番外編35「超大型メンテナンス」
現実世界、 西暦2036年4月18日。
運営管理室
【どうしよっか?】
【何が? 最果ての軍勢とかの交流会?】
【違うって、世界樹クロニクルは世界中と繋がってる、一箇所をメンテナンスしたところで。他の場所でプレイヤーはインターネットサーフィンを続けるだけだ】
【そうなると、運営陣はプレイヤー全員を現実世界へ意識を戻したいのに。戻りたくないと言う人も出てくる】
【まあこれだけ仮想世界で生活してたら、現実世界へ戻ったら死んでしまう人も居るだろうな。……リアルで、何とかならないのか?】
【メダカの水槽みたいに。仮の水槽を用意して、どうしても現実世界へ戻れない人はそっちに避難してもらうとかじゃないか? 健康な肉体と精神を持ってる人は、普通に強制ログアウトで何とかする、もちろんアナウンスもする】
【じゃあ繋がっている全てのVRゲーム、仮想世界を『超大型メンテナンス』でシャットダウンするから。皆、現実世界へ戻って下さい。って言うのか】
【とはいえ、天上院咲ちゃんもそうだけど。仮想世界での生活が当たり前の人も多い、放課後しかダイブしないとは言え……。現実世界での生活に慣れてもらうためには。長めに現実世界で皆休んでもらう期間が必要だと思う】
【長めって?】
【1週間から1ヶ月くらい。1時間や1日じゃ、肉体が現実世界に馴染むのに時間が短すぎる】
【社会的な損失も大きい、1週間に出来ないか?】
【そうだな、咲ちゃんには7日間くらい強制的に現実世界で過ごしてもらおう】
【となると、ワールドアナウンスか】
【だな、全ての仮想世界を1週間メンテナンスするので。インターネットに精神をダイブ出来ません。完全にシャットダウンしますって感じになる】
【まー世の中の現状を見るに、致し方なしって感じだな。……それで動くぞ】
【ほーい】
【苦情とか多そうだな……】
――こうして。
現実世界、西暦2036年4月19日。
世界樹クロニクルに繋がるほぼ全ての仮想世界は7日間完全にシャットダウンとメンテナンスをさせる形となり。
仮想世界で楽しくゲームをプレイしてた人達は。7日間、強制的にインターネットに繋げない現実世界の生活を余儀なくされる事となった。




