスを発散したところで。
「うし! お、時間か。じゃーなー咲ー! またなー!」
「こんなもんかな! 咲ちゃんも、しっかり頑張りなさいよー!」
〈信条戦空と桜愛夜鈴がログアウトしました!〉
本当に、嵐のように去って行った……。
「ゴア……! ゴア! キシャアアゴオオウウウン!!!!」
【また変体するぞ!?】
【第2!? いや第3形態か!?】
【やるだけやって帰って行ったぞ四重奏!?】
【咲ちゃん逃げてたか、見守る事しか出来なかったな】
【いやほとんどのプレイヤーが視ることしか出来なかったって……!】
【まあアレじゃあなあ~~~~】
【すんげーボーナスタイムだったな……】
【しかし、リア充の威力恐ろし素】
【この6時間の出来事は、〈リア充ショック〉として永遠に語り継がれる事となった――】
【なに閉めてんだよ!? これからだろ!?】
【さっきまでゲージ1本を半分削るのでやっとだったのに、今ので10本ぐらいHPバーが削れた……】
【3日間の内の1日で、あとHPゲージ2本か】
【どうせこの2本が死ぬほどムズいんだろ? 俺ゲーマーだから知ってる】
【その前に海辺に戻さないようにして、回復だけは絶たないとな】
【そんなこと言ってる内に来るぞ!】
ボロボロになった機動戦士ゴリラを視ながら。
「今のうちに回復回復! っと……!?」
咲は結構な困り顔で、シン・ゴッドジーラを見つめる。
「そんな……!?」
そう、シン・ゴッドジーラは翼を得て。両翼の羽根をを広げて。飛んだのだ。高く、高く飛んだのだ。




