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少女は異世界ゲームで名を揚げる。~ギルド『放課後クラブ』はエンジョイプレイを満喫するようです~  作者: ゆめみじ18
第24章「3年生編・世界1位」西暦2036年4月1日

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第406話「掲げる誇り」★

 現実世界、 西暦2036年4月18日。


 真城和季は、学校の図書館で宿題を一通り終えてから帰宅の途についていた。

 疲れたのでウトウトと、まどろみの深い眠りの中に落ちて。うっかり転生でもしようとしていたところに……。


 ピピピ、っと。自宅に居てくつろいでいた真城和季(ましろかずき)に対して、普通のスマートホンがけたたましく鳴った。

「もしもし?」

『どうも、天上院咲(てんじょういんさき)です』

 和季は若干驚愕する。咲に対してプライベート用の電話番号を教えた覚えは無いからだ。

 

「? 何でお前が電話番号知ってるんだよ!?」

『私はお姉ちゃんから聞いて、お姉ちゃんはキャビネットから聞いたって言ってたよ?』

 なんというタライ回しでしょう。立派にキャビネットが影ながら・裏側からイタズラをしているではありませんか。

 

「あのヤロー!? またか!! また勝手にィー!?」

 自分の知らないところで変な騒ぎが広がっていないか? と心配しつつ、想定される範囲で最悪のシナリオを思い浮かべた後に。


 それでも咲は、気にも止めずに和季に用件を聞く。

『それで、何? 私に用事なんて……』


 確かに咲に対して言いたいことはあったが、言いたい何て一言も発していないのに。妄想の中だけで事が転ぶ世界1位の和季。

 物事が気持ちいいくらい良く転ぶので、和季は自分の持ってるジョブ欄を観ながら、仕方なく話す体でこう切り返す。

「あ~……お前、メインジョブを〈海賊〉にする気は無いか?」


『――いらない――ッ』

 ――即答。


「速ぇよ! てかまだ理由も何も言ってねーだろ!? 何で海賊ってー話になるかってーと……」

『――それだったら、お姉ちゃんの方が〈忍者〉より〈海賊〉の方が向いてるよ』

 未来視したのか、感情予測したのかは別として。咲はあるがままに視た結論として、思考を回転させて、歯車が噛み合うように話を切り出す。


『え、わし……?』

 それは、咲自分自身では無く。咲の隣にいた姫お姉ちゃんにこそ合っているという提案だった。


 が、主語や本題が抜け落ちている会話が続く。

『その論法で行くと私は〈海軍〉がいい、でも私はメインジョブを〈魔法剣士〉以外にする気は無い(〈世界観学者〉はサブジョブだけど』

「……」

 それは、明確に真城和季の提案を蹴って。むしろその性質の逆を突くジョブの方がマシだという言葉だった。


 更に咲は、彼女の意見として、もう一つの案件に切り出す。

『それより真城くんは、〈信ルート教〉だっけ? そのシンボルマーク、速く作りなよ』

「え? 何でだ……?」

 今までほぼ独り? で生きてきた真城にとって。虚を突くような返答が帰ってきたからだ。


『これから戦う相手のマークも解んないようじゃ〈つまんないから〉です!』

 それは、明確な敵視。友達と書いてライバルと読むかもしれないが。世界1位と戦わない未来をあまり予測できない咲からの発言。


「え……?」

『それに、私達。ギルド『放課後クラブ』と話をつけたきゃ……さ』

 何故か一拍の間を置いてから、咲は和季に言い放った。



『〈掲げる誇り(シンボルマーク)〉ぐらい決めてからかかってきなさい!!』



「……」

『以上! んじゃ!』

『なのじゃー!』

 咲と姫の通話が木魂する。

 まるで世界1位の〈信ルート教〉よりも、〈放課後クラブ〉の方が格上に視られているような言い放ち方。よっぽど自分に自信が付いたのだろう。最長文学少女(ログ・ホルダー)の称号はダテじゃないと言いたげだった。


 ――プツ

 そう言って、咲は電話を切った。


 真城和季は、含み笑いをしてから。猫背になり、お腹の底からこみ上げてくる笑いを堪えきれなかった。

「……ははは、ったく。調子に乗って笑ってるな、あいつらw」

 そう言って、見えない相手の声のトーンから。ニヤリと笑う咲と姫の顔を思い浮かべる。


 そう言って一呼吸置いてから……。

「……、誇りか……。――んじゃ。作るか、ギルド『信ルート教』のシンボルマーク」

 決意を新たに、男は思考を歩かせて進む……。

「掲げるモノは何かな? とりあえずバツ印は確定で~~……」



 真城の電話の向こう側、天上院姉妹は私室で勿論起きている。勉強机と椅子に腰掛け、隣横にはVR機『テンジョウ』がスリープ状態で休眠していた。

 それから咲が姫に対して……。


「……、今回の事件ってお姉ちゃん的にはどう言う名称にする?」

「〈続・鈴の音ダンスホール〉で良いんじゃないかな? 〈吸血鬼大戦〉〈デート戦争〉〈続・鈴の音ダンスホール〉って感じで」

「まあ、〈天の姉妹喧嘩〉はどう言われるかは解んないけど……これから先変わるかもしれないけど。そんな感じだろうね……」

 姉妹は姉妹で、他の人に解るような解らないような微妙なニュアンスで。鑑賞戦を始めていた……。


「で、ここまで聞いてて湘南桃花(しょうなんももか)先生はどう思います?」

 と咲が、話を横で聞いていた桃花先生が「う~ん……」という面持ちで一言言った。


「ふ く ざ つ … …。かな~~~~って!!!!」

 何とも歯切れが悪い桃花の感想だった。


 ――後に、歴史に語られる事となる物語と。

 ――決して語られる事の無い物語が、――終幕した。

ギルド『信ルート教』シンボルマーク

挿絵(By みてみん)

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