第363話「自由の国アメリカVS平和の国ニホン」
――結論、神様はお怒りだ。
現実世界。第二次、四重奏VS放課後クラブ。の2日前。
アメリカ合衆国大統領ジョンサーガは、日本国首相今泉善次朗にこう言った。
「ちょっと平和ボケしすぎてるんじゃ無いか? なぁ日の本の国よ……ッ!」
事の発端は、大切な家族であり妹。天上院咲をイジメてた日本国についてだ。見て観ぬフリを決め込んでいた咲だったが。もう我慢の限界だと、咲は姉である姫に。見えない涙で泣きついた。
よくある一般市民の泣き寝入りだ。
自由の悪神ヒメは、単身。日本の国会へ乗り込もうとしたが。アメリカがそれを押さえる。
政治的キャスティングだ、政治的なキャスティングは必ずバレる。そしてそれは【作品に対してプラスにならない】、絶対に。
――いまはな?
「政治の問題だ。政治家の問題は政治家が解決する。権力上弱い立場にいる日本の子会社に何が出来る。姫」
「黙ってられるかああああああああああああああああ――――!! 妹がやられたんだぞ!! そんなに会議がしたいならやってやろうじゃないか!!」
1人の少女が、1人の小娘が世界権力に対抗できるはずがない。だからアメリカは助け船を出すことにした。
悪かどうかはともかく、日本国は【自由の女神】の逆鱗に触れた。なら自由の国家はどう動くべきだ? ジョンサーガは続ける。
「フィナーレイベント中止と言ったが。まだ2日残っている。それまでに、整えてやろうじゃないか。わからせてやろうじゃないか。憑依だか神威だか言ったか【アメリカ合衆国大統領に神威を纏わせてくれぬか? 姫よ】、おい。――今が有事の時だぞ、日本よ」
妹がやられて断る道理なんてドコにもなかった。
「んなもん気合いで何とかなるじゃろ! 3、2、1、――ッ! 神威!!!!」
神威を纏った大統領、ジョンサーガは、今泉善次朗にこう言う。
「さぁ、ゲームを始めようじゃないか。もう逃げ道はないぞ? 日本政府」
背水の陣で挑む日本政府、今泉善次朗は。覚悟はもう出来てる。準備万端だ。そのはずだ……。
「で、議題は?」
「正義は悪を倒しやすく――、悪は正義を倒しやすく――。だな」
《第二次、四重奏VS放課後クラブ。の前座、前イベント》
《自由の国アメリカVS平和の国ニホンによる平和的な、楽しい楽しいスマイルワールド。外交努力会議が始まりました。》
◆
同日、仮想世界。EWO2、ギルド中央広場受付前。
「どう思う? 姫ちゃんの今回の行動。私的には変に干されなきゃ良いけどな~って心配なんだけど……」
「ま~一度ガチめに国会召集、〈参考人質疑〉ってのもアリだと思うぜ? んでなきゃ間接的なミゾばっか埋まって、オリジンが納得しないしさ。信用度が段違いだし」
会話の渦となっているのは、湘南桃花と秘十席群だ。群に至っては表舞台では初めて真面目な会話になっているはずである。
湘南桃花が表なら、秘十席群は裏のドンだ。
「まぁ、変な謝罪会見や『完結しなくてスミマセンでした~!』って言う、知らない人より解ってる人だよなあ~」
「まぁ、人って言うか神様なんだけどね。今回の場合、人間の姫ちゃんっていうか、これまで長い間、咲ちゃんと一緒に旅を共にしてきた。創造神の姫ちゃんの方が怒ってるし……」
んで、勢いあまって神道社社長からアメリカ合衆国大統領に憑依? 〈神威〉しちゃったと……いう流れです今回は……。ジョンサーガに。
「「はぁ~~~~~~~……ッ」」
深いため息。
解っている【神の理解者2人】はため息しか出なかった、面倒ごとに首を突っ込んでるのは重々承知。今回の件は、表舞台で社会情勢との凸凹をやんごとなき論争で、全てとは行かずとも。大多数に理解してもらうための緊急処置なのだ。
話さないより。
話せば解る何事も。
解らなくてもいい。
伝わらなくてもいい。
それでも、
私にあなたを守らせて。
――と、綺麗な文脈でい言うとそんな感じだ。
「これも〈内乱〉の内に入るのかしら……?」
「さぁ~〈外乱〉じゃね? 柔らかめに言って〈外交〉かなと……」
「「はぁ~~~~~~~……ッ」」
再び深いため息。
舞台裏で入念に準備してきた今までなのに、この調子でいくと。舞台裏のことも暴露、ないし議論の土壌にあげねば国家間会議では通用しないし。姫神様も【議事録が残る体で話すだろう】、だからめんどくさいのだ。
桃花は、オーバーリミッツに助けを求める案を群に言う。
「オーバーリミッツに〈社会科見学〉ってことで丸く収めてくれないかしら?」
「〈封絶〉張れば出来そうだけど、今回は外が外だからなぁ~」
もう現状で、アメリカ合衆国大統領に神威している創造神……。それを今から封絶でやり過ごせるのか? それとも公にして理解を得て貰い〈共存〉の道を歩むのか……?
……悩みの種は尽きない。ドコまでも人間な、似たもの同士の2人であった。




