第325話「夢の国&中華国同盟」
Aランクギルド『夢の国&中華国同盟』とはどういうギルドなのか。
その説明をするのに適しているのは。その圧倒的なほどの土地にあると言っても過言では無い。
最果ての軍勢は個々の超能力は最強であるかもしれないが。それは火力のみでの話である。
元となる原材料が無ければそもそも火力というものは生まれないのである。そもそも軍勢のホームの島が小さい。
つまり、生産能力が全てのギルドの中でトップクラスを誇る能力なのだ。むしろ一番と言っても良い。
加えて、魔法関連の得意なギルド『夢の国』は魔法的な摩訶不思議な素材をそりゃあもう大量に消費する。肉体に蓄積出来る魔力は限られている。限界量だって違うだろう。
ということで、中華国はバッテリー。夢の国はスマホ本体。みたいな燃料と武力を完全に分けて構成された戦闘・生産両方に極振りした、完璧なギルドである。
以前、ヤエザキが保持していた。空母エヴァンジェリンを例で上げると。アレでも当然、普通のプレイヤーよりも遙かに移動型生産拠点としてはとても優秀な部類に入るだろう。
だが、ギルド『中華国』は桁が違った。原子力空母13隻を保持。その全てに生産職人が大量に乗っている。
回復・武器・防具・アイテム・スキル・アビリティ。考え得る全ての消耗品を24時間永遠に消費しても回転し続ける持久力を持っている。
おまけのようにこの原子力空母、飛行艇なのである。飛ぶ原子力空母という広大なお花畑で生産をし続ける。バカみたいな生産職のロマンメガ盛り丼である。
これだけでも十分に驚異だというのに。ここにギルド『夢の国』がまるでお菓子のおまけのごとく魔法の最高峰がくっ付いているから、最果ての軍勢同様に手が付けられない。
夢の国は、普通に上級魔法をぶっ放してくる火力お化けの集まりで。
極大魔法は使わない。ただ上級魔法を打ち続ける持久戦を高火力で殴り続ける脳筋特殊攻撃魔女っ子達の集まりである。知的に頭を使って殴る、カッコ物理みたいな。
本の皮を被った鈍器みたいな集団である。
唯一の欠点が、『攻撃役が居ない』と『MP回復が追いつかない』という弱点を持っていて。Bランクギルド止まりだった。
と、そこへ。中国のギルドマスター、希一十が加入してしまったからさあ大変。彼は1のモノを何でも10にしてしまう。現実世界のチート能力を持っている。
彼の助言から夢の国と中華国はギルド同盟を組み。もう集団では誰も手が付けられない永遠に上級魔法が止まらない。壊滅的なギルドへと成り上がり。Aランクギルドへと成ったのである。成長性は全く衰える気配が無く右肩上がりのSランク。
勿論。休むし、寝るし、用事だってあるが。その人数の分母が多すぎて、中国で寝て、アメリカで起きる。
みたいな生産方法が物理的に出来てしまう生産体制になっている。リアル化物集団なのだ。
なので「場外乱闘と運営陣が居なければ実質Sランク」と呼ばれているのがこのギルド『夢の国&中華国同盟』なのである。
◆
農林水サンが「以上で夢中同盟の説明は終わりじゃ」と言ったところで。
説明が長い、と言いたくなったが。ヤエザキは驚異的な単語メガ盛りだったのでぐうの音も出なかった。
「なるほど、Aランクギルドなのに。未だに底なしの発展途上ギルドなのね」
末恐ろしい、というか既に末ってるあたり。強い敵が相手側に居ることが十分に判った。
希一十……、恐らく放課後クラブ親衛隊か非理法権天あたりとぶつかるだろう……。
そう思わせといてお姉ちゃんとのバトルもあり得る?
いや、この辺は微妙だ。そもそも一回しか会ってない。何にしてもお姉ちゃんと同等の天才だ。権力で言えばお姉ちゃんか同等か、遙かに超えてくる。要注意に越したことは無い。
そんなこんなの話をしていたら『5Dエリア』の山についた。ヤエザキは早々にダブル王国で飛龍を買うのを諦め。野生の飛龍をテイムすることに決めた。
理由は、情報で『フェアリーマザー・ドラゴン』という上級モンスターが居ると聞いたからだ。その速度は通常の飛龍の3倍速い。「赤いお婆ちゃん」と呼ばれているとか何とか。
それが本当なら、1エリアを3分では無く。1分で通過出来ることになる。
というわけで、即決定。「行くしかないっしょ!」となった。
と言うわけで紆余曲折あり、フェアリーマザー・ドラゴンを見つけた天上院姉妹はというと……「乗っけて! ついでにテイムさせて!」と言うと。「おkおk」と軽々しくノリにノッたお婆ちゃんだった。
突っ込みどころ満載だし理由も知りたいが。本人が乗り気だから良いや。と言うことにした。そこを考えてる時間も惜しい。
天上院姉妹は急いで。
激戦の地『3Cエリア』へと空高く舞い上がり。
――飛んだ。




