第427話「難易度アンノーン」
現実世界、西暦2036年9月1日。
「お姉ちゃん、ヒマ……」
「そうだな、愛しい我が妹よ……」
ミーンミンミンミン……。
夏休みが終わった……、セミが死ぬ……。
姉妹二人は暑さでうな垂れていた……。
「なんかさ、割りとどうでもよくただ単にモンスターと戦いたい……」
「モンスターをハンターする系の奴か? 確かに咲はやってないな、ってか咲はゴッド・ジーラ倒しただろ? エンドコンテンツ終わってるじゃねーか」
「そうじゃなくて、世界滅亡系のモンスターなハント。危機感が足らない……」
ミーンミンミンミン……。
「……、あ~ファイナルなファンタジーか……。じゃあ……。難易度『アンノーン』で『ワールドクエスト』やってみるか? 私は運営、咲はプレイヤー。負けたら、今までの世界全滅」
ミーンミンミンミン……。
「ん~良いよ」
ミーンミンミンミン……。
「一応聞くが、賭けるものは?」
「ん~……。皆の築き上げてきたモノ全部」
うな垂れてた姉が起き上がる。
どうやら、刺激的だったようだ。
「本気で言ってるのか? リセット、全滅と同じだぞ?」
「どうせログアウト可能で現実世界じゃ死なないんでしょ? もう色々お姉ちゃんの事知っちゃったし。なんかこう……。ねぇ? 現実世界の人達は、やりたいことをやりたいようにやるだけだし……なんかこう……、ねえ?」
ましてや咲は高校生までの7ヶ月、勉強をサボってても進級できるのだ。もう何もかも身が入らない……。
「ん~、じゃあここらで。激辛カレーでも作ってやるか……、どうなっても知らんぞ?」
ミーンミンミンミン……。
姉妹2人はVR世界へダイブする。
「うん、やっちゃって」
セミが死んだ。
◆
仮想世界、EWO3、カルテットタウン。
咲のステータス画面が表示される。姉は居ない……。
その画面は緊急事態仕様なのか。真っ赤な画面だった。
《ワールドクエストが発生しました。》
《運営により、難易度アンノーンに設定されました。》
《神の化身『シン・ゴッドジーラ』が出現しました。》
《72時間以内に討滅してください、失敗した場合、全てが破壊されます》
咲は、と言うとこれまたお気楽そうに。手軽いノリで。
「さーて、パニック映画のお時間だよ。最終決戦のつもりで行こう~!!!!」




