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少女は異世界ゲームで名を揚げる。~ギルド『放課後クラブ』はエンジョイプレイを満喫するようです~  作者: ゆめみじ18
第15章「ゼロから」西暦2035年7月15日

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第306話「第2次姉妹喧嘩2010◆1」※ターニングポイント6

 西暦2009年、日本国群馬県。

 湘南桃花はカップラーメンの3分間を待っていた。

「……、……。3分で帰って来るって言ってたけど……。どういう理屈でそうなるのかしらね……?」わからん

 夢の国に行くのかと思えば、マジもんでタイムトラベルをするし。未来の技術は良くわからなかった。



 西暦1995年、日本国神奈川県。

 状況はいたってシンプルだ。

 戦うか、説得するか。その二択だけ。

 それ以外は悪手となる。世界の運命が咲の手にかかっている。

 こんな時、ヒーローだったら何て言葉をかけるのだろう……。

 こんな時、英雄だったらどんな言葉をかけるのだろう……。

 もっと知的で、上手で、気持ちのいい言葉を紡いで。あれよあれよという間に納得させられて、そして和解するんだろうな。

 でもそれじゃダメなんだ。

 私が、天上院咲が。天上院咲として、1人の妹として訴えかけなきゃ意味がない。

 天上院姫には、オーバーリミッツには。私の言葉じゃなくちゃダメなんだ。

 この、生まれた時から一緒に育ってきた。姉妹の絆……。それがなきゃダメなんだ。それがあるからお姉ちゃんに声が届くんだ。

 他の誰にも真似できない、私の言葉で。説得する……。

 だから……。

「わかった、お姉ちゃん。戦うよ」

「咲、そうだよな。悪は戦ってこそ花がぁる……」

 ラスボスに憧れて今まで生きて来た姫は、自分は戦って散ることこそ相応しい。……そう思った。

 だが、妹はその言葉の切っ先を制する。


「ただし! 私は暴力を捨てて! 言葉でお姉ちゃんと戦ってみたい!」


「……ッ!」

 言葉で勝ちたい、そう思った。理屈じゃない、本能だ。ただそうありたいと願ったから。そう口にした。

 天上院咲は口にした。

「戦って戦って戦って! そして言葉で勝ちたい!!!!」

「咲、……わかった。その申し出、逃げる道理は無し!!!!」

 逃げて逃げて逃げて、でも妹の前で逃げる選択などあり得ない。カッコがつかない、後には崖しか無いのだから。前へ進むしかない。

 ドン! と、強く強く地面を踏みつける。

 時空が歪んだ、足元の景色は一変して。記憶の回廊がぐにゃりと変わる。デジタル空間をチャンネルを変えるがごとく歪んだと思ったら、1995年から2010年の吸血鬼大戦の大舞台に飛ばされていた。


 西暦2010年、フランス、モンサンミシェル。

 皆みんな、戦っている。暴力で、技術で、信念で。

 しかしその中でただ2人、剣を捨てた者達がいる。

 概念領域に居た姉妹だ。剣と拳と武器と防具を身に纏う戦場で、ただ2人、言葉だけで戦うと決めた大将両名がいた。

 そして始まる第2次姉妹喧嘩。

 内容は口論、口喧嘩、言葉での勝負。バトルは背景に任せる。

 いままで、心の奥底で隠していた葛藤を。今始める、だから彼女達の会話は。いつも通り、淡々と始まった。

「いくぞ、全ての運命に偶然などない!」

「こい! もう夢から覚める時間だよ!」

 他の誰にも邪魔させない、2人ぼっちの最終決戦が始まった。

「え? ラップバトルがしたい?」

「……お姉ちゃんそれ違う……」

 最高のシリアスが台無しだった。

「つっても、エンターテイメントとしてそれはどうかと」

「今はそんなこと聞いてない! この戦場を観て何も思わないの!? 始まった戦争! 終わらない戦争! どこまでも広がる戦争! これでもまだ悪意からではないって言い張る気!?」

「まあ、愛情表現としてはどうかと思うけど」

 案外冷静な開始だった、グツグツと煮えたぎった熱湯のような妹とは違う。何故なら……。

「記憶を同期して、いきなり連結したらかちょっと戸惑ったが……。なあ妹よ、1年前のことをもう一度言うぞ。【一度オーケーを出したものを一人の意見でそうホイホイと設定を変えることは出来ない。生みの親として作り手として作りあげたキャラクターを世にだした段階で「やっぱり変えます」なんてことは絶対にしない】」

 姫のその返しは、当然そうなる。だが咲だってこの1年で成長している、そこで怯むほどやわじゃない!

「それは紙とインクの場合は戻れないからそう言うだけでしょ? 本音は違うし、何度も何度も戻りたいと思ってる。ここはデジタル世界、削除も修正も出来るのにやらないのは強情だよお姉ちゃん!」

「……、お前は今回。この作品のテーマは『愛』だって解ってて避けてる感じがあるが。言わせてもらうぞ。精子と卵子が受精して赤ん坊になって生まれて来た命を、お前は『やっぱり変えます』で削除や修正をするのか? 確かに現実とデジタルは違う、産みの苦しみが重いか軽いか、速いか遅いかはある。男子なんて毎日射精して毎日精子をぶっ殺してるもんあぁ? 毎日ご飯のお肉ちゃんをぶっ殺してるもんなあ? そこに修正を入れろ? バカ言ってんじゃねぇ」

 最初こそ、言葉に詰まって会話の流れが観えなかったが。やっぱりだ、お互いに齟齬がある。それは姉の方が年齢が長くて。妹の方が年齢が短いから起こる齟齬だ。わかっていた、わかっていたつもりだった。

「ソレだよ、そう言うのを聞きたかったんだよお姉ちゃん」

「アン?」

 相手は神だ、神だが。自覚してなかったとはいえ姉妹だ。この唯一出来た家族の絆を絶対に絶たせたりしない! そして私は人間だ!

「家族愛を教えられるのは私しかいないってことだよ! 休日のテレビ映画で見るような。安っぽい家族愛しかお茶の間で見せられないから、それしか見せない。安っぽい『家族愛映画』を教えられるのは私しかいないって言ったんだよ! 姫お姉ちゃん!」

「ッ!?」

 あんたは一目ぼれやら、思春期の恋愛を語るかもしれない。でも私は私で家族愛を語らせてもらうよ! その『愛』を否定することは、神様だろうが仏様だろうが、誰だろうが何だろうが! 絶対に出来ないし! させない!!

「ッッッ!?!?!?」

「どれだけ長い時間を賭けて生きて来たかは知らないけど! 想像もできないけど! 絶対に! 私は私で負けられないんだよ!! ただの創造神はひっこんでろ!! ザコが!!」

「――ック!!」

 少しわかった、これはいもうとあねを取り戻す戦いだ。


 Q、今の姫ってどうなってるの? 咲は何と戦ってるの?

 A、天上院姫=ミュウ=星明幸=オーバーリミッツ=創造神=天罰神。と、設定山盛りですが。そこから家族としての姉を取り戻す戦いです。


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名を上げる。ボカロBGM:最終決戦~ファイナルバトル~
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