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少女は異世界ゲームで名を揚げる。~ギルド『放課後クラブ』はエンジョイプレイを満喫するようです~  作者: ゆめみじ18
第15章「ゼロから」西暦2035年7月15日

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第296話「ゼロから」

「あきた」


 衝撃の言葉に天上院姫に電流走る!

「ブゴハ!!!!」

 思わず飲んでいたコーヒーをむせる姫。当然だ、彼女は咲のため咲のため咲のためで、ここまで頑張って来たのだ。その当の本人に「あきた」なんて言われたらそれはもう衝撃しかない。

「なぜ!?」

「いやあ、もうある程度世界は歩き回ったかなあ~と思って。行ける所にも限界を感じ始めて来たというか」

 最初の最初こそ全てが未知の世界だった。だが、1年間も冒険していれば。アレがああでコレがこうで。というのがもう大体わかって来る。終いにはもう本人の冒険は終わった気でいる。

 ……、ならば……。


「そうだ! ステータスをオールリセットしましょう!」


「ぇえええええええええええええええええええええ!?!?!?!?!?」

 正気の沙汰とは思えない。むしろ狂気の沙汰だった。今の今までのゲームデータをチップに賭け、ワザと負けて全てを失いたい。と言っているのだ。

「最初っからやり直せば最初の景色も違う視点で観れる! そっちの方が断然面白いし! 新しい発見も見つけやすい!」

 言いたいことは解るのだが……。1ミリ、1ミクロンぐらいは解るし共感も出来るのだが……。

「ちょっと待て咲! せめてさ! ほら蒼葉君とかにデータをあげようよ! そうだ継承システム!」

「……そう?」

 キョトンと疑問文を浮かべる咲。マジで今までのデータいらないらしい。

「おぬしは受け継がれる意思というのを覚えたほうがいい」


「いいよ~♪ やった~♪」

 というわけで、ヤエザキは9歳のショタっ子蒼葉君に今までの。今までの全てのデータをあげたのだ! この世の全てをそこに置いて来た! と言っても良いかもしれない。

 軽く考えるだけで。レベルも〈エボリューション・極〉も装備品もゴールドも課金額も運営権限も全て全て全て凪ノ唄蒼葉くんにあげてしまった!

 そして残ったのは称号『最長文学少女ログ・ホルダー』だけだった。これには何の追加効果も無い二つ名だ。流石に蒼葉君は少女でも最長文学者でもないので引継ぎは無理だった。

 これで真っ白、何もない。まっさらな裸の王様になってしまった……。これだけ言うと誤解を招きそうだが……。

 これでもう何もない。フレンドからもギルドからも解き放たれた〈新規プレイヤーヤエザキ〉が完成してしまった。

 元々咲はエンジョイ勢。自分がお姉ちゃんの世界をもっともっと楽しめればいい。それさえあれば手段は問わないのだ。楽しめることが第一なのだ。


「これで! 自由だあ――――!!!!」


「まあゲーム的なデータは普通プレイヤーにとっては宝物だし。あげられるものだけど……、せめて絆は切るなよな? ギルドを抜けるのも良くは無いが……まあわかった。決定ボタンポチイ! してしまったものはしょうがない」

 姫は咲の意見を尊重する。

 現在の現実に限界を感じてしまったのならば。自分の実力不足だ、それはここまで頑張って来たのだから甘んじて受け入れるしかない。

 失いうもは何もない。わけでは無い、むしろ失うものの方が多いい。でも本当の意味で、最初からゲームを始めたいのであれば。これ以上の追及も出来ないだろう。受け継ぐべき咲のデータは蒼葉君にあげたのだ。それならそれで良い。

「じゃ! 始まりの街にログインするね!」

「はいはい、しっかり全身全霊で遊んでらっしゃいなのじゃ~」

 

〈おかえりなさいませヤエザキ様、始まりの街へログインします〉


「あ、チュートリアルはスキップね。流石にそれはいらないや」

 レベル1……。こんなに重いレベル1があるだろうか? いや世界一軽いレベル1かもしれない。まるで今までの重荷を外されたような真っ白さだった。

「さってと、職業何にしよっかなあ~」

 始まりの街、初心者と上級者が入り乱れるこの一番愉快な街で。ヤエザキは現在無職だった。ジョブなしだった。

「地図師とかどうかな? 歴史の先生? やっぱ戦闘職? ん~ここは普通に探究者? 世界観調査隊? それはギルド名にしようかな?」

 ヤエザキは考える。

 ギルド名が『世界観調査隊』だったらどうなるだろうか? スキルは〈看破〉とか〈鑑定〉とか〈交渉〉レベルが高い方がいいし……。情報系ギルドになるのだろうか? 情報屋ギルド? まあ一番最初はそれ系のギルドに仲間入りするのが良いのかな? いや、それするんだったら最初から世界観調査隊を作った方が速いね!

 というわけで、早速ギルドを立てた。ポチっと。最初だからもちろんひとり……。寂しい……。だが、ものの数秒でピコンとギルド『世界観調査隊』の人数が2名になった。

「あ、お姉ちゃん。ついて来たの?」

「当たり前だ! お前のためにゲーム作っとるんじゃぞ! ハブにしてたまるか!」

 話し相手が居ることは良いことだ。最初から心強い仲間が出来た。ゲーム内ではほぼ何もしてくれないけど……。

「じゃあアレを言ってみましょう!」

「何を?」


 咲は深呼吸をして大声で叫ぶ。遠くへ轟くように叫ぶ。

「ここから始めましょう、1から。いいえ、0から!」

「お前言ってみたかっただけだろ!!」

 いつものノリツッコミは健在だった。

 Q、〈継承システム〉は出来るのと出来ないのがあるの?

 A、今回は性別的に無理なのと、蒼葉くんは最長ログをもって無かったので。嘘表記となり継承出来ませんでした。


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