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少女は異世界ゲームで名を揚げる。~ギルド『放課後クラブ』はエンジョイプレイを満喫するようです~  作者: ゆめみじ18
第23章「第3回EMTアース017大会」西暦2027年1月

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第389話「第4試合 双矢VS文美」

 アース017の終局図が、もうすぐ見えそうになっていた。


◆大会医務室


「ったく、俺に一体何があるってんだよ?」


「それも含めて調べれば良いんじゃ無いかな? いや、戦ってくれれば良いんじゃないかな? かな?」


 大会の休憩所に居た、双矢と文美は交互にそう返した。

 咲17は咲18にユサユサされながら起こされた。


「あれ? 私どうなったの?」


 咲17の意識は盲ろうとしている……。咲18は心配そうに見つめている。


「気を失ってましたね、モルボルの毒袋をまともに受けるの久々じゃない?」


「あぁ、そっか。不動武にやられて……。まぁ、そうなんだけど……」


「あーだ、こーだ……」

「そーだ、あーだ……」


 そのやりとりを見終わったあと。

 日曜双矢と京学文美は自分の大会に実を投じに行った。


◆大会控え室


 既に、もうこの時から戦いの火蓋は切って落とされていた。


「さてと」


「ふふん、こうやって話すのも久しぶりだね!」


「まあ、そうだな。面と向かって話すのは。本当に久しぶりだ」


「今度は認知してる」


「……、あぁ。認識してる」


〈……お前ら本当イチャイチャしてるなぁ~……かわんね〉


 一応、霊体として対応するのはミュウだった。


「……」


「……」


「なあ、前にもこんな会話会ったけどさ。やっぱ棄権していいか?」


「それはダメ、それじゃまるであたしが足手まといみたいじゃない」


「だから、俺は文美を守るために戦ってきたんだ。そんな俺が文美に攻撃するのは、……やっぱ矛盾してるだろ?」


「私の夢はミュウちゃんの夢を叶えること」


「知ってる」


「そして今は、大事な大会の。第4試合目……だよ?」


「そうだな」


「私だって、逃げたくないよ……。私は双矢くんに立ち向かいたい……」


「でも俺は戦わない、それは俺の存在意義を剥奪する行為だ」


「……。じゃあさ」


「?」


「今ここで戦おうよ。口喧嘩で」


「え?」


 日曜双矢は驚愕した。


「戦わなくても良いからさ、道理を通さないと……スッキリしないんだよ。モヤモヤが晴れないんだよ、私のさ。前と今は、ミュウちゃんのためで道理を通して戦ってくれたかもしれない。でもあんなの子供騙しだ。筋は通ってるかもしれないけど。私は〈納得〉してない」


「文美……ッ」


「私が居ないんだよ……。私の道理がさ……。何の気なしに地獄に巻き込んじゃって、何の気なしに責任追わせちゃって。そして何の気なしにここまで来ちゃった……」


「文美、無理に戦う理由なんて探す必要は無い……」


〈……夫婦ゲンカが始まった……〉


「双矢くんは強くなった、私も強くなった。でも本当の私は、置いてきぼりにされて。弱いまんまなんだよ、勝負にもならない。わかってる、自分のことは私が一番良くわかってる。でもさ、戦いたい。でも戦いたくない。じゃあ降参で私の勝利。本当に良いの? そんなので良いの? このままずっとそのままで良いの?」


「お前、もしかして……」


「私は。戦いたいと、戦いたい。負けたいと、負けたい。そのケンカの果てに。愛したいと、愛したい。好きと好きに繋がると思うの! だから! すれ違いだけはもうゴメンなの!!!!」


「……、……!」


「無視と無視で何が生まれるって言うの!? 何も生まれないよ! 私は逃げたくない! それもわかってる、でも、離れるのもイヤだし! すれ違うのももうイヤなの! ちゃんと心と心で! ぶつかってぶつかってぶつかって! その果てに幸せってあると思うの! だから言わせて!」


 すでに心はボロボロの泣きじゃくる文美がそこにはあった。


「逃げるな!!!!」


 戦いも、すれ違いも、逃げも許されない。この文美の心の叫びに。双矢はどう答える?


 返答次第では。もう、決着がつく。


「……」


 双矢は、ゆっくりと。前に歩み寄り。そして、文美を抱いた。


「……!」

「もういい……。十分だ。ぶつからなきゃ伝わらない。それもわかる、でも、言わせてくれ」


 は、っとなった文美はそれを受けいれまいと微弱ながら抵抗する。


「やめて……やめて……」


 彼女の生き様を否定しないでと、文美の心が叫んでいた。


「それは、包み込む相手が居なかったからだ」


「……、……ぐす」


「そして俺は、戦いたくないし。口ゲンカもしたくない。俺はお前を守るために、今まで、生きてきたんだ。どんな攻撃だろうと、文美にはしたくない」


「バカ……!」


「それは、共に居なかったからだ。でも、今は共に居る……、一緒に居る」


「バカ……!!」

 

「一緒に乗り越えていこう」


「ばか」


◆実況解説席


 ほうおう座と、見聞力の強い。湘南桃花は、表舞台でいくら待っても来ない、2人の選手を待つ。


「あの、何で来ないんですか?」


「……待とう、2人はまだ歩ける」


「……はい? あ! 出てきました! ってぇえ!?」


 観客も観ると、日曜双矢選手と京学文美選手が2人仲良く? 手を繋いで歩いてくる。でも、異質だった。


 泣いている、滅茶苦茶ワンワン泣いている。


 文美選手が。

 

 ミュウ選手はそれを黙って付いてくる。


 と、舞台の中心で2人は歩くのを止まった。


「わたくし! 日曜双矢は! この第4試合! 棄権することを! ここに宣言します!!!!」


『!?!?!?!?』

 ザワザワ、ざわざわ……ッ!?


 何がどうなっているのか、観客も実況もわからず。そのまま2人は舞台から降りた。


 そして退場してゆく、2人をみて。桃花が言う。


「ちょっと待った」


「?」

「ぐす、ひっぐ!」


「漢の宣言な以上。双矢の負けは確定だ。でも、そのボロボロの精神状態の文美ちゃんを、あの不動武と戦わせるの? 彼は軍人だ、容赦なんかしない」


 それはごもっともな意見だった。

 双矢は言う。

「それはそれ、コレはコレだ」

 男である双矢も、そこは揺らがず、屈せず。覇気を持ってそう言い放つ。


「びえーんん!!」


 ざわざわざわ……!

 観客席はざわつく。


 ほうおう座は、危機感知をし。現在の審判、ゲームマスターに声を投げかける。


「ゲームマスター舞姫さん!」


 舞姫はマイクを持って、ゲームマスター権限でジャッジする。


『えー。ただいまの第4試合は文美選手の勝利です。しかし、そのまま進めばセミファイナルで文美選手は心神喪失の可能性もあり試合続行不可能と判断します。よって、双矢選手の棄権、文美選手のドクターストップ。不動武選手の無条件決勝進出とします!』


 ざわざわざわ……!

 観客席は更にざわつく。 


 ほうおう座は最後に閉める。


『えー! ということは、次のセミファイナル! 信条戦空選手VSレジェンドマン選手との対戦となり! 勝った方が、不動武選手との決勝戦となります! えー! 以上、セミファイナルは3時間後に開催とし! 一時休憩としまーっす!!!!』


 ザワザワは治まらないまま。1人、また1人と、座席を立ち、散って行った。

 豆知識

 単語◇包み込む相手が居なかったからだ

 分類◇セリフ_日曜双矢_ぶつからなきゃ

 解説◇その言葉は、文美の心に強く強く突き刺さった。故に、双矢は優しくそれを抱きかかえて癒す。

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名を上げる。ボカロBGM:最終決戦~ファイナルバトル~
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