番外編34「2022年10月湘南桃花」
「ん~……さてと」
2022年10月……。
サブマスター湘南桃花は浮遊解除し、脳天からのピクピクを受け取り。自我を取り戻す……。
サブマスターとしてのお役目はいったんお預けだ。
「ゲームマスターのミュウちゃん。今度は現実世界の話をしましょう」
そら来た。と言わんばかりにミュウの体をした幼児がテクテク歩いてきた……。
「んで、何から話す?」
「まず、ア○ンジャーズエン○ゲームの話はザックリ言って2023年。で、今は2022年だ。更に無自覚の天上院咲の物語は2034年から始まる」
桃花は咲のことを考える……。
「咲ちゃん、12~13歳だったわよね? ならこの時代にはまだ生まれて無いかも……」
「あぁ、したがって。天上院姫もまだ居ない。居たとしてもお腹の中だからな。だから都合の良いミュウの体で来た」
神霊だったり、宇宙人だったりするミュウは。ある意味都合が良かったわけだ。
桃花は複雑怪奇なこの時系列に面食らう。
「ん~。別の作品だって事で全てを片付けられないの?」
「全ての空は繋がっている。別作品と捉えるのも無理があるだろうな……。とはいえ、コントロールしてるのが私達の手だって、自覚してる今なら。その判定は、合否は操作可能だ。相手が乗ってくるかは別の話だが……」
「でも、未来でもやらかしすぎた。過去でもやらかしすぎた。その自覚が無かったとしても、今現在の人達にどう説明すれば良いのよ……?」
彼女は2023年に何かドでかい事が起こると確信している。その兆候は、今、既にあるからだ。ロシアによる戦争……。あれは最果ての軍勢、未だ覚えず、のバハムートが関与しているとしか思えない。
「台湾陥落も、まだ起こってないだけで。あり得る話……、そこに今を生きる私達が危機感を覚えないはずが無い。台湾と日本はめっちゃ近いし……」
「だからって、〈こうでなくてはならない〉ことを、変えるのか?」
ゲームマスターは冷たく言う。しかし助け船がないわけでも無い。
「エ○エーオーとかだって、今まさに。助けに来てくれたじゃ無いか。だが、助け船はあくまで助け船。彼らは〈川〉の流れを変えることは出来ても。〈大河〉を変えることは出来ない。それは私達、ゲームマスターとサブマスターのすることじゃ。それは間違えちゃいけない」
「じゃあどうすれば……」
一拍〈間〉を置いて……。
「まぁ、イ○フェニティーストーンもあるし。最悪まで行けば。海賊とかエ○ーナルズを頼るのもありじゃが……。別にそんなことせずとも〈この手〉で変えられる……」
「そうだけど……今は2022年10月だし、あと2ヶ月で2023年になる。そうなったら、えーっとあっちの言葉で言うと〈インカージョン〉が起こるんじゃ無いの? 私達のしっぺ返しで!」
と、不安がる桃花をミュウはどうどう、と落ち着きながら宥める。
「たぶんだけど、……プロをそんなに舐めちゃいけない」
「え? ん? んん??」
「確か、作品とか。文字では書いてないけど〈作品なら作品で勝負しろ〉って心の中で強く念じてたはずだ。今だってそう」
「あー、そういえば念じてたねえ、何度も何度も……」
「なら、ス○イダーバースの時同様。シークレットウオーズでもぶちかましてくるはずだ。記録には書いてないが、記憶の中で有るルール。〈作品なら作品で勝負しろ〉その大原則から外れなきゃ、たぶん大丈夫」
「……なるほど、だから何か色んな作品数が膨れ上がってるのか……」
「だから、〈政治なら政治で勝負しろ〉〈仕事なら仕事で勝負しろ〉〈家族なら家族で勝負しろ〉、こんな感じの大原則から大きく外れなければ。たぶん大丈夫、余計な心配はいらない」
桃花はそれでも不安そうに言う。
「じゃあ、逆に聞くけど。私はどうすれば……」
「お前は2次元と3次元の狭間に居るから、そんな感じになっちゃうんだろうけど。どっちにしろ〈自由〉だ。好きに生きろ、私も好きにする」
「じゃあ、作戦名は?」
「命大事に! とか言いたいけど……〈自分の手〉を怖がってどうする? なら、ガンガン行こうぜ! 今を楽しんじゃおう!」
「う、ううむ。そうなるか……」
「んじゃ、ここではまた、未来で」
「ええ、また未来で」
そう言って、再び彼女は未来へ意識を飛ばした……。




