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少女は異世界ゲームで名を揚げる。~ギルド『放課後クラブ』はエンジョイプレイを満喫するようです~  作者: ゆめみじ18
第26章「高校受験シーズン」西暦2036年7月1日

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第419話「帰還者学校」

 現実世界、西暦2036年7月2日、昼。

 東京、帰還者学校。


 ここで、天上院咲と天上院姫の両姉妹は。

 宮沢賢治みやざわけんじの『雨ニモマケズ』を読む事になった。



「「――雨にも負けず、風にも負けず、雪にも夏の暑さにも負けぬ。丈夫なからだをもち、(よく)はなく、決して怒らず、いつも静に笑っている――。……」」



 ここ。通称、帰還者学校は。

 ……悪く言うと。

 《ずっと殺し合いをしていた子供達の収容施設》らしいのだ……。

 2022年11月6日、デスゲームが始まった日。

 2024年11月7日、デスゲームが終わった日。


(そう、お姉ちゃんの3分の1の人格が。それこそ無邪気に始めたデスゲーム。人を人とも思わない、ただ感情の爆発と、夢と情熱を持って世界に挑んだ。最初の野望……)

 それを知らない間に、天上院姫、お姉ちゃんが生まれる前から、罪を背負っているのだ……。宿命……。やっぱりそれを咲は見過ごせない……。


(そのデスゲーム事件から12年後の今でも、この施設は変わらずにある。そのこと自体正直驚きだ)


 この帰還者学校を案内してくれている知らないお爺ちゃん先生は。

「やっぱりねえ、母校が無くなるのは寂しいからね。私達教師陣も、生きてる限りこの学校を無くすつもりはないよ」

 との事だった……。

 少なくとも、いや、大きくみても。大多数の人生に影響を与えている。



 お昼ご飯、帰還者学校の食堂で。和風A定食を頼んで姉妹2人で食べている間……それこそ〈真相〉を話し始める。

「ねぇ、お姉ちゃん。なんでそんな事件を起こしたの?」

「ん~、なんでそんなこと聞く?」

「だって、転生前はやりたくて。前世でデスゲーム始めたんでしょ?」

「前世って言うか、等の本人が〈ここにいる〉んだよ。溶け込んでるからな(・・・・・・・・・)


「だったら尚更私が聞かなきゃ誰も聞けないし、知れないじゃない」

「昔過ぎて、もう本当の動機なんて忘れちゃったな。昔はバトル○ワイヤルって映画の曲を聴いて、テンション上がって物語をPCにその計画を記した。……〈だけ〉なんだ」

「だけ? デスゲームを実行したのはお姉ちゃん、の悪い人格? なんでしょ?」


「等の本人は、パソコンに文字打ったり。ノートに書き込んだりしただけで。それ以外は何もしてないんだよ。今だから解るけど、そういう神様を本気で信じてる知らない信者? が実行に移しちゃった感じで。大事件になってた。って感じだな。当時は『悪神』って肩書きも無かった、ただの無名の自称『神』だけだったから。余計に『必要悪の教会』って感じになっちゃったんだよ。ちなみにいつの事言ってるか知らないが。新聞もテレビも流行も、本気で信じていたけど。〈どこか遠くの他人事〉だったんだよ」


「……、……?」

 咲はよくわからない葛藤に迫られた。姫が補足する。

「簡単に言うと。サンタクロースを信じて無かったんだよ。この意味なら解るだろ? 幼稚園児の時は信じてたけど。成長したら迷信だって決めつける。みたいな……」

「あぁ、……それなら解る」


 中二病あるある、である。


「ましてや、何億人も人間が居るこの世界で。自分1人の願いや夢や記録が、本気で叶う。叶ってる何て信じられなかったんだ。だからこうなった(・・・・・)。てこと」

「……、えっと。……それだけ?」


「それだけ」


「それって! サンタクロースを信じられなかった事が罪になるなんて! おかしいじゃない!」

 咲はイスから立ち上がって、息が熱と共に激情になった。

「落ち着けって。自分の家族だからそうなってるかもしれんが。ま、受け入れろ」

「でも!」

そのための(・・・・・)犠牲があって今があるんだ、自覚しろ。もう遅い」

「……、ッツ!!」

「ま、そんな真面目になんなや。気楽にいこうぜ咲! ほら深呼吸」



「すーはー……。は~~~~……。」

 咲は落ち着いたが。心のモヤモヤは、やはり晴れなかった――。

 姫は、決して怒らず、静に笑っていた――。

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