第428話「開始前カウントダウン」
仮想世界、西暦2036年9月1日15時00分。
《開始前カウントダウン、01時00分00秒……。》
「さて、今回はゲームだし。スレッド立てときますか。展開」
咲は珍しく、ステータスウインドウにスレッドを展開する。今までは雑念が多すぎて集中出来なかったので。閉じていたが、今回は素速い情報が命。なのでスレッドを自分で常時見える状態で展開する。
「……というかイメージでお姉ちゃんがどのぐらいの規模でゲームするか解るんだよね」
◆スレッド◆
【何だなんだ? いきなり赤い画面になったぞ?】
【難易度アンノーンだって!? 初めてじゃね?】
【ゴッドジーラがエンドコンテンツな上に〈シン〉って付けた事に対して意気込みをっ感じる……ゴクリ】
【何が始まるんです?】
(さて、では詳細なゲーム内容が現れるまで待ちますか……)
と、思ってたら運営からスレッドアナウンスが来た。
《開始前カウントダウン、00時50分00秒……。》
《運営です。現在、EWO3の北東から。荒ぶる神の化身『シン・ゴッドジーラ』が出現しました。ゴッドジーラは現在停止しております》
言われなくてもソコを視れば解る、全長100mの超巨大怪獣だ、デカイ、デカすぎんだろ……これは1人では倒せないな。
《参加可能プレイヤーはレベル1~レベル150の上限MAXまでの全プレイヤーが対象です。イベント参加対象エリアは、確認されている全エリアです。つまり逃げ場はありません。このクエストに失敗した場合、EWO3の世界は破壊されて。全てのフィールドが〈荒野〉状態になります》
【……あれ? もしかして俺達喧嘩売られてる?】
【もしかしなくてもそう】
【挑めば栄光、逃げれば死か】
【盛 り 上 が っ て 参 り ま し た!】
《開始前カウントダウン、00時30分00秒……。》
《このクエストに失敗した場合。プレイヤー全員の職業、アイテム、スキル、装備、お金、召喚獣、などなどが全てリセット状態の初期装備状態となり。ゼロとなります。なお72時間後までプレイヤーが生き残って居た状態でもクエスト失敗となり。浄土の炎で焼き尽くされ。全てが初期装備でのゲーム開始となります》
【死ぬがよい】
【今までのデータがゼロ!? ふざけてんのか運営!?】
【俺達の時間を返せ!!】
【祭りだ祭りだー!!!!】
《これはモンスターの蹂躙という『災害』です、負ければ全てを失い、勝っても何も手に入りません。ここで救済です。ここでこのイベントに【参加する/参加しない】を選べます。参加する、を選んだ場合、ゲームが終わるまで不可逆的に戦闘は続行され後戻りは出来ません。生きるか、死ぬか。だけです。参加しない、を選んだ軟弱なプレイヤーには現在所持している全てが守られます。ただし、称号に『敗北者』が追加されます。》
【なんだぁ~~~~てめぇえ~~~~?】
【煽ってる煽ってるwwww】
【やる気だw 運営やる気だw】
【面白くなって参りました!】
【取り消せよ、今の言葉……!】
《開始前カウントダウン、00時10分00秒……。》
《主戦場は、E1、D2、C3エリアとなります。それ以外のエリアでも余波で攻撃が飛んできます。イベント時間は72時間で、プレイヤーがログアウトして。現実世界で眠っていてもゲームは進行しますので、今までのぬるま湯ゲームとはひと味違う。ピリリとした体験型アトラクションをお楽しみください。》
咲は、一通りのテキストを読んだ後に。顔を上げる。カルテットタウンには、それこそ。〈歴戦の猛者達〉が開始時間はまだか今かと待っていた。
「あー、コレばっかりは知ってるプレイヤー全員居るか……」
解る範囲では。最果ての軍勢も最初から居るし。四重奏も、脳筋漢ズも放課後クラブ親衛隊もいる……。
《では最後にフレーバーテキストです。「我の眠りを邪魔するものよ、恐れ、失意し、逃げ惑い、覚悟せよ。我は強者のみを望む。覚悟なき者は去れ。灼熱と業火の炎で全ては灰に……!」》
《開始前カウントダウン、00時00分30秒……。》
「負ければ全てを失うか……、上等!」
《難易度アンノーン、荒ぶる神の化身『シン・ゴッドジーラ』。参加しますか?》
「イエ~ス!!!!」
ポチッとな。
(つまりここから先のプレイヤーは「イカレタメンバーしかいねーぜ!」って事か! うひょひょ! 燃えて来たぜ!)
《10秒……。》
《5秒……。》
《3、2、1……。》
《イベントか開始されました! それでは眠れない日々をお楽しみ下さい!!!!》
同時に、シン・ゴッドジーラの漠音波のような雄叫びと共に。空気が衝撃波と共に走り抜け。マグニチュード7の地震が、EWO3の全エリアを襲った。
「ギャゴオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオンンンンン!!!!」




