第425話「超人国際総合高等学校2」
ゲームマスターである天上院姫としての総評はこうだ。
まず、総合的過ぎてジャンル分け出来ない故に。イメージソングを探すのにすこぶる疲れた。あと、該当する楽曲がなさ過ぎてイメージが固まらず、これも困った。これはスーパーヒーローというジャンルで皆が皆、色んなスーパーヒーローを自由に創造しているが故の。ジャンルの振れ幅が無いに等しくて。特色が出せない。そのための〈意思決定の方法論がない〉からそのための学校を作った。ならばある程度容認できるが。色々な種類のヒーローを描写しなければならないのでまずそれで難易度が高い……。中世ヨーロッパでも、近未来でも、何でもアリアリ過ぎて。判断材料に困り、逆にイメージしづらい。これは、最果ての軍勢の時にも言えた事で。〈強いんだけど物語に出来ない〉という波乱なデメリットが存在する。その点、超人校は、〈統率者を作る事が目的〉であり。難解だが、この中に世界1位の真城和季を入れ込むのはアリだ。その中のカオスの中で揉まれて成長する。は悪いわけでは無い。……、だが物語としての成長や。ジャンルの振れ幅を考えると。自由すぎて自由じゃないというか。暗黙の了解が多すぎるのも欠点ではある。〈国連の管理下〉であり、今の国会が機能不全に陥っていることからも。まとめるのは容易ではないし。何よりワシ自身がコントロール出来ない側面もあり。かなりメタ的になりやすいのもこれまたキツイ……。つまり、何かしているようで何にもしてない。に陥りやすく。あと、私自身が自分の手で決めてるのは解るが。ゲームマスターではないプレイヤー達の方が目立ちすぎてコントロールしづらい……。もちろん、最大限のフォローはしてくれて頼もしいというメリットはあるが。それが返って、自分自身の物語がブレブレになるデメリットが存在する。確かに、最果ての軍勢より描写はしやすいが。超人校は〈2番目に描写しづらい舞台〉に個人的には認定ししてしまうのもやむを得ない。と判断する。
以上のことから。エンジョイ勢である、天上院咲を超人国際総合高等学校へ入学させることは適切ではない。と判断した。
そして、真城和季は。メタ的にでも勝手に何処かで成長することの方がメリットがある。と判断もした。
サブマスターの湘南桃花の評価としては。
舞台裏の一段下の位置ぐらいなんじゃないだろうか? 程度の認識である。元々舞台裏に居る本人だからこそ。そこは苦にならない。
ものにもよるが、こと。天上院咲をここに入れるのが、彼女の力を100%発揮出来るか? というと。やはりコレには難色を示す。
姫と桃花と咲と統率者にこの事を話すと色々と返事が返ってきた。
「と言うことで、咲にはこの学校、合わないと思うのじゃ」
「まあ、私とか。真城には合うかも知れないけどって印象ね。試練としては」
「なるほど、では咲くんには遊んでもらって。真城くんには試練に挑戦してもらう。という形で良いかね? 咲くん」
「まぁ、私としても。〈遊びずらそう……〉とは肌感覚で思ったから良いけど……」
ゲームマスター姫は統率者に対して。
「国連の管理下、というのは非常に魅力的なんだが。申し訳ないが、わしのゲーム進行と。咲のプレイスタイルには合わない。という評価になってしまってすまない」
「なるほど。了解した、残念だが。その分、真城くんはしっかり鍛えさせてもらおう」
GM姫は、深々とお辞儀をしてから。
「ああ。そんな感じで、いずれまた会おうぞ」
そう言って、ちょっと速いが。超人国際総合高等学校の外へ出たGM姫達であった。
咲は取捨選択が苦手なので、本当にこれで良かったのか? と姫に問う。
「何度か経験したが。肌感覚で〈咲に合ってない〉と思ったら、大体合ってるんだよ。今回はその感覚に従った」
「ふ~む。私まだあんまりあの学校見学出来てなかったんだけど……」
サブマスターである桃花が補足する。
「住めば都とは言うけれど、〈窓が開かない窓〉に住む物件は。どう考えても悪手。って感じる程度には、姫ちゃんのジャッジは正しい危機管理能力だったと思うわ。国連の管理下、オープンワールド。は確かに魅力的なんだけどね。さっきも言ってたけど、〈天上院咲には合わない〉ってのが。私達の総評かな、ギアがカッチリ合わなきゃ。選んだり、行く意味ないもん」
解らない近衛遊歩に簡単に言うと。
「つまり、公園が広すぎて遊びずらい……かな」
「なるほど……」
ということで、天上院咲は魔法科学高等学校へ進学する。
という方向で、皆が皆、調整に入った。
咲も、その意見には賛成した。




