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少女は異世界ゲームで名を揚げる。~ギルド『放課後クラブ』はエンジョイプレイを満喫するようです~  作者: ゆめみじ18
第23章「第3回EMTアース017大会」西暦2027年1月

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第386話「見事の先を見たいんだ!」

 先に動いたのは夜鈴だった。


 そして、勝負は一瞬で終わった。


「私は……! 見事の先を見たいんだ!」


 過去にばかり目が行く自分に嫌気が差す。

 

 未来を望んだはずなのに、いつも観るのは後ろばかり。


 そんな自分にはもう飽きた。


「国力2兆円消費……パワーストーン!!!!」


 もの凄いエネルギーが周囲を埋め尽くす。


「くらえ! この世で最も強い力だ!」


「……、……」


 戦空はその風の中に悲しさを読む。


「――〈X キャノン〉――!!!!」


 ――瞬間怒号――。


 が、カン! と鈍い音と共にその〈世界最強の波動砲〉は上空に吹き飛ばされ。そして、弾けた。


「な……」


 唖然とする夜鈴、に、今まで黙ってた戦空が言葉を紡ぐ。


「悲劇のヒロインからは卒業したみたいだな。夜鈴」


「……!」


「勝ちに来たのも立派だった」


「……!」


「だけどその力は。お前のじゃ無い。桃花先生のだ」


「……!」


「そんな虫のまゆに、守られてるなら……」


(……! 来る!)


 ――シュ


 刹那に来るのは夜鈴に対してのダメだしでは無いし。一方的な拒否でも無い。ただ誇りある者に対しての頂を見せつけるッ!!


 ――ドゴン!!!! と腹パン。


 理屈や理由や意味を度外視して放たれる絶対必勝の一撃。


 ワンパンだった。


 ワンパンチOKだった。

 何処かの次元の咲18もやられたことのある。絶対に負けられない意思しか感じられない一撃で。


「俺はまだ、お前に負けるわけにはいかないッ!」


 観客も唖然だった。これからどれほど素晴らしい戦いが観られるのだろうと。試行錯誤したことだろう。


 だが、結果は。戦空の1撃必殺KO。


 否。


 戦空は夜鈴の【見事の壁を討ち砕いた】のだ……、その先へ行くために。過去と決別するための明確な勝利の一撃を……。


「ソレにすがった時点で、お前は強者を捨てたんだよ。夜鈴。目の前の明るく綺麗で目立ったその場しのぎの品に。文字通り目がくらんだ。とか、そんなのだ」


 横たわる夜鈴には、何も言い返せず。ただただ「チクショウ……」としか言わなかった。その言葉を、怨念を体内から吸って吐くように。反芻しかしなかった。


「今度は、ちゃんと鍛えてから来いよな。お前が弱いと思って捨てた武器の方で来てたら。まだ解らなかったぜ?」

 

 それは、天羽々斬という名刀のことを差している……。


「……。」


 夜鈴は、何も言い返せなかった。


 何故か、自分に言われてるような気がしてならない咲18にも。身に染みる。響く言葉だった。

 咲18は、戦空に対しての評価はこうだ。


「何だろう。何も見てないのに、ほとんど何もしてないのに。……明らかに前より強くなってる……」


 そう感じずにはいられないのは何故だろう。

 これが戦空。

 これこそが戦空。


 とにかく、ここでゲームマスターは第1試合終了のホイッスルを鳴らした。


◆観客席


 咲18は想いを巡らせる、自分の中で考えを整理する。

「やっぱり、2人の戦いって。理屈じゃ無いんだな。……心で戦ってるんだな……って思った。戦空くんも強くなってるけど。それ以上に、夜鈴ちゃんが弱くなってた」


 誰にも聞こえない言葉でそう空に言う。

 そんな描写や仕草はあったっけ? と思うかもしれない。雰囲気の中にあった? でも、全体をフカンして観ると。全体像が見えてくる。その幾千億のルートという線の急所のツボを突いた。

 ちょっと突いた。


 そんな優しさ溢れる一撃だった。……と咲18は思う……。


 桃花さんは何も言わなくなるし、言葉だけ。上っ面な綺麗な言葉だけ。舞台裏で喋るようなトーンで、解説で並べてる。

 実況のほうおう座さんは、必死に論理並べて語ってるけど。何も響かない。


 一杯数字出して。一杯言葉を並べて。一杯並べた常識を、ことごとく超えてゆく。


「戦空……」


 咲18には、不安や恐怖では無く。光、憧れを感じ始めていた。


「中身の無さそうな。空っぽの人なのに、どうしてこう惹かれるんだろう……」


 わからない。咲18にはわからない。


「ただ、本物の強者は。そんな強さを持ってるんだなって、解って良かった。来て良かった!」


 咲18は学習して成長した。それが戦空に届くかどうかは……まだわからない。


 そして、同様に。そんな想いは咲17にも響いた。


◆実況席


 ほうおう座は場を切り替える。


『と! とにかく! お後がつかえてます! 順番待ちがあるので! このまま次へ行っちゃいましょう! サクサクッとね! えー続いてー。第2試合! ジャンプ選手VSレジェンドマン選手ー! こっちもワケの解んないカードですよお~!』


 湘南桃花も自分の名を呼ばれてキョドッたが、数分後、持ち直す。


『まあワケが解んないという意味では同意ですけどね~』


『ではでは、選手入場です~! どうぞ~!』


 そして、ゴツゴツゴツ! ゴツい足音と共に現れたのは。

 西コーナーのジャンプと、東コーナのレジェンドマンが入場して来た2人の漢だった。

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名を上げる。ボカロBGM:最終決戦~ファイナルバトル~
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