第431話「大規模広範囲攻撃」残り54時間
仮想世界、西暦2036年9月2日10時00分。
防衛成功まで、残り54時間。
満身創痍のシャンフロは、咲に対してアドバイスをする。咲の寝ていた間の6時間で流石に色々と弱点や対策も掴めたのだろう。
「まず1つ目、トカゲは〈水と空気が回復元〉だ、それを絶て。何やっても回復するぞ!」
「うん!」
「2つ目、レベルの低い冒険者には氷属性の技とか魔法を連打させろ、ディレイ効果で身動きが鈍化する!」
「うん!」
「3つ目、ギルド中央広場にある〈機動戦士ゴリラ〉とか言うふざけた名前のロボットを動かせ。お前じゃ無きゃ出撃許可でなかったぞ!」
「おぉう! 目の前に出現してるアレか! 私の許可って何だそれ?! お姉ちゃんめ……」
戯れ言が長い。
「いいから速くいけ! 俺は30分寝る!」
そう言って、シャンフロはログアウトした。
うう~ん……、流石に6時間増援ナシはキツかったか……。
「て! そんなことより許可許可!」
咲は中型ロボットの許可申請を出した、〈OK出撃〉ボタンをポチッとな!
〈機動戦士ゴリラ〉が動く――!
【やっと援軍が来たかー……!】
【野郎共! ゴリラに乗れ!】
【おぉおおおおおおおー!!】
【ゴリラだ! ゴリラに乗れ!】
【うほうほ!?】
【何でゴリラ?】
【中型ロボットの名前なんだから仕方ないだろ!?】
【何体ある!?】
【50体ぐらいだ!】
【ほほーそりゃ豪勢だ!】
【壊れても一定時間後に無限修復して乗れるぞ!】
【おほー! ザコモンスターがゴミのようだ!】
【火力強い!?】
咲【皆! シン・ゴッドジーラを海辺に帰さないようにして! トカゲは〈水と空気が回復元〉だよ! それを絶って! レベルの低い冒険者には氷属性の技とか魔法を連打! 機動戦士ゴリラは私が許可出したから! あとはイケイケどんどんだよ!】
【おっしゃー!】
【いけいけドンドンダー!】
【盛り上がって参りました!】
【ウホウホウホー!!!!】
【ドラミングダアアー!!】
ウイーン! ウイーン! ウイーン!
と、途端に警告音が鳴る!
「!? ――警報!? 皆気をつけて!?」
〈シン・ゴッドジーラが変体します。尻尾の竜尾から『ミニジーラ・雷』を無限湧きするようになりました。皆様死ね!〉
「キシャアアアアゴオオオオウウウウンンン!!!!」
途端に、マグニチュード2の地震が発生したあとに……。
「「「「「ゴワゴワゴワ!!!!」」」」」
〈ミニジーラ・雷〉が〈走るゾンビ〉の時のように尻尾の竜尾から大量に湧いてきた……!
その中に、何故か一際大きな中型? ほどのミニとも言い難いミニジーラが居て。ソレを〈看破〉すると……〈ミニジーラ・雷・変異種〉とか言う訳のわからないモノが紛れ込んでいた……。流石に変異種は1体だけだったが。その変異種が、これまた神速で速いこと速いこと……。
「!?」
【危なあああああああああああああいいいいいいいいい!!!!】
【咲ちゃああああああああああああんんんんんんんんん!!!!】
その瞬間――太陽から、または満月から。または〈日月食〉から。戦場に咲く2輪の戰乙女が……!?
『うっせぇわ! 我に従え氷の女王! 来たれ! とこしえの闇! 永遠の氷河! 〈氷河時代〉!!』
『ひとっ走り付き合えよ! 〈断罪〉!!!!』
チュドーン!!!!
――轟音。その巨人をも跡形も無く凍てつかせるような。大規模広範囲攻撃が、何の前触れも無く轟いた。
【今度は、誰だ!?】
【ギルド『非理法権天』の湘南桃花とオーバーリミッツだー!】
【流石に息ピッタリ!?】
【〈ミニジーラ・雷・変異種〉とかいうワケわからんのが死んだ!】
【本当に死んだ?】
【死んだ。死亡。デットエンドさ……!】
その、〈氷河時代〉と〈断罪〉の大規模広範囲攻撃により、その余波で本体であるシン・ゴッドジーラも、モロに受けて。あの巨体がよろけて、大音量の横転をした。
シン・ゴッドジーラは、海辺に戻れずダウンし。攻撃のチャンスタイムとなった。が、湘南桃花とオーバーリミッツは上空に居るレジェンドマンを目視で確認し。時空間の流れるままに、天空と地上、両方で走り去っていった。
が、……桃花は一拍、咲のへ向かってバックする。
「ごめんねー! 巻き込んじゃって! あ、咲ちゃんはいつも通り遊んでていいから! それじゃーねー!」
と言うことで、桃花は再びアクセルを踏んで。こいつ車の擬人化か? と思うほどのスピードで走り去っていった。
咲はというと、まあ普通に。自然と唖然する。
「非理法権天は何と戦ってるんだ……? ま、まあいいや! 皆! 大ボスを総攻撃ィイイイイ!!!! 一気にHPを減らせええーー!!!!」
咲も〈機動戦士ゴリラ〉という、ふざけたゴリラロボットに乗り込みボスを攻撃する。咲は今レベル1なのでまとまった大ダメージが出せないのだ。
【うおおおおおお!!!!】
【今だああああ!!!!】
【死ねええええ!!!!】
【勝つのは俺達だー!!】
【削れるだけ削れぇー!!】




