第364話「第二次、四重奏VS放課後クラブ」
――、2日後。
西暦2035年9月16日、放課後。仮想世界、EWO2闘技場、運命の日である。
そこには湘南桃花と秘十席群が居た。
『さて、実況は不本意ながら私。ギルド受付嬢、湘南桃花がさせていただきます。解説は舞台裏の支配者、秘十席群が担当させてもらいます。よろしくお願いします』
『よろしくお願いします』
桃花は他人行儀に群に言う。
『さて、決戦までのこの立ち回り。どう思いますか?』
『感じ的に、四重奏は速攻で奇襲をかけて勝負を決めた所なんでしょうが。放課後クラブはそれを許さず、大きく空白を作ることで回避しましたね。廻り込みですが』
『ということは、今は放課後クラブのペースとみて良いのでしょうか?』
『どうでしょう。今も空白は生きています。奇襲には大成功した印象ですが、しょせん場外乱闘。スペースが効いている以上は、過去回想で誤差修正をすることは両チーム出来ます。ま、試合は無事に始まる見込みがついて良かったです。……なんとか』
そして選手入場。ここはネット内なのでプレイヤーネームで呼ばれることとなる。
12人対4人。
放課後クラブ
ヤエザキ/農林水サン/エンペラー/遊牧生/ナナナ・カルメル/グリゴロス/天命アリス=スズ/飛焔/ミチビキ/マゼンタ/シアン/シャンフロ。
四重奏
リスク/スズ/ブロード/レイシャ。
湘南桃花が秘十席群に言葉を投げる。
『1人1人解説しますか?』
『いや、いいでしょう。予定の時間も過ぎちゃってますし。さっさと始めましょう、始めた時に解説、それで良いと思います』
『わかりました、では前置きはこの辺にして。では……」
桃花はステータス画面をいじる。
《第二次、四重奏VS放課後クラブ。ルール説明。制限時間は無制限、HPは0で退場。形式は大乱闘。概念階層はあり、基本何でもあり。古式伝統に乗っ取り戦闘方法は『心が強い方が勝つ』形式です。アイテムあり。フィールドは闘技場内のみ、場外に出た場合は反則負け。観客席は戦闘可能範囲内です。肘をついたり倒れても負けになりません。仮想世界でダメージを受けた場合、現実世界でダメージを受ける。は……》
桃花はダメージの所で考える……。
『どうしよっか? 物理的なダメージ判定』
『かすり傷程度ならおオーケーで良いんじゃないか? 知らないでやるならまだしも、知っててダメージを受けるのなら理解は出来るだろ』
『わかった、ただし。この戦闘中だけだからね? 〈解除〉って言ったら解除だから』
《仮想世界でダメージを受けた場合、現実世界でダメージは【アリ】に設定します。》
《これは四重奏VS効果後クラブの戦闘であって、それ以外のプレイヤーからの場外乱闘はナシとなります。》
桃花が続ける。
『こんなもんかね……、では。さっさと始めようと思います。審判者いる? 群』
『いや、俺らで判断すれば良いだろ。人数増やしても面倒だし』
『それもそうね……。では、始めます。お互い悔いの無いように! それでは! ヨーイ……!』
――湘南桃花が花火を打ち上げる。
ひゅるっるるるるるるっるうう~~~~……。
――パァン!!!!
《ただいまより、第二次、四重奏VS放課後クラブ。開幕いたします。》
戦いの火ぶたが切って落とされた。




