第408話「レベル1の最強魔法剣士」
「お姉ちゃん、このゲーム飽きたから〈強くてニューゲーム〉、レベル1にリセットするね。あ、でも今までの装備やスキルが使えないのはイヤだから。〈プレイヤーデータの引継ぎ〉をやりますわ」
驚愕の提案に驚く姉だったが、まーそういう時期に来ちゃったことも。計らずとも実感する。
「お、おう。コレはまた大きく出たな……うん、いいぞ!」
「お? 驚かれると思った」
「まー今から後付けで、色々追記するのもほぼ不可能だしな。だったらマジでリセットしてもらった方が良い」
「なるほど、運営であるお姉ちゃんにも利点があるわけか~」
「新規プレイヤーも参入しやすいだろうしな!」
「いや本音はそこかい……!」
というわけで、ステータスウインドウを開き。〈プレイヤーデータの引継ぎ〉を行う。
「……、ねえお姉ちゃん。私、EWO3ってクリアしたっけ? してないよね?」
「クリアはしてないな。そもそもダンジョンを歩いたかどうかすら疑問だ、全部闘技場でのPVPだったし」
とういか、ゲームをプレイする以前に。〈知らない誰か〉による不確定要素が多すぎた。結果として、皆この冒険を楽しみたいんだろうけど……ということは飲み込めた。
「しっかし、高みを目指さないあたり。ホント咲はゲームガチ勢プレイには向いてないと思うよ」
「そういう性格なんだから仕方ないよ、サガだよサガ」
《〈プレイヤーデータの引継ぎ〉を行います、何を引き継ぎますか?》
「今まで使った武器、防具、スキル、奥義、職業の引き継ぎ」
《全てのデータ、パラメーターは1になりますがそれでよろしいですか? 武器のデータもほぼ飾りになります》
「うん、私は今持ってる武器や姿見た目はそのままで。レベル1からもう一度プレイしてみたい」
「ステータスも再確認出来るから、良いことじゃ!」
などなど申しながら……。
《〈強くてニューゲーム〉完了しました。それでは引き続き。EWO3をお楽しみ下さい》
「んで? レベル1に戻して、最初に何をやる」
「そりゃあ! 【初心者狩り】でしょ!」
ウッキウキで言ってる咲だが、たぶん意味合いが違う。
「咲の性格上、そうなんだけどそうじゃないな……」
「んじゃ、パラメーター配分はどすうる?」
「んじゃあ、今度こそオールラウンダーで全部にオール5にします!」
「ま、それでいいだろ……色んな意味で」
目をそらしながら姫は言う。
「んじゃ! ステータスオープン!」
そう、高らかにサキは言った。
◆
最長文学少女 サキ
ギルド『放課後クラブ』
メイン 魔法剣士 レベル1
サブ 世界観学者 レベル1
体力5
魔力5
攻撃力5
防御力5
素早さ5
属性 無
特殊効果
二刀流/正確な地図製作3/念波2/ただの心氣2/自然型の心氣/環境型の心氣/文法型の心氣/全王型の心氣
スキル
新羅万障のワルツ4/斬空剣/古今無双/太陽・大回転/ハイ・ジャンプ/妖精焔/雷速鼠動/超天元突破・巨神殺し/反魂/合唱・天翔る光の矢/エボリューション極黒/エボリューション極白/エボリューション極彩/鷹の目
秘奥義
グリーンアイズ
装備品
業剣『黒山羊八式』(右手
星剣『ミルキーウェイ』(左手
聖服『鏡花水月』
兎靴『足跡追及』
三眼ブレスレット
アイテム
浮遊城第50層無条件通過チケット×13枚
メモ
秘奥義グリーンアイズは最大11連撃。
◆
姫はツッコミをせざるおえなかった。
「お前のような初心者がいるか!」
「初心者じゃないよエンジョイ勢だよ! 失敬な!」
そう言いながら、ギルド中央広場へ向かうのだった……。




