第47話「セミプロVS廃人2」
それらの攻撃を5回、10回、30回と繰り返した後に動きがあった。
「封印の拘束されしは破壊神イフリート。時を超え、今ここに魂の開放を取り計らおう」
サキが近づけないと解るやいなや、長い呪文に入った。
呪文をキャンセルさせるために、双頭の弾丸を乱れうちするエンペラー。だが、弾丸をサキは視線で殺す。目力で弾丸を破壊する。念波・眼力である。
「天駆ける、空より高き星屑よ、瞬き煌めく超新星」
ついでとばかりに、サキは念波・瞬動を使い呪文を唱えながら高速で移動する。これでは真っ直ぐな弾丸では捕らえられない。システム上のポリゴンを蹴り、破壊しながら爆音と共に移動する。
「クソ!」
「深淵より来るは灼熱、吸収し融合し拡散するは業火、灰も残さず存在を抹消する浄土」
すると、エンペラーは海中の底へと潜った。弾丸ではあの業火の玉は避けきれないと判断したのだろう。だがここは海上、地の利を生かし。海中全体で水の防御壁を作った。
「障壁デリート、リミッター解除、覚醒せよ」
「マグマの指輪は融かされた。これより始まるは真紅の剣」
「来るなら来やがれ!」
エンペラーが更に深く、闇の底へと沈んでゆく。その中で更に腕を十時にして迎え撃つ。狙われるはサキのちょうど真下。
「発狂し、絶叫し、乱舞せよ。地脈よ廻れ、天脈に響け、狙いは一点仇なす敵だ!」
野次馬がおお! と声を荒げる。
「これぞ最終奥義! 唯一無二の破壊の爆炎!」
「爆炎剣・極!」
怒号とともに、海水が唸りをあげながら蒸発を始めた。深さは5メートル、10メートル、いや25メートル。かなり深い所まで潜っていたエンペラー、本来ドーム型の全体攻撃なのを良いことに火力がかなり分散されてしまっている。だがしかし、エンペラーは驚いた。爆炎剣・極みがエンペラーの居る海底まで唸りをあげる蒸発とともに届いたのである。
「オゴぁアアアアア!」
そのまま、当たったが最後。ギュン! と彼のHPは無くなって試合は終了となるブザー音が鳴った。豪華客船ミルヴォワールの先頭は、25メートル強の深い海面が割れてしまった状態で船が若干落下した。ミルヴォワール事態は100メートルの高波も難なく乗りこなせるので、船内はだいぶ揺れた程度の騒ぎですんだ。もっとも、爆炎剣・極の爆音の方が先に轟いたので。荒波は二次災害のような形で野次馬達には響いた。
咲は言う。
「ふう、勝った!」
反則技ばかりの乱用だったが、そこは後でエンペラーにこってり注意された。




