番外編1「ミニゲーム」
「咲ープチモンやろうぜー」
「えー、まあ良いけど」
ある日、なんとない日常で。現実世界で天上院姫がゲームをやろうと持ちかけて来た。ゲームと言ってもいつものVRMMORPGではない。古典的な携帯ゲーム機にソフトを入れて通信対戦するアレだ。それはターン性のプチっとなモンスターを使役して戦う、半ば花札が原点のような代物だった。人によっては将棋にも見えるかもしれない。事実、竜王戦なる将棋っぽい大会もあるからだ。サキとヒメは最初に選んだの一匹目で勝負しようと言いだした。最初の1匹目、つまるところレベル5の初期状態のプチモン。サキは炎タイプのトカゲ型プチモン、コクエンを選択。ヒメは炎タイプの弱点である水タイプのカエル型プチモン、ミナモを選択。というわけでバトル開始。
「ミナモ! でんこうせっかだ!」
ターン性なのでステータスの素早さが早い方が先手を取れる。ヒメのターン。彼女のプチモン、ミナモはでんこうせっかの早業で先制攻撃を取る。耐えるサキの相棒コクエン。コクエンは特性ちりかげのお陰で、でんこうせっかの物理攻撃を受けた時、自身の影がくだける鎧のように散り。そのぶん身軽になり素早さが上がった。
「あたしのターン! コクエン! かえんぐるま!」
コクエンは身軽になった上に炎のころがるを発動した、どんどん早くなる上に放っておいたら物理攻撃も徐々に上がっていくやっかいな技だ。ヒメはそんなのへっちゃらだとばかりに叫ぶ。
「甘い! ミナモ! キレイキレイだ!」
▼ミナモはキレイキレイをした! 相手のコクエンは能力が元に戻った!
「これで、素早さアップもくるまによる物理攻撃上昇も元通りだ! ついでにキレイキレイのダメージを食らえ!」
たまらずコクエンがキレイキレイのダメージを受ける、だが。
▼コクエンは持っていたきのみでダメージを回復した!
「なぁに!?」
「トドメよ!」
「コクエン! みだれつっつき!」
特殊技の炎だと水タイプのミナモには効果が薄いと判断したサキは、あたたたたたとノーマル技のみだれつっつきをお見舞いした。そして最後にサキはキメ台詞を言う。
「お前はもう、ひんしってる」
攻撃の衝撃があとからあたたたたとやってきた、たまらずミナモはノーマル物理技のダメージを受けてミナモは倒れた。
「やりい! 私の勝ちい!」
「ぐぬぬぬ初期状態で、いきなりもちものを持って準備していただと~」
「勝負は始まる前には終わっているのさお姉ちゃん」
妹の咲は誇らしげそう言い放って、満足そうに戦利品であるチョコのお菓子、ペッキーを一本姉から奪い取って満足そうに食べた。