第395話「ファイナルバトル 戦空VS武2」
そして、それでもなお。信条戦空は立ち上がる。
「決着はつける! 因果を未来へ持っていくことは出来ない!」
「ほう」
「あんたは立ってられるかな?」
「何?」
「お前は、やったらやり返されるって言葉を知らねーのか!? 時は加速する!」
パアン! 次の瞬間。不動武はやり返された。鏡が反射するように。まるでベクトル操作するかのように。時の流れを逆転させたのだ。戦空が。
「因果逆転時流し!」
今度は、五芒星を司っていた。星形の因果の流転の運命が逆転する。
――――光が、光の風が。流れ始めた。
今度は、観客全員が。まるで漫画をフカンするように。次元の異なる所から観測する。
次の瞬間。
それこそ「あっ!」ッという間に。時が過ぎ去った……。
0.06秒で西暦99999999999999999999999999999999999999999999999999999999999999999999999999年代まで子人達は進化した。
不動武には、それら全ての人口を消し去るほどの覚悟は無い。よって、至極当然のごとく。武の世界は優しさのあまり容量オーバーで魂が破裂した。
ここで初めて、実況者ほうおう座が常識的な観点から。解ったうえで話をする。
『おーっと! これはなんということでしょう!? 武選手! 戦空選手が1回! 息吸って吐いたら倒れたぁー!? 今度は解るぞ! 簡単に言うと! 武選手が精神攻撃をしたので! 戦空選手が精神攻撃をし返しましたぁー!!』
ここまで試合開幕で4秒間経過している……。
桃花選手もこれには唖然としますが。解ったのでほうおう座に解説する。
『やったのは、【時の流れの因果関係のベクトル操作】ですね。やり返しただけなので。鏡の乱反射と変わりません』
『ただの攻撃では無くて。時空間と因果関係を逆転させて。殴り返した。……であってますよね?』
『精神攻撃で殴られたので、精神攻撃で殴り返した。ってことですね。頭が良いんだか悪いんだか……』
神の御業としては、展開をコピーアンドペーストして。名前を〈戦空の所を武に置換しただけ〉である。存在の位置が逆転しただけだ。
ほうおう座は度肝を抜かれる。
『こんな展開、今の今まであったでしょうか?!』
桃花は平静としている。
『ありませんね。本当、戦空君の頭の中は空っぽということですね。先の事を何も考えてない……』
「立て!」
不動武は心神喪失していて、辛うじて目の焦点が合っているだけだった。
武は胸ぐらを捕まれて、叩き起こされた。
「お前は! 平等とか秩序維持とか! 傷つくのも傷つけられるのも怖い! ただの弱虫だ!!!!」
そして戦空は〈因果逆転時流し〉で、自分も傷つくこともいとわず。ただ殴る続けた!!!!
――武は、攻撃が強すぎて跳ね返せない……。
「オラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラ!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!」
綺麗に、爽快に、それこそ完膚なきまでに。
決闘を決闘として終わらせた!
ゲームマスター舞姫が、審判を下す。
『勝負あり! 勝者! 信条戦空選手!!!!』
わああああああああああああああああ!!!! とこれは流石に見応えがあったので。観客もちゃんと付いてくることが出来て。
『凄いものが観れましたね!』
『えぇ、決勝戦に相応しい。見事な立ち回りでした!』
涙の数だけ強くなれるよ。
そんな一戦だった……。
『3代目エレメンタルマスターは! 信条戦空だぁ――!!!!』
◆エピローグ
今まで、存在を隠していた。咲18もにメッセージウインドウが表示される。
《天上院咲様をアース018へ回収します、10秒前、8、7、6……》
「むう、……もうちょっと。居たかったな……。バイバイ、咲17ちゃん! おめでとう戦空!」
《――0!》
そう言って手を振って。咲18はアース017から姿を消した――。
◆
第23章「第3回EMTアース017大会」 完




