第346話「難易度ハード、作戦会議」
西暦2035年9月6日、午後18時15分。
リミテッドデータログ・オンライン内、イベント〈豪華客船ミルヴォワール防衛戦〉難易度ハード。船内。
常夏の海と船しかないフィールドで、ゾンビの大群がが海上を走って全力疾走してくるこのイベント。
ルールは簡単、船が沈没したら負け。今回はもう一つ、1万7000ログまで耐え切れたらゲームクリアというログ制限がある。ちなみにこのイベント、開始前の準備段階からログをもう取っているので。実質前回からスタートとなる形を取っている。
サキがプレイヤー皆にコールしてから開始の合図とみなされ。既に、約2000ほどのログが消費されている。
そう、戦いはもう既に始まっているのだ。あと15分で準備を整えなければ強制的にイベントがスタートする。
その前にせめて顔合わせだけでも済ませておきたかった。
改めてメンバー紹介。
ギルド『放課後クラブ』
1人目。サキ/主人公の自称エンジョイプレイヤー。
2人目。農林水サン/ゲームマスターでサキの姉。
3人目。エンペラー/攻略組ガチ勢の廃人。
4人目。グリゴロス/素早さにステータス極振りした、格闘家。
5人目。蒼葉/貴重なショタっ子、銀、竜尾、グランマティカを使えるが。未熟。
6人目。天命アリス=スズ/最高人口AI、凪ノ唄夜鈴の亜種。
7人目。飛焔/NPCのマフィア系黒いドラゴン。
8人目。ミチビキ/ロマン砲の使い手、演唱が長い。
9人目。遊牧生/生産職、回復アイテム生産役。
10人目。マゼンタ/人口フラクトライト、サキの装備アイテムで意思があり喋る。
11人目。シアン/人口フラクトライト、農林水サンの装備アイテムで意思があり喋る。
続いてサブ?チーム。
ギルド『放課後クラブ親衛隊』
1人目。シャンフロ/中間管理職統合班長。
2人目。牙/中間管理職統合副班長。
3人目。その他いっぱい、10名くらい。
合計23名。
「うん、もう初心者ギルドって感じじゃないよね……」
「中堅か、大型ギルドの分類に入るだろうなあ~……」
サキと農林水サンはそれぞれの言葉を口にした。全員集合イベントはいつ以来だろうか?
エンペラーが時間が無いと、仕切り出す。
「まず、船を中心に東、西、南、北。それと中央に分けよう」
『異議なし』
そこはすんなり皆同意してくれた。
「……問題は配置だな。サキが決めるか? それともゲームマスターのサンが決めるか?」
「ふむ、じゃあ面倒だからワシが決めよう。ちなみにわしは運営のゲームマスターじゃが、今回はプレイヤーとして参加するからあしからず。ってことで陣形じゃな」
まず大事な〈中央〉は、サキ、農林水サン、マゼンタ、シアンの実質2人と4名で決定。司令塔はここに配置するのが一番だろう。
蒼葉がサンに言う。
「ゾンビ達はどの方角から襲ってくるの?」
「今回は〈北〉じゃな、一番激しい戦闘区画になる。戦闘に自信のある奴は?」
手を上げたのは。エンペラー、グリゴロス、シャンフロ、の3名。
「逆に戦闘に不慣れなのは〈南〉じゃな、そっちは?」
手を上げたのは。遊牧生、ミチビキ、牙。
続いて〈東〉。スズと蒼葉。その他3名
続いて〈西〉。その他7名。
という、編成になった。
まとめると。
〈中央〉、サキ、農林水サン、マゼンタ、シアン。
〈北〉、エンペラー、グリゴロス、シャンフロ。
〈南〉、遊牧生、ミチビキ、牙。
〈東〉、スズ、蒼葉、その他3名。
〈西〉、その他7名。
「他に何かある? 無ければこれで行きたいと思うけど……」
皆思い思いの言葉を口にするが。サキが処理しきれていない。が、特に問題は無さそうであった。
「積る話もあるだろうが。無ければ、これで行くわ」
農林水サンが言う。
「では最後に、ここまでのログ消費は3500ログだ。あーあと死んだら。リスポーン地点は豪華客船の〈中央〉から再スタートとなる。皆、気をつけるように!」
では、……。
3、2、1……。
《〈豪華客船ミルヴォワール防衛戦〉難易度ハード。スタート!》
ピー! と言う音と共に、プレイヤー達が戦場へと送り込まれた。
常夏の海でのゾンビ大戦が幕を開けた――。




