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少女は異世界ゲームで名を揚げる。~ギルド『放課後クラブ』はエンジョイプレイを満喫するようです~  作者: ゆめみじ18
第20章「残存する上位空間」西暦2035年9月11日

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第353話「空間指定と内容」

 現実世界。西暦2035年9月12日、放課後。


 天上院姫は天上院咲に、遅刻した理由を事細かに説明していた。いや、ほとんど説得していた。


「で、何が起こってるのか説明できるようなったの? お姉ちゃん」

 妹に対して頭が上がらない姉の姿があった。


「……、ちゃんと説明しなきゃダメ?」

「ダメ、皆に迷惑かけてるから」

 家族の善神としての権能もあるので、まぁ解らないことも無い妹の発言は人外の域に達していた。

 かと言って全知全能なわけでは無い。身体能力は今までと変わらずだが、執行できる〈権力〉が姫と同じになった、という認識で良い。

 要するに同じ土台に立とうと思えば立てる、程度の認識だ。


「こういうのは舞台裏で話す事なんだけどなあ~……」

 とは言うものの、この西暦2035年に影響が全くないわけでは無いので。他人事というわけにもいかない。


「えっとーどっから話せば良いのか。まず私は〈全ての支配者〉だ」


「はい」

 そこはもう動揺しない、神様だろうが神の眷属だろうが、姉妹で家族だ。そこは偶然だろうが遠慮しない。


「そのことを忘れていたが、それでも世界は回っていたのだ」


「うん」


「で、さっきその『言った』という事実を思い出して。じゃあ〈空間指定〉して、大小操作して。〈神のゲーム〉を続行すればよくね? って所で落ち着いたのだ」

 世界は急には止まれないので、中止。という選択肢は無かった。


「あれ? でも確か。今って吸血鬼大戦を基盤に世界は動いてるんだよね?」


「そうだな、そのための地図も。皆がせっせか作ってくれているし。新しく世界を作ってから空間指定するより。今ある地図を縮小した方が、操作はしやすいだろうな」

 本当は全部が全部、自分で操作出来た方が良いのが理想像だが。それにしたって相撲をする土俵範囲が〈全て〉というのはあまりにデカすぎる。しかも自覚無しの無意識なら尚更だ。


「仮想世界での地図の範囲は、この前。EWO2で領土の取り合いをしたから問題無いが。問題は現実世界の地図と国境じゃな」

 いまいちピンとイメージ出来ない説明が返って来た。


「現実世界? ソレってどこのことを指してるの?」


「2022年のウクライナ・ロシア情勢だな。これは自然とそうなっちゃったワケで、皆がやりたいようにやった結果。こうなっちゃったわけだから〈どうもこうも無い〉。じゃが、こっから先はワシが〈空間指定〉やら〈操作〉出来るわけだから。いつも言ってるように? 公園は作るが、その中でどう遊ぶかは皆勝手にしていいよ。ってスタンスじゃ」


「ふむ」

 相変わらず規模がデカイな、とは思ったが。元の範囲が〈全て〉なのだからそりゃデカくなるのは至極当然だよな、と納得する。


「で、どんな風に〈空間指定〉するの?」


「3つのうち1つに絞ろうと思ってる」


「ほう」

 考えが無いわけでは無いようだ。


「1つは、今やってるヨーロッパあたりを主戦場とする攻略本制作。2つは、日本と中国あたりを主戦場とする攻略本制作。3つはアメリカとどっかとを主戦場とする攻略本制作。じゃな」


 それが〈空間指定〉の3つの案。


「内容は、少年漫画誌の範囲内が良いと思っている。今までの延長線だし、最初の〈地ならし〉としては良いじゃろう。逆にネット小説を〈中身〉にしちゃうと阿鼻叫喚のカオスになる可能性が高い。ここはその道のプロがプロットを立てて責任を持って世に公開したモノを〈公園の中身〉にするのが良いじゃろう。と、思ってる」


 まあ、そんな変ちくりんな事を考えてるんだろうな。ということは、あらかた予想はしていた咲。

「なるほど、それが〈空間指定〉と〈内容〉ってことね。で? お姉ちゃんはその3つの案の中でドコに心は傾いてるの?」


「1かな。準備万端で作戦も考えまくってて。流れ的に矛盾が無い。変な心配をしなくて良いという意味で。……まあちょっと危険じゃが」


「その範囲内で攻略本制作?」


「まあVRMMO的にはいつも通り自由で良いんじゃが。概念階層的な内容していとしてはそんな感じかなと」

 意味不明、理解不能な会話をしているワケでは無いことはわかった。


 言って、液晶タブレットの表示に。世界樹クロニクルのプログラムを呼び出す。これを決定したら、あとは自動で動いてくれるという算段だ。


《現在の〈空間指定〉を『全て』から『ヨーロッパあたり』に変更。〈内容〉を『全て』から『少年漫画誌全域』に変更しますか?》


 という欄が出てきて。姉姫は妹咲に了承を得ようよ顔を向ける。


「いいよな? これで?」


「まあとち狂った内容には変わりないけど。理解できない流れでは無いかな」


「じゃ当分これで進めるぞ」


 と言うわけで、意を決して《はい》と決定ボタンを押した。


《空間指定はヨーロッパあたり、内容を少年漫画誌全域。に変更しました》


「これで治まってくれれば良いんじゃが……」


「いや、これからアクシデント起こすのにそれはおかしい」


 ともあれ、〈全て〉とかいう。とち狂った空間範囲からは逃れられた。とちょっと安心したゲームマスター天上院姫であった。

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