第347話「難易度ハード、瞳術講座」
「グワアアアアアアア!!!!」
ゾンビ達が海の上から全速力で走ってこっちに来る。そんな中……。
「さて、では瞳術講座でも始めようか。なのじゃ」
相変わらずの、のじゃロリっ子。天上院姫/ゲームマスター/神様は。のほほんと豪華客船〈中央〉の〈頂上〉から咲と姫。2人で会話する。
「ゾンビが船に突撃するまでに少し時間がある。その間にその眼の説明をしよう」
「やっとか」
本当にやっとである。
「サキが装備した、その〈幻想の右眼〉には瞳術〈百鬼夜行〉と〈絶対破壊〉が備わっている」
「瞳術?」
「眼の術の技名だよ。良い感じに良く見える、だけじゃ良くわからんからな。まずは1つ目、〈百鬼夜行〉を使ってみろ、〈幻想の右眼〉はイメージの眼。射程距離などほぼ無意味じゃ」
「ん~良くわかんないけど、眼に力を集めれば良いんだよね。力めば」
というわけで、〈幻想の右眼〉を発動する。
「〈幻想の右眼〉!」
すると、視界が夕焼け色に染まった。これだけなら、視界が夕焼け色になるだけの、ただのカラーコンタクトだ。
「じゃあその状態で〈百鬼夜行〉と念じろ」
――瞳術〈百鬼夜行〉!
すると、魑魅魍魎の気配がやってきた。
「そいつらに射程距離は無い。〈鬼〉をイメージしてあの500メートル先のゾンビを殴ってみろ」
「オッケイ、イメージして……殴る!」
「グゲラッ!?」
そこには確かにイメージした鬼がゾンビを殴る光景が眼に映った。一匹のゾンビが海の中へ沈んでゆく。
「上空だろうが、地下だろうが。幻想の存在だ、射程距離はない。ただ視界に入れてイメージして殴る。それだけ」
「おお! 肉体を移動させるより速いのに。しかも物理技かー!?」
姫は、腕を組み。鬼だけじゃ味気ないからと良い。
「〈前鬼〉と〈後鬼〉をイメージすると良い。きっとそのほうが使いやすいと思うぞ」
「なるほど〈前鬼〉と〈後鬼〉ね! わかった!」
視界に入る射程範囲の中。イメージした〈前鬼〉と〈後鬼〉を召喚して。物理的に殴る殴る殴る。
「凄い! 遠いのに正確に当たる!」
「まあ、その分威力は弱攻撃ぐらいだがな。けん制くらいにはなるじゃろうて」
続いて、2つ目。瞳術〈絶対破壊〉のほうだ。
「瞳術〈絶対破壊〉は視界に映った物体に。〈破壊の線〉を描写させる代物だ。その弱点という名の線に攻撃を当てさえすれば。絶対に破壊されなければならない」
咲は補足する。
「まず瞳術を使って。自分の視界に入った線に攻撃を当てなきゃ破壊は出来ないってことだね」
「そゆこと、試しにこの普通の剣を。〈幻想の右眼〉発動中に〈絶対破壊〉を発動してみ」
すると視界が青色になり、剣に弱点となる絶対破壊ポイントに。黒色の線が映し出された。
「耐久値が高い武器はこの〈破壊線〉は少なくなり、低いと〈破壊線〉は多くなる。試しに弱攻撃」
「えい!」
すると、普通の剣は。パキイン! と粉々に砕け散ってしまった。
「破壊に成功すると。急激に自身の魔力量が消費される、ま。頑張って作った武器なんかにコレを使うと。一気に魔力を持って行かれて疲れやすいかもな」
「ふーん。説明ありがと、お姉ちゃん」
「お、もう説明いいのか?」
「そんなこと言ってる時間無いでしょ。もう50メートルまでゾンビの大群来てるし。あとは実戦で覚えるよ」
「そっか!」
逞しくなったものだなと思う姫は臨戦態勢に入る。
「さあて、私達姉妹の活躍は飽きたじゃろう。まずは〈北陣営〉のお手並み拝見と行きましょうか!」
ゾンビの大群が船に突撃をかましてきた、船の上にゾンビ達が群がる。3人対多数。
〈北陣営〉、エンペラー、グリゴロス、シャンフロ。の戦いが始まる――。
「来たか!」
「待ってたぜ!」
「俺様の美技に酔いな!」
「グオワアアアアアアアアアアアア!」
「キシャアアアアアアアアアアアア!」
「オワアアアアアアアアアアアアア!」




