第424話「超人国際総合高等学校」
現実世界、西暦2036年7月22日、昼。
超人国際総合高等学校。
天国。そう呼ぶのに相応しい風景だった。神々しい神殿。雲と石畳で出来た王城は豪華絢爛さを表している。
皆どこかしらでバトル、という名の稽古をしている。決まった服装は無く自由。モブなのに作画カロリー高そうだな……。思わざる終えなかった。
学生は好きなカリキュラムを組み、好きなものを好きなだけ勉強する。
赤組、青組、黄組、で別けられてるかと思いきや。仮面組、ロボット組、ソロ組、怪物組など。訳のわからないジャンルの分類の仕方をしている……。
チームになっていない、というかチームに出来ない。カテゴリーに分けられないと言った方が正しいのかもしれない。
とにかく多種多様なのだ。
そんな中で、今回学校案内をしてくれるのは。統率者という人だ。
「やあ、よく来てくれた。勇者桃花」
「……ども、統率者様」
「早速だが案内しよう」
本当に、湘南桃花の顔は効くわけでして……。
「何をしたらあんな有名人になれるんでしょうかね?」
「俺が聞きたいよ」
咲と和季はそう言う感じで先へ進んだ。
「皆個人個人が好き勝手にやるからね、中は中々に幼稚園だよ……はっはっは!」
なるほど幼稚園、解りやすい。軍隊みたいに整列出来るわけも無い。まあ整列出来たときはそれはそれでカッコイイのだが……。
「正直言って、どの人も個性有りすぎて目移りする……」
「たしかに、まとめるの大変そうだ……」
「まあだからこそ、〈国連の管理下〉にあるのだがね……チームワークが無いワケでは無い、ただ皆の自己主張が激しいだけだ」
と、統率者が言う。
やっぱり作画カロリー高そう……。1人1人に違う服装を用意するのは骨が折れるのだ……。コレばっかりはクリエイターやデザイナーじゃないと解らない。そこら辺のこだわりもある。
逆に言うと、服装デザイン職は引く手数多だろう。仕事に困らない、何せデザインコスチュームが欲しいのに渋滞で待ち時間を食うほど忙しいのだから。
「わしだったら入るのやめるな、……ゲーム進行が難しそうじゃ」
というのはゲームマスター姫。1人1人の個性的な描写をいちいちしてたら日が暮れる、と言いたいのだろう。
「まあ面白く無いワケでは無いんだろうけど、視ているだけで疲れる……」
これが姫と咲の率直な意見。英雄だらけという意味では、最果ての学校と酷使しているが。問題は、強かろうと弱かろうと「自分はヒーローだ、超人だ」と呼べば入れるところだろう。
「誰もが皆、ヒーローになれる可能性は持ってるからな」
「幸いなのは、人型が多いって所だろうな。超人だけに……」
統率者と姫が話しをする。
統率者と桃花は話す。
「とはいえ、今日は腕試しとかバトルする気は無いのだろう? 他の超人のバトルでも視るか? うちの学校の目玉は、〈派手な戦闘〉だからな!」
「まあ、普通なら視るんでしょうけど。今回は咲の学校見学だから。どっちかというとインドア派な生徒達との会話でしょうね」
爆薬とか3D班とか大変そう……。舞台裏とかの人員も他の学校より多そうだ……。
「話しには聞いている。VRだろう? だったらエレキフィールドでのバトルとか、サイコフィールドでのバトルとか……」
「いや、何でもかんでもバトルかい!?」
「ふっふっふ、会話劇のヒーローは中々居ないからな、結局はパンチ力がモノを言うのさ」
「でた、スペック厨……」
「試しに、咲くんに〈超人測定〉をさせてみるのはどうかな? ヒマだろ?」
「まぁ、ヒマですけど。……どうする咲、やる?」
咲は自分に振られた話題をイエスと答える。
「エレキフィールド内でしたらやります!」
普通の体力測定だとたかが知れているので、咲はVR内での服装になった。
〈超人測定運動場〉
統率者は咲へ声をかける。
「じゃあまずはパンチ力だ! 1tは出してくれないと、この学校ではやっていけないぞ~!」
「パンチ力1トンは無いと生きていけないなんて……理不尽です……えい!」
バコン! パンチ力測定機はピピピと機械音を鳴らす……。
〈パンチ力・30t〉
「やあ!」
〈キック力・13t〉
「せい!」
〈ジャンプ力・35m〉(ひと飛び)
「そいやー!」
〈走力・4.0秒〉(100m)
「……今のが、天上院咲のVR内の通常フォームかい?」
「はい、そうです!」
〈ピピピ……。測定完了。〉
天上院咲、VR内通常フォーム。
〈パンチ力・30t〉
〈キック力・13t〉
〈ジャンプ力・35m〉(ひと飛び)
〈走力・4.0秒〉(100m)
〈評価、仮面ライダージ○ウ、エ○ゼイドアーマー、レベルです!〉
桃花、は割りと仰天する。
「おろろ? 割りと良い数字が出た?」
統率者もコレには感心する。
「ですな、良い数字が出てる。これなら学校での生活も問題無いでしょう」
喜んでいいのか悪いのか、咲は「えへへへ」と最長文学少女としての実力を見せた。




