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少女は異世界ゲームで名を揚げる。~ギルド『放課後クラブ』はエンジョイプレイを満喫するようです~  作者: ゆめみじ18
第19章「LDO」西暦2035年9月4日

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第340話「天上院咲VS天上院姫2」

 闘技場で2人は身構える。


 身構える咲と姫、お互いに動こうとしない……。

(5000ログか、動かなければログは貯まらないはず……)

(まともに動けば、たぶん2人の攻防が往復5手で決着が付く短期決戦……)


 5ターンでどっちが勝とうが負けようが、決着が付いてしまう。それ故に慎重なのだろう。

 互いの間合いで可能な限り時間を消費する。時間稼ぎでは無い、下手をしたら最初の1手目で全ての決着が付いてしまうからだ。

 だが、最初に動いたのは姫だった。


「来ないんならこっちから行くぞ!」

 瞬間、姫は〈モルボルの毒袋〉を投げた。

 煙幕の質の悪いバージョン。ドクマヒやけどをいっぺんに発動させてしまう、職業忍者の戦法は健在らしい。


「〈雷速鼠動らいそくちゅんどう2〉!」

 それを瞬間移動で避ける咲、ただの瞬動では無い。魔法による肉体強化だ。

 毒袋は、その場で破裂し。厄介なフィールドとして霧散する。咲はこのまま一気に間合いを詰め……。


「お見通しじゃ! 〈エレキネット〉!」

 雷速で移動していた咲の行く手をネットの網、正確には電線が咲にくっ付く。そのまま誘導されるように姫の正面へ来てしまったので……。

「しま……」


 ――シュ!

 顔面一発クリーンヒットに咲の額に姫の拳が当たる。

 だが、雷速の攻撃はまだ終わってない。後から来る魔法の鼠が追撃して来るかと思われたが……。


 ――キュウーン!!

 F1カーが通り過ぎるような効果音と共に、咲の〈雷速鼠動2〉を描き消した。

「スキル〈浄化の右手〉!」

 質量の無いもの以外は神の御業でさえ消すこの力。当然、威力は姫本来の筋力に依存する。

 なので、普通の女子中学生の本気パンチ程度のダメージを咲は食らった。


 ――まず1手目、ここまで686ログ。


(ふむ、なら5手から10手で終わる計算か……)

 などと、咲から視線を外したほんの0.数秒……。


「〈エボリューション・極黒きょくこく〉!」

 空中蹴りをして滑空、神速でUターンしてきた。

 勿論、攻撃力MAXだろうと姫は〈パリィ〉で受け流せる。ここは甘んじてその流れで様子を観る。


「〈パリィ〉!」

「を! 〈パリィ返し〉!」

 咲はパリィ返しに打って出た。

 体制を崩されて、姫はのけぞり状態になる。足を崩したと言っても過言では無い。


(チャンス!)

「〈森羅万象のワルツ〉!」

 咲は自然界の8属性を付加した剣撃で踊るように弧を剣線に乗せるが……。

 ここに来て咲の知らない、熟練者しか知らない技が飛び出てくる。


「スキル〈風になる〉!」

「な!?」

 咲は信じられないものを見るような目をした、まるで風でも斬ってるかのように8連撃が虚空へ消えた。

 全て回避された。まるで布か紙でも斬ってるかのような感触だった。


「スキル〈風神……〉」

 まずいのが来ると本能で感じた咲は、「〈城壁〉!」という強固なスキルでガードを固めたが……。

「〈インパクト〉!!」

 ズシリッ! と【体の内側から衝撃波が全身を貫いた】!

 コレにより、咲は内部からダメージを受けて。空中から地面に転げ落ちる。

(くう! 知らない技ばかり出てくる。初見殺しも良いところだわ!)


「どうした? 予め技の内容を知ってないと対処が出来ないか? 一度使った技が大体効かない相手。チーム『四重奏』相手じゃ、速攻で終わるぞ!」

 姫が場数が違うとばかりに威勢を張る。


(なにその情報、初めて聞くんですけど……)

「確かに四重奏相手だったら一度。戦空くんと戦ったけど、一撃で終わったしなあ~……」

(これじゃあ、弱点が無いように思えてしまう。いや、待て? 弱点?)

(あるじゃないか!)


「うおわああああああああああああああああああああああああああああああああ!!!!」


 ――ビク!?

 突然の、何の脈絡も無い所からの〈威嚇いかく〉攻撃! 決定的なチャンスは一度きりしか無い!

 姫は確かに萎縮した。


(ここで決める!! 奥義!! 〈殺劇さつげき森羅万象しんらばんしょうのワルツ2〉!!!!)


「〈パリィ〉!」

 を姫はするも、威嚇でパリィの威力が半減して弾き返せなかった……。


斬空剣ざんくうけん〉!

 真空の飛ぶ斬撃が複数飛ぶ。

古今無双ここんむそう〉!

 横薙に広がる広範囲の扇形の瞬撃。

太陽たいよう大回転だいかいてん〉!

 3回転して太陽の軌道上を回る。

超天元突破ちょうてんげんとっぱ・巨神殺し〉!

 ドリルを巨大化し螺旋を描く、竜巻の牙突。

雷速鼠動らいそくちゅんどう〉!

 雷速の体当たりと、遅れてくる鼠動の不可避の体当たり。

〈エボリューション・きわみ〉!

 後にも先にも二度とない、純白の花騎士に変わり。

森羅万象しんらばんしょうのワルツ〉!

 自由自在の8連撃・8属性の乱舞らんぶ

「たあああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああ!!!!!!!」   


 全てクリティカルヒット! 神速の剣撃により、反撃の隙も与えなかった。

 ――ひゅん! ズドン! とフィールドの端っこ。壁にぶち当たった。

 すぐさま、咲は全撃命中したか。スキル〈神瞳しんんがん〉で検証する。


(幻影……ではない、本物だ!)


 実際に当たったことがコレで確定。射程範囲外に出たので制限ログを確認する咲。


 ――2手目、ここまで2109ログ。


(もうこれで終わっても良いんだけどなあ~、今ならお姉ちゃんよりHPあるし……)

 手をブンブンブンブン振って猛烈にアピールしてログを消費している咲の姿があった。適当に動いてたらログは減るので、今HPが多い咲にとっては有利に働く。

 わざわざ、5000ログまで全部真剣勝負をする必要は無い。だから咲は無駄な動きをどんどんどんどこする。


「うひー! 今のは効いた! でもあとログは約3000あるぞ? もう奥の手は出し切ったか?」

「……ん~、残念ながら出し切っちゃったのよねえ~……」

(制限ログ3000ぐらいにしておけば良かった……、ここから先はお姉ちゃんに蹂躙される未来しか見えない……)


「あの、降参して良い? 私の勝ち逃げってことで……」

「HPが1になるか、5000ログになるかしかルールは確か設定してなかったはずだが?」

「じゃあ今から設定を追加して……」

「そんな邪険に言うなって、どれ。じゃあコレを防げたら終わらせてやるよ」

「あ、何か嫌な予感が……」


 言って、天上院姫は神意を使う。知ってる人は知っている、知らない人は知らない

 このエレメンタルワールドでの最強の攻撃スキル……。


 ――アレだ。

「まだまだまだまだまだまだまだまだまだまだまだまだまだまだまだまだまだまだ!!!!」


 空気が圧縮される、風が姫へ中心に流れてゆく。まるで台風の目だ。

 ゴオオオオオオ!!!!

 と、今度は雨と暴風雨を降らせながら。今度は重力が姫を中心点として引きずられそうになる。

 トドメに、空間そのものが縮小されてゆく。宇宙のインフレーションでは無く、デフレーションのほうだ。

 天上院咲は、この技をまともに受けた事はない。


「え、これどうすれば良いの!? 逃げ道が!? 逃げ道が!? 逃げ道が!?」

 どんどん姫お姉ちゃんの方に吸い寄せられる。物理的に空間が小さくなっていく。

 ……やがて、空間が1次元の点しか無くなってしまい。逃げ道がゼロ距離の。命中率1000%になってしまった。


「あー! ちょっと待って! あ! あああああああああああああああああああああ!?!?」

 咲には対抗策も何も思い浮かばなかった。


「スーパービックバン! パーンチ!!!!」


 宇宙創世のビックバンアッパーカットで、咲のアゴに向かってハイパーインフレーションが嵐と共に巻き起こった。

 

《合計3167ログ。天上院咲のHPが1になりました。勝者、天上院姫!!》


 咲と姫の経験の差が浮き彫りになった形だった。

 実力差じゃない、年期の違いだった。

「だ、~まいりました……」

 そこには大の字になって地面に倒れ込む咲の姿があった。


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