第396話「OP・西暦2036年1月1日」★
ゴーンゴーンゴーン。
西暦2036年1月1日00時00分。
その全ての煩悩をぶち殺す! と、深夜の除夜の鐘が鳴っていた……。
天上院咲は、天上院姫にお辞儀をしながらこれまでの全ての苦労を労う。
「開けましておめでとう御座います! 今年もよろしくお願いします!」
「中学3年生になったぞ。来年の高校進学の話だぞ。受験シーズンに突入だぞ。我がカワイイ妹よ」
「イヤだあぁー! 勉強したくないィいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいー!!!!」
「まぁ、そうなるよな……。それが自然だ……」
中学3年生。高校生。進路。受験……。ウ! 頭が……! と、なるのは。全学生共通らしい……。
「それよりコレ見て観ろよ。VRゲームじゃ無くて。ARゲームのランキング1位の人。テレビにも出てる」
天上院姫は、咲へ向かって、スマホを持ってみせびらかせる……。そこには1つの記事が書かれていた。
「ん? ARゲームの神童、最高の天才ゲーマー。……【真城和季】。えっとゲーム名は『カズキ』くん……?」
「ARゲーム世界大会、1位なんだと。今度はコイツ倒そうぜ! 同じ中学校みたいだし! 家族の善神『咲』と自由の悪神『姫』ッツ! 2人で挑めばイケるってッ!」
「世界1位か~……。って! 倒すって物騒すぎるよ! 仲良くするなら解るけどさッ! てか、そんな人ウチの学校に居たんだ……」
「うん、3組に居る。となりのとなりのクラス。ウチ中学3年1組だし」
「ピーター3?」
「ピータースリー。もしくはピーター4。フォーかもしれない! たぶん!」
神童・天才ゲーマー真城和季。
どうやら、VR・ARだろうと世界1位らしい。何を基準に最高値叩き出してるのか。細かいことはよく解らないが、兎に角この人物が世界1位らしい。
それは、仮想世界だろうと現実世界だろうと全国世界だろうと第1位の数字を叩き出して。皆に認められていることを意味していた。
――世界の王者。
――つまり、超えるべき敵と書いて、【ライバル】である。
「私の物語も。ついに全国編へ行くのかー……うんうん!」
「たぶんそうだけど! ちょっと違う……ッ!」
姉妹の小気味よい漫才が展開される。
「んじゃ! 今年の目標は妥当! カズキプレイヤーだー! えいえいおー!」
「エイエイウオオオー!!!!」
テンションアゲアゲで深夜を過ごす姉妹……。
そうして、天上院姫はボソッと小さく呟く……。
「とにかく。現実世界の物語にも、ケリつけないとな……」
「ん? 何の話?」
咲は小さな声に反応する。
「ん~。……予定は未定って話さ」
「じゃあいつも通りだね!」
「あぁそうさ。いつも通りさ……!」
吹っ切れたような感情が夜風に通る……。
そうして、正月の夜は過ぎていった……。この日は珍しくログインはしなかった。
「んじゃ寝る! 普通に寝る! おやすみ!」
「あぁ! お休み! 我が愛らしい妹よ!!」
VR機器もつけないで寝る……。
ぐっすり明日に備えて寝る……。
ゆっくりまったり、寝正月である。




