第321話「例の大会」★■
「やろっか? 第3回エレメンタルマスター大会」
「えっと……何それ? またお姉ちゃんのテキトウなアイディア?」
「あぁそっか、咲は知らないのか。かんなり伝統のある大会だぞ?」
「……? んん? 【マスター承認試験】とはどう違うのさ?」
この姫社長、忘れていたのである。浮遊城の本当の目的を! 忘れていたのである!
「ごめん、アレ忘れて。やっぱなし。ノーカン」
「え!? えぇ~~!? アレがなし!? 何で!?」
「つまんなかったから!」
「身も蓋もねーよ! お前どんだけハードル上げれば気が済むんだ!」
「ごめん! ほんとごめん! 〈承認試験〉と〈大会〉を別々にしてた! コレじゃ意味が無い!」
「意味ないって! 思いっきり私達クリアしたじゃん! 浮遊城第100層、他にも続々と後続の人たちだってクリアしてるし……」
「あ~、じゃあ参加資格にしよう」
「は!?」
「浮遊城第100層までを、なんだかんだでクリアしたプレイヤーが参加資格」
ホワイ!? アレが通過点!? アレがただの入場チケット!? 頭を抱える妹咲。
「……お姉ちゃん。それゲーマー中、全部で何人居ると思ってるのさ」
「30人から50人ぐらいだろうな。んで、その中で紅白歌合戦をやる」
話が飛んだ。
「はい?」
「こんなシナリオはどうじゃ? 例えば30人を半分にチームを分けて。今度は騎馬戦じゃなくて。フィールドを国単位にした国盗り合戦じゃ。30人はその国の大戦力。えっとレベルファイブみたいな立ち位置」
「とあるを知ってる私にしか判らない例えだな。その30人以外のプレイヤーは参加できないの?」
「レベル1のゲームプレイヤーも参加できるぞ。無所属、2カ国所属。何でもあり。ただし、勝利する国は2つに1つじゃ」
「ほうほう」
「まーでも、1人1人クラス分けしてても日が暮れちゃうから。ギルドで区切るぞ」
「なんかどっかで観たぞ。どこだったか忘れたけど」
「安心しろ。今度は裏切り、国移動、亡国、何でもありじゃ」
「安心できんぞそれ」
「よし! 国名は『ダブル王国』と『デュオ王国』にしよう!」
「ほぼ即興じゃねーか!」
◆
【ダブル王国】
最果ての軍勢/四重奏/アベンジャーズ/放課後クラブ親衛隊/非理法権天/方陣 東西南北
【デュオ王国】
神道社総合委員会/スーパーヒーロー戦団/脳筋漢ズ/夢の国&中華国同盟/放課後クラブ
◆
「あとはテキトウ」
「お姉ちゃんコレって、もしかして私情入れないで平等に割った感じ?」
「わった、わけた。どうせ移動OKなんだからなるようになるじゃろ」
「あれ? ……今の私達ってさ。ギルド『世界観探索隊』だよね?」
「どっちに転んでも良いぞ。あ、でも。制限時間は決めておきたいな。10万文字分のログでタイムアップとする。それはいいな」
「なるほど、ううむ……」
「てわけで。ワールドクエストをポチイ!」
「かるいよお姉ちゃん!」
《ワールドクエストが発生しました。公式イベント【第3回エレメンタルマスター大会。ダブル王国VSデュオ王国】。の、どちらかに所属してください。制限時間内、または勝利国側内の多数決でエレメンタルマスターに相応しい人物を1人決めます。そのたった1人が第3回エレメンタルマスターです。マスターに相応しい方を投票出来る参加資格は、浮遊城第100層をクリアしていることです。レベル1のプレイヤーもプレイ可能です。どのように動いても自由です。以上です、ではプレイヤーの皆様。楽しいゲームライフを!》
△豆知識『ダブル王国VSデュオ王国』
分類◇EWO2_ワールドクエスト_マスター承認試験
解説◇EWO2で世界観全体のバージョンアップ。地図エリア拡張4の時に発生したクエスト。このエリアを統治している国々が判明し、ここに戦いが加速する。すなわち、国境線エリア争いである。どのエリアがどちらの国の領地なのか、それがこのイベントで決まる。同時にエレメンタルマスター大会でもあり、マスター承認試験の内容でもある。第3回マスターの承認はゲームマスターがそれを正式な大会と見なしていなかったためほぼほぼ無効試合と化し。代わりに第100層ボスイベント通過者のみが参加できるという、ハイレベルかつハイ難易度なワールドクエストとなっている。レベル1のプレイヤーも参加可能と謳っているが。それは「レベル1で第100層をクリアしてる人でも参加可能ですよ」と言っているだけなので。実質上級者向けのワールドクエストである。なお観戦や実況、録画は許可されており。観るだけならネット回線があれば誰でもリアルタイムで閲覧出来る。勝利国側内の多数決でエレメンタルマスターに相応しい人物を1人決めるのは本編の通り。




