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少女は異世界ゲームで名を揚げる。~ギルド『放課後クラブ』はエンジョイプレイを満喫するようです~  作者: ゆめみじ18
第15章「ゼロから」西暦2035年7月15日

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番外編26「凪ノ唄夜鈴と凪ノ唄蒼葉」

 西暦2035年7月19日放課後。

 どこか小気味良いジャズの音楽が流れる、ギルド中央広場受付内部のテーブル。

 凪ノ唄夜鈴、12歳。と凪ノ唄蒼葉、11歳。の姉弟はお茶をしていた。

「あ、お姉ちゃん! どうだったー? 『フレンドトーナメント大会・極』の結果は」

「どうもこうも無いわ、肩透かしだわさ……」

「ん~~~~?」

 試合の結果だけ言うとこうなった。


 第1回フレンドトーナメント大会・極

◆第1回戦◆

 浮遊戦空VSレジェンドマン。勝者、浮遊戦空

 凪ノ唄夜鈴VSオーバーリミッツ。勝者、凪ノ唄夜鈴

 将護三ッ矢VS不動武。勝者、将護三ツ矢。

 明浄みことVS農林水サン。勝者、明浄みこと。


 招待客しょうたいきゃくが誰も、ギルド『四重奏』に勝てない結果に……。夜鈴はアイスコーヒーを片手に氷を混ぜながら言う。

「他の3試合はどうだったか知らないけど、オーバーリミッツとの勝負は『根気勝ち』で私の勝ちだったわ。勝った気にもなれない」

 ちなみに、ちゃんでもさんでも無く。お互い対等という意味合いで「呼び捨てにしましょう」となった。だからリミッツさんでもリミッツちゃんでも無く夜鈴は「リミッツ」と呼び捨てで言う。

 蒼葉はアイスティー紅茶甘めで飲むと、アハハと言わんばかりだった。

「どっちも根気ありそうなのにね~」


「あっちは色恋沙汰に目が行ってたから勝てたけど、恋のライバルとかの立ち位置だったらどうなってたか……て感じよね」


「恋に恋する夜鈴姉ちゃん?」

「違うって、その明後日の例え話は誰から教わった?!」

「農林水サンさん」

 この世界のゲームマスターの名前が出て来た。

「……、で。そっちはどうなってんの? 今じゃギルド『放課後クラブ』の実質トップでしょ? わが弟よ」


 何だかんだあって。ギルド『放課後クラブ』は大型ギルドと化している。

 下位組織に、

 ギルド『ドラゴン・スピード』

 ギルド『放課後クラブ親衛隊』

 ギルド『世界観探索隊』

 と、なっている。トップだったヤエザキが天下りしたような形だ。


 だから大きな視野でみると、今でも放課後クラブの傘下である。という形を取っている。

「ヤエザキお姉ちゃんは遊んでるよ、そりゃあもうエンジョイしまくってる」

「確かに……、いきなりトップがどっか行かれたら困るもんね。なるほどこうなるか……」

 一応組織の中に入ってるていだけは取っているようだ。

「とわ言え、……あんたこんな強者達を束ねられるの? 私には無理そうに見えるけど……」

 特に放課後クラブ親衛隊はヤエザキが選んだ強者しか居ない、それらが勝手に自分の意志で動いている。

「ん~何ていうか。将来性に期待して、他の実力者さん達が仕切ってくれてる。みたいな感じかな?」

「子供の王様みたいね……」

「だって子供だし、まだ何も成してないし」

「まだ、ね……。そりゃ確かに正当な【グランマティカ】【竜尾】【銀】の所持者だもんね、そうなるか」

 この子、弟たる蒼葉に。さしたる実力や実績が無いとしても。血統じみた、約束された王冠が乗っかっている。彼らはソレを崇め、就いていきたいんだろう。象徴的な意味で。

 姉とは違った意味で、この弟の成長具合を楽しみにしているのだろう。たぶん。そうであってほしい。

 姉である夜鈴にとっては、その成長スピードの【遅さ加減】が何とももどかしい。桃栗3年、柿8年。蒼葉は柿みたいなものなのだ。おっそい。

「ま~えーっと、〈徒党?〉を組んでた有象無象は、あんたより。強者の親衛隊トリニティについて来た節があるから……何ともねえ~」

 やっぱり危なっかしい。そもそも吸血鬼大戦からついて来てくれた古参は、桃花やリミッツについて行きたいはずだ。いきなりその後に出て来た子供について行って。というのも無責任である。

「まあ、桃花も桃花で【知らない】からどうしようも無いんだけどね。文字通り所々しか知らないし」

 しかもオチを良く知ってるおまけつき。

「サプライズの中身知ってるんだもん、そりゃエンジョイでもしたくなるわ」

 何とも辛辣な言葉がつらつらと並んで来る。

「あははは、でも楽しそうだよ~」

 ちょっと前の〈じゃれつき〉はどこへやら、もう精神的には10年前とか信じたくない。気持ちの問題だが……。

 長い沈黙の間があったあと。夜鈴はボソッと呟いた。

「人って変わるものね……少しずつだけど」

「何だかお姉ちゃんの愚痴大会になってる気がする」

「誰のせいよ」

「少なくとも僕のせいじゃないよ?」

 新参は悪くないとでも言いたそうだ。

「あー誰が悪いかじゃなく。誰が善いかで自分を語りたいわ!」

 愚痴が反芻されるだけだった……。

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