第319話「運営管理室・南側」
湘南桃花は大真面目に、しかし素直に今置かれている現状だけを知った。
「やっぱりだ、やっぱり私は前へ進まされている。そしてようやく、方位を知ることが出来た」 ゲームマスター姫もやはりと言うか。だろうな、という期待と不安の入り交じった心境の面持ちだ。
まず大前提として、封絶を張っている。
これの意味するところはつまり。観測したら不自然なくらい何も起こらないのは当たり前だという事。東西南北全てに封絶を張っているので。外部隠蔽工作が働いている。だから箱の中身は絶状態で封じられている。何も無いから何も起こらない。そういうことだ。
東側・北側・西側たる攻略組のアメリカや各国の先攻部隊は、ただいまより戦闘に入った。
そして自分が担当するのは南側だ。それがはっきりと解った天上院姫。そして感想が一つ。
「神器に四神に創造神に天罰神とまぁ、神様だらけだな」
人ならざるモノ達の宴、本物の人外、バケモノ達の共演を初めて観て、そして理解できる。
初見なら当然、圧巻の一言だった。情報が古い? いやいや、ここまで変わらず待つを貫いてきた彼ら・皆には感謝仕切れないほどだった。
不確かでおぼろげなカンは、当たっていた。ただそれだけだが。方向性がわかるようになったら何とかなる。事の原因たる湘南桃花は頭が上がらない。
「えっと、今現状どこだったっけ?」
「『戦いへ』だからこれから戦いに行くぞー! て感じじゃないかな本隊は」
現状、一番前と中央本隊と。目指すべき方位がわかった程度のものだ。話をまとめると。
「東・北・西は皆に任せておけば良いって事よね?」
「そういうことだろう、私達はめちゃくちゃ遅いけど。確かに進んでいる」
それがわかっただけでも安心できた。話のオチどころは南側、それがわかっただけでも収穫だ。だから、やるべき事は別のことだった。ことがわかる。
「さて、ではこれからどうする?」
「だからって手を止める訳にもいかんでしょうに。鍛錬は欠かさずに進みましょうとしか言えないわ」
こちらの都合とあちらの都合がなんとももどかしい。なので言うべき言葉はこうなる。
「はじめていいのか?」
「どうぞどうぞ、何を始めるのかは知らないけど」
各々が戦いの渦中へと誘われて行った。




