第375話「ドアのダンジョン」★
始まりの草原を歩いていたら、そこにはポツンと〈ドアのダンジョン〉と書かれた古ぼけたドアがあった。
「お、ダンジョンだ。この扉に入れば良いの?」
てことで、お邪魔しまーっす。とダンジョンのドアをコンコン、と叩いてから入って行った。
《戦闘可能エリアに入りました》
◆
「わ、なんか。モンスタ○ズインクっぽい所だ。敵も味方? モンスターばっかり、そしてその中でも更に敵っぽいのがア○バースっぽい。バース、マルチバース……。うん、私にはそこまでしか解んないね」
モンスターがモンスターに襲われて、ドアの中へ出たり入ったりしてゆく……。どうしてこうなったのだろうか? と頭をかくサキ。
「ん~、考えすぎかな」
と、我に返り。考えるのをやめ、せっかくのダンジョンなので戦闘に入ることにした。
「ひっさびさのザコモンスターとの戦闘だ~、なんか安心する~。セヤ!」
ひっさびさにザコモンスターを1匹塵にして倒した。
《経験値を小、10Vを手に入れました!》
「ポコポコ行くよ~!」
そして……、1時間後。
「おのれアンバスもどき! チクチクチクチク地味に痛いぞ! 防御力に極振りしたくなってきた!」
(とはいえ何とか解ってきた! たぶん、右眼が人間で左眼が機械みたいなよくわからん構造のモンスターだコイツ! 正直言って良くわからん! 全部ひっくるめて悪って事で倒してしまいたい!)
「とわ言えチェストー!」
(愛と勇気のには何者も無力なのだ! 愛は無いけど勇気ならあるぞ! さあポンポン倒すぞ!)
ポコポコポコポコ!
木剣でポコポコぶん殴る!
などと言いながら。1匹10Vのお金しか成らない敵を30匹倒した。合計金額300Vである。
(レベル3まで上がってちょっと楽になったけどもう限界だ! いったん戻ろう!)
HPもヤバくなってる上に回復アイテムも魔法もスキルも無い。のでここは戦略的撤退だ!
再びドアの方へ戻り、扉を潜ってガシャン! と閉める!
《安全圏エリアに入りました》
「イツツツツ……。ぜはぁ~……ってか私の人生いつもこんなのだったの……?」
最後まで立ってられるのは基礎からしっかり作った奴だけだ! と言わんばかりに、力技で。ノソノソと〈カルテットタウン〉まで戻って行った。
◆
場所は戻って再び〈カルテットタウン〉。
「はぁ~300Vか~。現実世界じゃ花を3本ほど買える値段かな? ココの回復アイテムは何だろう? てか物価はどれくらいだ……?」
まずは2Aエリアのプレイヤー街の自分のお部屋で。ベットの中で横たわり、寝て。HP全回復してから、もうちょっとダンジョンを探索出来るように。回復アイテムを固めたいところだ。
「いや、この場合。生半可な防具じゃ攻撃受けるな……身代わり人形とかの方が、私のサガに合ってる……?」
そして、3Bの商業エリアへ足を運び。商品を拝むことになる。
〈アイテム屋〉
身代わり人形……300V
その辺に落ちてた剣……200V
その辺に生えてた花……100V
調合した回復飲み薬……50V
その辺に生えてた薬草……10V
「……、ちょっと待って。その辺に落ちてたもの売ってるレベルなのここ……。ならスキル〈ものひろい〉とかでアイテム拾ってこようかな……。ちょっと買うのはまだやめておこう」
幸い今はHP全回復状態だし……。
「スキルを買うのかな? いや、拾うだけならスキルもいらないか……。商売かあ~確かにそっち方向はやったこと無いから興味があるっちゃあるぞ……」
よし! じゃあ今度は街にから出たら。まずアイテムを拾って売ろう!
そう決心したサキだった。
「あ、スキル屋さんがあった。……どれどれ……?」
〈スキル屋〉
雲隠れ……500V
物拾い……300V
強攻撃……200V
「お、あった〈物拾い〉えっと詳細を確認っと……」
《スキル〈物拾い〉、相手の 使った 道具を 拾ってくることが ある。 冒険中も 拾ってくる。ただ歩いているだけで不思議な力で自動で拾ってくる》
「……、全自動物拾い機かな? まぁいいや。このスキルで全部V使っちゃうし。〈物拾い〉下さい」
「あいよお! 毎度ありい!」
それにしてもどこにでも居るな、このおっちゃん……。〈アイテム屋〉も〈スキル屋〉にも見た目そっくりで居たし。
《サキはスキル〈物拾い〉を入手しました!》
ついでにおっちゃんと世間話もするサキ。
「おっちゃん、その辺に〈落ちてた剣〉が売ってるって事は。このあたりで戦闘や戦争でもあったんですか? まさか落ち武者とか出てこないですよね?」
「始まりの街って事で、強いNPCが初心者プレイヤーを狩りに来ることはままあるぜ? その都度上級プレイヤーが街の外壁で追っ払ってるけどな。だから街中は安心だ」
「なるほど、この街は強いNPCにカモ狩りされてるのか……一歩外へ出ても危ないわけなんですね。で、だから倒したNPCのアイテムがその辺で落ちてると……」
(治安悪いなこの街、……もっとのどかで平和な街だと思ってたよ。街の外側だけだけど……)
「んじゃま、一息ついたら。今度はダンジョンじゃ無くて、街の外を適当に歩いて〈物拾い〉してみますか……!」
今度は〈カルテットタウン〉の南方向からフィールドへ出てみようと決心するサキだった。




